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罪人の世界価値観  作者: 水無月五日
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第一話 アヴァロン魔術騎士学園

アヴァロン魔術騎士学園

大国アーシア唯一の魔術の名門。

大国の名の由来になった世界を変えた魔術師アーシア・アヴァロンが大国初めて作った学園だ。

以前はアーシアでなく魔国領土なため名はなかったが英雄アーシアが仲間とともに魔人から勝ち取ったことから大国アーシアと名付けられた。

この学園の首席卒業者には世界に10人しかいないS級魔術師が得られる資格試験枠を与えられる。

S級というのは絶対の強者でなくてはならない。

この世界ほとんどの人々ががS級という資格の意味、重みを理解している。

試験内容は厳しく死者が出るのは珍しくない。

そのため、資格試験枠を与えられた者達には拒否する権利がある。

この資格試験枠は、残り2つ、ギルドや魔術研究所におけるA級魔術資格者の中でも最も高い功績を出した1人に与えられる。

つまり、ギルド、魔術研究所、騎士学園の1人づつの合計3人しか受けられない。

いくらA級魔術師で条件を満たしていようが、ギルドではギルドマスター、魔術研究所では魔術研究所所長、騎士学園では学園長の最高責任者が認めなければ試験を受けることができない。

そのため、試験者が2人の時、1人の時、もしくわ試験自体を行わない年もあった。

話がずれてしまったが、それほどの試験枠を与えられるこの学園は、入学することも困難であり、卒業することもまた困難な学園。

故に名門である。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


アヴァロン魔術騎士学園は、ジョットたちのいる都市ルーディアから西に2000キロメイルに位置する街ウークルにある。

このウークルは、街を外壁が囲んであり魔物よけにもなっている。

つまり外壁の外は魔物が出る森になっている。

そのウークル西外壁門近くにある城のような建物がジョットたちの目的地アヴァロン魔術騎士学園である。

学園門前、ジョットは城のような学園を見上げ口を開く、

「名門とは聞いていたけど、まるで城みたいだなぁ」

「歴史ある建物だそうですけど特に古いとかそんな感じはしませんね〜」

ジョットの言葉にラルクが続く。

「なにをしているお前達、早く行くぞ」

門をくぐり先を行くシエルが言う。

「あ、おい一度来てるあんたとは違って俺たちは全くの未知の場所なんだぞ、待てって」

そう言って彼女の背を追いかけるジョットにラルクも続いた。



学園長室前に着くと部屋の中から女性と思われる声が聞こえた。

『学園長!私はまだ認めていません。試験もなしに2人も転入させるなんて、正式な試験のもと、この学園にふさわしいか決めるべきです。それにこの学園はついこの間までは女子しかいなかったのですから、特に転入してくる2人とも男、厳選な試験を………』

どうやら俺や、ラルクの転入に意義があるようだ。

先ほどは言われたように最近までアヴァロン魔術騎士学園は女子生徒しかいない学園だった。

別に女子校というわけではない、最近になるまで単に男子の合格者が少なかったのだ。

『そうだよな名門だし転入でもそりゃ試験は必要だよな』

『僕も疑問ではあったけど面倒ごとはなるべく避けたいから言わないようにしていたんだけどね』

ジョットとラルクがシエルの後ろで小声で話しす。

コンコン、ガチャ

「失礼します」

「「うわぁ」」

確かにここに立ち往生っていうのも気がひけるけど、この空気の中、我が道を行くが如く進む姿のシエルにジョット達2人はすごい神経と声を漏らす。


中に入ると腰まで伸びた赤い髪ですらっとしていながらも出るところは出ている女子生徒と学園長と思われる銀髪だがラルクとはまた少し違う色の肩まで髪をし机に手を組む綺麗な女性がいた。

「誰ですかいきなり‼︎今取り込んでいて……「リッカさん」学園長‼︎」

いきなり入室してきたシエルを睨みながら怒鳴りつけるように言ってきた赤い髪の女性リッカに対し学園長が黙らせた。

「ついこの間ぶりね、シエル」

「ああ、約束通り連れてきたぞクーディア。お前の期待に応えられるか知らないが」

学園長がシエルの名前を出すと一番驚いたのがリッカだった。

「あなたが『金色の魔女』シエル・リーティア」

「初対面の、それも年上を呼び捨てか小娘」

「……ひ‼︎」

リッカは、目だけで威圧され少し後ずさった。

「………ほう」

「うちの生徒にトラウマを植え付けないでもらえないかしらシエル」

リッカに対し何か思ったシエルをクーディア学園長が注意する。

「手加減したとはいえ、私の威圧に少し後ずさるだけとは、まだ荒いが期待ができる逸材だな」

シエルがリッカを褒めるとリッカは照れた顔を見せたくないのか下を向く。

「それは今私が期待している生徒の1人ですもの」

その言葉を聞き下を向いて顔がわからないのにさらにリッカが照れているのがわかる。

「さて、それでは長くなってしまったけれど本題に入りましょう。初めまして、私がこの学園の学園長クーディア・アヴァロンです」

「………アヴァロン?」

ジョットは疑問を持ったがシエルが自己紹介をしろと言った風に軽く肘で俺の脇腹を小突く。

「あっ、ジョット・エヴァンスです」

「ラルク・コーテッドと申します」

俺とラルクがそれぞれ頭を下げ自己紹介をした。

「うふふ、気になるのも無理はないわ。私はね、英雄アーシア・アヴァロンの血筋なの、と言っても別にないか特別な力があるとか期待しないでね。受け継いだのはこの学園でだけ。でも私は先祖が作ったこの学園を守っていけることに誇りを持っているわ」

笑顔で答える学園長の顔にジョット達はよくわからないが温かみというのを感じた。

「さぁ、あなたも自己紹介ををしなさい」

そう言って照れた顔がもう治ったのか先ほどまで下を向いていた女子生徒リッカが前に出た。

「B級魔術師高等騎士科1年、リッカ・マクウェラルと言います。先ほどは失礼しましたシエル・リーティア様」

リッカがそう告げるとシエルは苦笑いをしながら、

「様と言われるほどのものではないよ私は。だが1年でB級か!私の威圧にも耐えていたしなるほどA級になるのもそう遠くないな」

と答える。

「それではここでの自己紹介も終わったことだし、あなた達の科を決めなくてはね」

「学園長!私はまだそのことについて認めていません」

また始まったかと思うジョットとラルクがシエルに小声で話しかける。

『何で1年の一生徒のあの子に俺たちの入学の決定権があるんだ?』

『マクウェラル家はアヴァロン魔術騎士学園に寄付していると同時に優秀な魔術師を何人も出してきている貴族だ。1年のあの子でもマクウェラル家の1人、それなりに権力を持っているんだ。それにあの子の腕についている腕章を見ろ』

そう言ってジョットとラルクはリッカの左腕についている腕章を見た。

『あれはアヴァロンの生徒をまとめる生徒の代表"星華会"だ。要は自治会だ。教師に近い権力を持っている』

『説明乙です』

『ああ』

『いえなんでも』

俺たちのがシエルと話しているとだんだん向こうもまとまってきているようだ。

「ではこうしましょう。あなたともう1人にこの2人の試験をしてもらいましょう。騎士の学園ですからね模擬戦という形にしましょうか。ルールはあなたが決めなさい。それなら文句ないですよね」

ポンっと手を打ち学園長が決める。

「ちょっ!」

俺とラルクが待てと言おうとした時、リッカの言葉が早かった。

「わかりました。では明日の午後5時、場所は第3訓練場で、後で訓練場の場所を教えておくわ。試合形式は1対1、そうね…」

そういうとリッカはこちらに人差し指を立て告げる。

「1撃、1撃でも私達に当てることができたら転入を認めますよろしいですね?」

よろしくねいです。そう口にしようとしたジョットの前にシエルが告げた。

「その意気やよし」

なんて男らしい、いや女なんだけどなんで俺たちがokする前に勝手にokしちゃうかなこの人たちは人の話聞かないし。

「よろしいですか?2人とも?」

さすがにこの空気の中嫌ですなんて言えないし、そう困った顔をラルクに向けるとラルクはこちらを見ながら首を横に振った。

「わかりました、誠心誠意頑張らせていただきます」

やる気のない声で伝えた後、訓練場を案内してもらいウークルの宿屋に足を運んだ。

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