自殺少女と変人さん
私は山田虎子。とらこではない、“ここ”だ。
あだ名は、とらド(自主規制)!、(自主規制)、トルネコ(自主規制)などなどって、自主規制がおかしいでしょうが!なんで、(ここりんとかお見苦しいため自主規制)だから、規制するなっつの!てか、他のやつ隠しきれてないし!
私のあだ名は(自主規制)!(自主規制)だからね!…だから規制すんなっつの!!卑猥な小説に見えんだろうが!!
もういいや…私は今、ビルの屋上にいる。二十階建てのビルの屋上の端に立って遥か彼方の野次馬がいっぱいいる地面を見ている。
そう…私は自殺するのだ、これから。
ビルの屋上に上がるための階段から(自主規制)と、私のあだ名を呼ぶ友達の声が聞こえてくる。…まだ規制続けんのかよ。ざけんな。
やがて階段を登りきる音がしてきた。屋上の扉が開くのだろうか。私は扉の方をキッと睨む。
…打ち合わせでもしてんのか?
……おい、こねぇぞ。
………え?なんで?(自主規制)って叫ぶ声は聞こえてくるのに。
…………睨むの疲れた。ジュース飲みたい。
……………おい、なんなんだよ。
………………あっつい、熱中症になりそう。
…………………フレンズオブクラッシャー!!
もう良いわ、なんなんだよ飛び降りまっせわたしゃ。
バンッ
なんの音や!敵襲か!!ドアの方から聞こえてきたの…変態だぁぁぁぁぁぁぁ!!!
なんやこいつ、きもっち悪いわぁ…なんやねん、顔まで隠れた青い全身タイツの上にステテコ履いてグラサン掛けて、ラジカセ担いでテンガロンハット被って下駄…変態だぁぁ!!……変態だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!
「うるさぁぁぁぁぁぁぁい!!」
声に出てたか。てか、なんか怒られた。すかさず私は言い返す。つか、あのラジカセから(自主規制)って叫ぶ声流れてんのかよ、なんなん、マジでなんなん。
「黙れ変態!!やかましいわ変態!!そのまま帰れ変態!!」
「変態だからと言って何故黙らねばならぬ!」
「いや、開き直んなよ!」
「だっちゅーの。」
「古いわ!!爆ぜろ!そのまま黙って右向いてここから落ちろ!!」
「知ってる君もどうかと思うがな!」
「せからしか!」
なんなんだこの変態は…何しに来たんだ。
ん?なんか取り出し始めたぞ?あ、あれは…!
「そ、それは私が自殺する理由その1の消えたくたびれうさちゃん人形!!なんであんたが!」
「さぁ!これを返して欲しければ貴様の脱ぎたて靴下を私に…」
「変態キモイィィィィィィィィィィィイ!!!」
「…って、ていうのは冗談で…この猫耳カチューシャを…」
「誰か助けてーーーーー!!!」
「冗談だよ!!本気にすんな、カス!!」
「こいつうぜぇぇぇぇぇぇぇ!!!」
うぜぇぇ、まじでうぜぇぇぇぇぇぇぇ。なんなんだよこの変態は!!
「私はラフメイk「それはやめろぉぉお!!」げふぉん、ハッピーマンだ!!君の自殺を止めに来た!!」
「野郎、さっきからふざけやがって…てめぇのせいでこの小説を消されたらどうするつもりだ。」
わたしは足元にあった小石を拾う。
「お?どうした?その石をぶつけるつもりか?ほら、来いよ!来いったらこいっ、いてっ!!」
ぶつけてやった。ふん、ざまみろ。
「さ、流石は名門女子ソフトボール部のエースだ…」
「うわ、キモっ。なんでそんなこと知ってんの。ストーカーかよ気持ちわりぃ。」
「だってテレビで流れてるからな。」
「うわ、マジだ…倒産しろよこの民放…」
「君口悪いな…」
「あぁん?」
「ひっ…い、石はやめて下さい!」
なんなんだこいつは……ん?つかなんか聞いたことある声だな。…んー駄目だ思い出せねぇ。
すると、目の前の変態が立ち上がって私を指差した。
「さぁ!うさちゃんを返して欲しければ自殺をやめるのだ!」
「今更、それだけで止められるわけねぇだろ変態。良いから帰れ!!」
変態はうわぁぁん!とか言いながら逃げ帰っていった。さて、じゃあ飛び降りるか。
下を見ると野次馬の数が増えてる。グロいから心臓の弱い方は見ないようにしてくださいねー。
警察は来てないんだな。好都合だ。
と、またドアが開いた。
「あ?また来たのか変たi……やだ…可愛い…」
そこに居たのは着ぐるみ。くたびれうさぎだ。
片耳だけ垂れたところがチャームポイントの柴犬のマスコットキャラ。柴犬なのに何故うさぎ?とは聞いてはいけない。
とはいえ、何故ここに居るのか…至極簡単な答えだ。
「くたびれうさぎの中に入ってんだろ!てめぇこの野郎!!変態が!!」
「……」
返事がない。ただのきぐのようだ。
ただただ屋上に出て来て立っているだけである。いつもは可愛いくたびれうさぎも等身大で立っているだけだと何やら恐怖を感じてくる。
「なんだよ…何がしてぇんだ変態。」
「…」
精神攻撃とかか?…くそっ私はこんな奴に負けねぇぞ。
「ねぇ…」
なんか話かけてきた。まぁあのままで居られるのもうざいから聞いてやるか…
「着ぐるみ引っかかったんだけど引っ張ってくんない?」
私はニッコリと笑ってドアの方に歩く。そして着ぐるみの目の前についた。
「よし、それじゃあ手を引っ張って…グフゥ!?」
「シャアザ(自主規制)〜。」
私はこの変態を思いっきり蹴ってやった。おーおー、よく転がるな。まぁ階段転げ落ちてるわけだしな、回転力失わないだろ…
まぁ着ぐるみ着てるしたいしたダメージ無いよな…まぁあんな変態の心配なんてしねぇけど。
さて、扉も閉めたし飛び降りるかぁ…うわ、また野次馬増えてる…まだパトカー来てないのか…無能…?いや、この程度の事件出動するまでもないみたいなことか。まぁどうでも良いけどよ。
…殺気!!つって、ドアの開く音だけど。また変態かよ…あ!!
「お前うちの学校の演劇部部長、小笠原竜司!!9月24日生まれの右利き、A型で趣味は読書と演劇鑑賞、親は脚本家と冒険家、靴のサイズは27.5cmの、どちらかというと巨乳より虚乳の方が好きなロリコンの、将来日本の演劇会を背負う役者と呼ばれる竜司様じゃないですか!!!!」
「キモいんだけど…なんで性癖まで知ってんの…」
「ファンクラブ会員No.000001番ですもん!!」
「それ、変な問題起こんないようにざらに一番居るらしいよ。」
「うそぉ!?うわ騙された、飛び降りよう!!」
「待てって。」
な、なんか聞いたことある声だと思ったら竜司様だったなんて…声変えてるもん、気づくわけないじゃん…
「な、なんで竜司様がこここここ、ここに??」
「いや、性格変わりすぎだろ。」
竜司様竜司様竜司様竜司様竜司様竜司様竜司様竜司様竜司様竜司様竜司様竜司様竜司様竜司様……
「なんか怖いぞ…」
「それで、なんで竜司様がここに…?」
竜司様竜司様竜司様竜司様竜司様竜司様私だけの竜司様私だけの竜司様竜司様竜司様竜司様竜司様竜司様………
「怖気がする…」
「大丈夫ですか?」
「主にあんたから感じるよ。」
「何ででしょうかね〜」
私だけの竜司様…私だけの竜司様…私だけの竜司様…キャッ♪
「まぁ良いや…あんただろ?大怪盗プリティゴリ子は。…俺は特殊犯罪捜査官、“西原”竜司だ。」
ちっ……
「あーあ…やっぱり、竜司がなんか政府の犬だってのは本当だったのか…ただの噂だと思ってたのに…」
「悪かったな。」
「慰謝料払え。」
「無理。」
「じゃあ、竜司死ね。」
クソッ…ふざけんなよ、ボゲがぁ!今まであんたの為に注ぎ込んだ127円が無駄になったじゃねぇか!!
「あんたは盗みに失敗したから飛び降りようとしてんだろ?」
「…そんなとこまで調べついてんのかよ…それじゃあその口を閉じさせねぇとなぁ!!!」
よし、それじゃああの貯水タンクを…
ベゴンッ!!
「フハハハハハハァ!!食らえ!邪悪な私のアクアストリーム!!…なにぃ!?わ、私のサイコキネシスが使えないだと…!!もう一つの念動力…お前か!竜司!!」
「そうだ、俺も超能力者だぜ。組織のはみ出し者、ココめ。てめぇの暗殺命令が下ってるんだよ!!」
ッチ…こいつ、組織の回し者だったのか…だったら、戦るしかねぇ!!
「うぉぉぉ!!!発火!!」
「滅びのアクアジャベリン!!」
ジュウウウウ…
「クッ…相殺したのか…!」
「なぁ、竜司。やっぱり、パトカーがこねぇのは組織の力か…?」
「だから、特殊犯罪捜査官だと言っただろう。」
「まぁ良い…死ねぇ!!」
拳銃を操って発砲!!勝った!たぶん!!
「っあぶねぇな!!」
「ッチ…死ななかったか…ギリギリで止めるとかてめぇ中々だな。」
くっそめんどくせぇ……いっちょ、隕石でも落とすか?
「竜司、つか、自殺するんだから戦う意味ねぇよな。」
「…言われてみればそうだな…」
「「…」」
ピリリリリリリ
「…おまえ、なんの音だ。」
「…六時だ。」
「え?うそぉ!?門限まであと30分しかないじゃん!!」
いや、お前の門限とか知らんがな。あ、今日の晩飯…食べに帰ろう。
「…」
「…」
「「さよなら!!」」
「「…」」
「「お前も帰んのかい!!!!」」
…疲れた。
「それじゃあな。今度は殺す。」
「じゃあな、竜司。今度こそ自殺してやる。」
良し、帰るか。