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 私がリウラミル教でしたことをアラリスは気づいたようで、よく頑張ったねって頭を撫でてくれた。どうやら間違いではなかったみたい。よかったとほっとした。

 それからまら一ヶ月。

 私の作った武具は週に一度お店を開いたとき、けっこう売れるようになった。丁寧な作りで長持ちしていいんだって。

 そういえば、カチュアと昔話したとき、服に補助魔法を施したらって思ってたけど、どうしようかな。軽めの効果を試にやってみようか。

 私の武具を装備している人だけ、その装備してる武具にやってみよう。でもその前にアラリスにも相談してみる。


「補助魔法を付与するのはいいけど、条件はどうしようかな。常連さんだけにして、口の堅い人限定にした方がいいかな?」

「僕は、リウの作った武具を装備している常連さんだけでいいと思うよ。ここに来る常連さんはそんなに悪い人はいないようだしね。喫茶店の裏メニューみたいにしてみたらどう」

「それいいわね。そうしてみる」


 明日は店を開く日だから、さっそく常連さんが来たら話してみようかな。


「いらっしゃいませ」


 翌日。

 開店と同時に数名の冒険者が買いに来てくれた。その中に私の武具を装備してくれてる人もいた。頃合を見計らって話しかけてみる。


「お客さん、いつも買いに来てくれてありがとう。あと、私の武具も装備してくれてるんだね。手入れもよくしてるみたいだし」

「店主か。こちらこそいつも良い物を買えて助かっているよ。この武具も丁寧な仕事でとても付け心地もいい。何度助けられたことか。本当にありがたい」

「ありがとうございます。そう言っていただけて嬉しいです」


 この冒険者さんは、胴鎧、腕具、足具、頭具を鉄のもので揃えて買ってくれたのよね。中級の冒険者になったばかりらしくて、私の作った装備をとても重宝してくれてるみたいね。

 この人なら大丈夫かな? カウンターにいるアラリスをちらと見ると、頷いてくれた。


「お客さん、ちょっといいですか」

「なんだい?」

「ここではちょっと。奥にどうぞ」

「あ、ああ」


 こういうことは初めてだからか、冒険者さんは少し戸惑っているみたい。

 私は奥の作業場に仕切りを作って小部屋にしてあるところに連れてくる。ここなら他のお客さんにも話は聞こえないし、大丈夫でしょ。次からもここでやろう。


「実はですね、これは常連でかつ、私の武具を丁寧に使ってくださっているお客様のみにする特別なオプションなのですが……」


 私は付与魔法を武具に付与できることを伝える。もちろん効果は永続でないことも伝える。効果はだいたい一ヵ月にしておこうかな。


「なんと、そんなことができるのか。それはありがたい。ぜひお願いしたいのだが」

「ええ、もちろんです。ただ、これはあなたのような口が堅そうで、武具を大切に扱ってくれている方のみに付けられるオプションなので、そこのところはよろしくお願い致します」

「ああ。わかったよ。俺の知り合いに、その条件を守ってくれそうなのがいたら、教えてもいいのか?」

「それは構いませんよ。常連さんだけにする特別なものなので、その辺りを守ってただければそれで」

「わかった」


 各部位に、好きな付与魔法を選んでもらうことに。

 冒険者さんは、なにを付けようか考えて、付与魔法の効果を書いたメニューとにらめっこをしてうんうん唸ってる。


「胴鎧には防御力アップ、腕具にはガード率アップ、足具には素早さアップ、頭具にはレジスト率アップでお願いしたい」

「はい。では、今からお付けしましょうか? 価格は各部位、一律五〇,〇〇〇ゴールドです」

「けっこうするな。だがそれだけの効果だ。頼むよ」

「ありがとうございます。……たしかに二〇〇,〇〇〇ゴールド受け取りました。着たままで大丈夫なので、リラックスして立っていてくださいね」


 料金を受け取った私は、集中して冒険者さんの背中に手を当てる。そして、まずは胴鎧に防御力アップの付与魔法陣を施していく。

 次は腕具、足具、頭具。それぞれ付与魔法陣を施して終了だ。


「いかがですか」

「おおこれはずごい! やる前よりも足捌きが速いぞ」

「今後は価格で小中大で効果アップの値も変えていくつもりですので、また機会がありましたらよろしくお願い致します」

「わかった。よし、では俺は仲間を呼んでさっそくダンジョンへ行ってこよう。ありがとう。またよろしく頼む。そうだ。俺の名前はガイルだ」

「私はリウです。ガイルさんも、お気をつけていってらっしゃいませ」


 それから。

 ガイルさんは弓使いの女の子を連れてやってきた。


「リウ殿、今大丈夫か。例のあれなんだが」

「ガイルさんいらっしゃい。はい、大丈夫ですよ」


 私はガイルさんと女の子を連れて店の奥へと向かう。


「あの、初めまして。あたしはミーナっていいます」

「初めましてミーナさん。リウです」

「こいつは真面目だからな。口は堅い。あれをやってもらいたいんだが」

「ええ、大丈夫ですよ。なにに施しますか?」

「防具はまだこちらで揃えていないので、弓と弓矢にしてもらいたいんです」


 そう言ってミーナさんは、私製作の鉄の弓と弓矢を出した。ふうん。毎日手入れはしているみたいね。錆もないし。


「弓と弓矢ですね。ではこちらのメニューから、付けたい付与魔法を選んで下さい」

「そうね……。うーん、弓は命中率アップで、弓矢は麻痺三〇%でお願いします。あ、弓矢は一本一本ですか?」

「弓矢は弓筒に施します。他店の弓矢も筒に入れられますが、効果はないのでお気をつけてくださいね」

「わかりました。じゃあ、それでお願いします」

「かしこまりました。10,000ゴールドです」


 お金を受け取って、私はミーナさんの弓と弓矢に付与魔法陣を施す。うん、こんなものかな。


「ところでガイルさん、その後どうですか」

「ああ。効果はちゃんとある。打たれ強くなったぞ」

「それはよかった」

「にしても、リウ殿はよくこんなことを思いついたな。俺もいろいろ旅をしているが、どこの武具店でもこんなことはしていなかった」

「まあ、私は物作りが好きであれこれ考えてたらふと思いついたので」


 尊敬するような眼差しを、向けられてちょっと恥ずかしい。でも、このアイデアが上手くいってるみたいでよかった。


「リウさん、ありがとう。これでもっと皆の役に立てそうです」

「いえいえ。弓矢は一度使ったものを、効果を維持したままで、期間内ならまた使うこともできるから、まだ使えそうなものは回収しておくと良いですよ」

「わかりました。効果はガイルと同じで一ヵ月ですか?」

「そうです」


 二人は私にお礼を何度も言って店を出て行った。オプションはこれで二人目ね。ガイルさんもミーナさんも良い人そうだからよかった。

 さてと。もう少しでルーが交代でくるし、その後はまたなにか作ってようかな。

 うーん、そうだなあ。料理はどうだろう。ダンジョン内だと暖かくて美味しい料理が食べられないからいいかも。

 セーフティエリアで食べてもらえれば、匂いも気にしないですむし、後で皆に相談してみようかな。缶詰みたいのが作れればいいと思うのよね。

 うん。またやることができそうで楽しいね。

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