浮気
「まず、最初に聞いておこうかな?」
「なにを?」
「――」
「何をでしょうか?」
「浮気っていいこと? 悪いこと?」
「世間一般的に言うと……悪いこと、かな?」
「ん。じゃ、制裁」
「ちょ、ちょっと!」
「なに? 制裁方法に提案?」
「え?」
「じゃあ選ばせてあげる。刺殺? 絞殺? 撲殺? 溺死? 焼死? 感電死?」
「全部死とか殺とか不吉なキーワードが入ってれう!!」
「もう、じゃあ何?」
「制裁の前に話を聞くってのはどうかな?」
「言い訳?」
「弁解……というかお話。言い訳って言うと何か往生際が悪そうだからやめて」
「ほー。弁解」
「動物好きでしょ」
「可愛いのだけね」
「うんうん。んで。動物のオスっているじゃない」
「はいはい」
「オスって生き物は本能的に自分の子孫を残すために生きているって話なんだよね」
「へー」
「それってさ、人間にも当てはまっていると思わない? 人間だって大きく見れば動物の一種でしょ」
「まぁ、確かに」
「でね。えっと例えばの話なんだけど」
「ほう」
「一人の男が……そうだな。これは例えばの話だから少し極端にしようか。一人の男が一〇〇人ぐらいの女の人と生殖するとするよね」
「それで?」
「そうすると一〇〇人の女の人全員が妊娠する可能性が存在するよね」
「可能性はね」
「で。逆に女の人が一〇〇人の男の人と生殖しても女の人一人にしか妊娠する可能性ってないよね」
「そうね」
「つまり少しでも子孫を残したいという強い意志と覚悟があるならそうやって少しでも妊娠の可能性を高める方法を取るのって少しも間違っていないと思わない!?」
「なるほど」
「分かってくれたんだね。じゃあオチはやっぱりこうだよね」
「なに?」
「この後めちゃくちゃセック――」
「んにゃ」
「え?」
「この後めちゃくちゃになった」
「え?」
「この後めちゃくちゃになった。これがオチ」