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空の目

お気に入りが1件ふえて2件になっていました!


ありがとうございます。


時間が少ないのが悔やまれますが、とても嬉しいです。


やる気がムクムク沸いてきます(笑)

三人でククリまで向かう道中である事に気づく。


やたらと大きな鳥が上空を旋回しながら追いかけてくるのだ。


「なぁティア。あれって鳥だよな」


「鳥ですねー」


「大きいな」


「大きいですねー」


「宗一もやっと気づいたか」


カルアが何か知っているようだ。むしろ犯人か。


「なんであの大きな鳥は俺たちにずっとついてくるんだ?もしかして狙われてる?」


大きな鳥は、みたところ猛禽類だ。

上空の高い場所を優雅に飛んでいるためどういう種類なのかは分からない。だが明らかに普通の鳥ではない。

日本でもハヤブサくらいは飛んでいるのを見たことがあるが、大きさはハヤブサの比ではない。

肩にでもとまられたら骨折しかねない大きさだ。


ここでカルアが口を開いた。


「さきほどティアに身体をあらってもらった際、あちらから話しかけてきたのだ。森の女神はこうでなければとな」


このダークエルフ、鳥の声が分かるってのか。

ゲームの時はなかったものばかりでまったくわけがわからない。


「カルアってなんかすごいのな。ついさっきまで泣いてたってのに」


「ばか者!仕方なかろう、私にも色々あったのだ」


コホン


咳払いするところがなんかかわいい。

ティアはオレをジト目で見てくるが、見ていないフリをする。

なんかオレつらい立場になってるような・・・


「それであの鳥だが、散々色々いってくれてな。最後には腹が減ったから何かくれという。朝食にいただいた干し肉を半分くれてやったらこの通りだ」


カルア指で上空を指差す。


「お前って桃太郎みたいだな」


桃太郎ですか?

桃太郎とは?


二人して似たような返事するのやめてくれ。


「あぁ、桃太郎ってのはオレの居た国に伝わる物語だ。悪い魔物を退治しにいく戦士が、道中で出会った犬・猿・鳥にエサを分け与えて自分の仲間にするというやつでな」


桃太郎はキジだけど、こっちではバカデカイ猛禽類か。

キジには失礼だが、勝負にならないな。


「ちなみにあの鳥の名前はソールという。さっき思いついた」


カルアは大きな声で上空にいる鳥に向かって叫んだ。

「今からお前の名前はソールだー!」


叫びに答えるように鳥も鳴き声をあげて答える。


現状家族がいないカルアには良い友達だ。動物は決して裏切ったりしない、なによりオレたちでは役不足なんだろう。


ここでソールが一気に急降下し、カルアの目の前に着地した。


ソールはカルアに近づき、頭をすねに摺り寄せている。

動物は正直だ。ティアにも近づいて頭を摺り寄せる。

オレに同じようにするのかとおもいきや、カルアの傍に戻っていった。


「コイツ・・・ オレが下っ端だと思ってやがるな」


カルアがしゃがんでソールを撫でる。


「なになに?カルアは森の守り神のダークエルフだ、付き従うのも不思議ではない。そこのキツネはオレにも食い物を分けてくれそうに見える、更に女の能力も高い。男は・・・ しらん。と言っているぞ」


なんか凄く卑下された気分だ。むしろされているのか。

しかもティアの女としての能力が高いって、絶対乳みて言ってやがる。このスケベ鳥が。


「まあそう怒った顔をするな宗一。ソールは暫く私と一緒にいてくれると言っている。私を仲間だと思ってくれるなら、ソールも仲間だと思ってくれないか?頼む」


カルアは頭を下げてお願いしてくる。

オレもここまでされたら何も言えないわけだが・・・ でもソールは嫌いだ。


「わかったよ。こいつも仲間だ、ついてきて構わない」


「ありがとう宗一。ソールはこのあたりじゃ同じ種族でも最大の大きさだ。きっと何かの時に助けてくれるさ」




オレ達はやっとククリの町までついた。ここには数日間滞在するつもりだ、情報も大量にほしい。

あっちの世界みたいにインターネットや週間書籍があるわけじゃない。情報収集は主に夜の酒場になるだろう。


それからソールについて色々教えてもらった。

既に成体であること。十キロ先のカゴに入っているリンゴの数がわかるほどの視力があること。

これは例外なようだが、通常翼を広げた大きさが1.5メートルほどであるのに対し、ソールはその倍以上の大きさがあうということだ。雛だった頃から良い食べ物にありつけた証拠なんだと思うが、それにしても倍以上には普通成長しない。

そして・・・ 性別は雄だそうだ。




「それじゃあティア、宿屋を探そう。隣り合った部屋が取れる場所がいいんだが、無理なようなら仕方ない。その後は買い物して今日は終了だ」


うわ~ん

なぜかティアが泣いている。


「宗一様は私と同じ部屋が嫌になってしまったんですねー。カルアさんと私を同じに部屋にして、自分は一人部屋で娼婦でも呼ぶつもりなんだー」


このこは毎回毎回勘違いがすごい。


「カルアが一人でオレとティアが同じ部屋なんだけど・・・」


「なんだぁ~ そうだったんですねぇ~」


この女狐め。さっきまで泣いていたのにこの変化の早さ。これはおしおきが必要なようだ。




一軒の割と大きな宿屋の前にたどりついた。


「とりあえず部屋があるか聞いてみる」


扉を空けて宿屋に入ると右手にカウンターがあり、宿屋の主人がそこに立っていた。


「いらっしゃいませ、何名様でいらしゃいますか?」


「オレと、あと女が二人だ。二つ隣あった部屋を借りたいんだが空きはあるかい?」


宿屋主人はニタっと笑い返事をする。

「もちろん空いていますとも。料金は一日二食付でお一人様銀貨三枚でございます。トイレは各部屋にありますが、風呂はございません。湯に入りたい場合はうちの目の前にある大衆浴場をお使いください。入浴料は一人銅貨十枚でございます」


「わかったそれでいい。二人を呼んでくる、少し待っていてくれ」


店の外に待たせている二人を迎えにいく。


「うまいこと部屋がとれた。風呂はそこの大衆浴場を使うらしいが仕方ない。ここに暫く世話になろう」




案内された部屋は割りと綺麗だった。

扉を開けるとワンルームのような作りになっていた。目の前には二人掛けのテーブルと、奥にダブルベッド、ベッド奥の左側にクローゼットという作りだ。

「悪くないな」


「はい。宗一様と二人で暫く過ごすには十分です」


オレとティアはお互いの荷物を降ろして椅子に腰掛けた。


「なんかたった三日だったけど、ここまで色々あったな。旅は面白いが、危険性もある。今回ティアには怪我もさせてしまったし、すまなかった」

オレは深く頭を下げた。生娘ではないにしろ、女の肌にキズを作る原因を作ってしまったのだ。


「そんなに気にしないでください。これも私にとっては思い出になるんですから」


自然と近づいてキスしようとしたときだった。


「おーい。私がいつまでも隣部屋で待っていると思ったら大間違いだ」


そこには勝手にオレとティアの部屋を開けてジト目で立っているカルアだった。


「まったく、まだ日も沈んだわけじゃないのに盛がついた動物みたいに。服を買いにいく予定だからおとなしく部屋でまってればいつまでも来ないし、こっちから来てみればチチクリあっているとは・・・ はぁ」


おもいっきり見られてしまった。しかもため息まで吐かれている。

でもあのタイミングで入ってくるなんて、どんだけタイミング良いんだよ。


「そそそそそ そういえばそうでした、宗一様はやく買い物済ませてしまいましょう!」

ティアは完全にテンパっているみたいだ。仕方ないよな、今まで誰かに見られたことなんてなかったんだし。




宿をあとにし、三人で買い物に向かった。


ここでこの先大きな仕事をしてくれるソール登場です。


猛禽類で目がとてもいいです。まさにイーグルアイですね。


次回は男子高校生だった頃、だれしもがあこがれたと思われるアレの回です。

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