もぅ一つの世界
今までゲームだと思っていた世界。
その世界に今オレはいる。
ゲームだった頃、いやゲームでこっちの世界に関わりをもっていた頃はこの世界の名前は知らなかった。
知らないというより、知らされていなかったのだろう。
ゲームをしていた全プレイヤーが知らなかったはずだ。
この世界の名前は【ワイルディア】というらしい。
星の名前といってもいいのだろう。
地球同様いくつかの大陸が存在し、様々な国や部族が存在するらしい。
これまたゲームの頃はここまで情報がなかったため、複数の大陸があるというのも知らなかった。
日本にしか展開されていないというのも、実はこの大陸ではというだけで他の大陸では他の国の人たちがゲームをしていたのではないか。
オレの憶測だから証拠も何もないが、一応心の片隅においておくくらいは必要だろう。
今確認されている大陸は6つ存在している。
オレがいるこの大陸【シルスティア】
四季があり日本のように森林も多く住みやすい土地だ。
国土のほとんどが森林で覆われているため、物資の運搬や交流はグリフォンのような、有益な魔物で行われている。
生活物資はそれぞれの地方都市で賄えるため、主に人の移動や趣向品の運搬がメインのようだ。
北に存在する大陸【コルヌス】
年間のうちほとんどが雪で覆われている大陸で、あまり住みよい土地ではないらしい。
主な特産品は海産物で、地球でいうところの鮭やマグロが多く取れるようだ。
シルスティアの南西に位置する大陸【ウェストレイク】
この大陸も住みやすい大陸だそうだ。シルスティアに比べると気温が高く湿度も凄いらしい。
あくまで調べた限りの情報では、男性も女性も日中は水着で生活しているらしい。是非一度いってみたい。
シルスティアの南東に位置する大陸【バーンフォード】
大陸の中央に大きな火山があり、大陸の中心から東側は火山ガスの影響で人は住めないらしい。ただし、火山の恩恵として鉱物資源が豊富であり、アダマンチウムやオリハルコンなどの稀少鉱物もほとんどここでしか採掘されない。他の大陸でアダマンチウムやオリハルコンの武具があったなら、この大陸から来たものと考えていいだろう。
シルスティアから西の位置にある大陸が【フェルータ】
風が大変つよい大陸らしい。またここには現在人が一人もいないという噂だ。シルスティアと距離はあれど隣同士なので、昔は交流があったようだ。今現在は船が一隻も来ないことから、こういった噂が出ている。
最後になった大陸、シルスティアの東に位置する大陸【リバースト】
赤道からの位置はシルスティアと変わらないはずなんだが、なぜか砂に覆われているのがこの大陸だ。湿度も低く、海岸近くでも雨は滅多に降らない土地らしい。
この6つの大陸で構成されているのがこの世界だ。
戦闘においてもゲームとはあまり変わらないようだ。
やはりプレイヤースキルにほとんどを依存してしまっている。装備品に拡張スキルを付与させる事もできるが、なかなかハードな為、やすやすと手に入るものでもない。
スキル付与させる条件は、付与させたい装備を身につけた状態で該当する魔物を倒せばいいだけである。
もっとも、これが難しいわけだが。
また装備によって付けられる装備と付かない装備があり、スキルが付与された装備には刻印が刻まれる。この刻印を多くつけているプレイヤーは強いとされた。
逆を言えば、刻印がたくさん=廃人という意味にもなるのだが…。
今オレが装備している装備に【跳躍】の拡張スキルがついている装備がある。ダークチタンスケイルグリーブだ。
スケイル系の鎧はプレートアーマー系よりは軽いがやはり重量がある。
跳躍の拡張スキルがあれば、戦闘中のステップ動作、回避、攻撃をする際の高高度からのジャンプ斬りが可能となる。
この拡張スキルはスカイフロッグという蛙型の魔物がもっているが、これが曲者なのだ。
攻撃すると軽快な動きで回避され、あっというまに逃げてしまう。この時のジャンプはとんでもなく高い。むしろ飛んでいるんじゃないかと思うくらいに。
この跳躍は武器には付与されないため防具のどれかに付くことになるが、基本的には足装備に付くことが多いようだ。
稀に脚に付く事もあるようだが、戦闘での使用が難しいらしい。
オレもやっとの思いで付与させた記憶がある。できればもぅ相手にしたくない。精神的な面で。
この跳躍以外にも、ダークチタンスケイルグリーブにはスキルを付与させている。
【加速】【重力制御】【空力制御】【バランス制御】
前述の跳躍に加えて、5つのスキルが付与してある。
基本的には攻撃に当たらない戦闘スタイルにしてあるので、このスキル構成というわけだ。
加速というのは、意味そのままスピードの事。
立ち位置から一気に加速して攻撃することが可能だ。
重力制御は、名前は凄いが鎧の重さを軽減させているだけ。
空力制御については跳躍時の安定性、つまり地面に足が付いていない時の身体の動きを多少コントロールできようになる。
バランス制御についても似たようなものだ。泥や砂など足場が不安定な場所で効果を発揮する。まるで普通の地面ような感覚で立つことができる。
全身に装備するものも、部位によってわけられておりゲームと変わらない。
武器は複数可。
片手剣を2本もって二刀流もできる。
メインを両手武器にして、サブは短剣を使うといった事も出来るが、これは戦闘中のどのタイミングで変えたらいいのか判断できない内は使われることは無かった。
防具は次のとおりである。
頭 胴 手 腰 脚 足
補助装備として、イヤリング 指輪 ネックレスといったアクセサリと呼ばれるジャンルが存在する。
アクセサリは防御力が存在しないため、主に戦闘を有利に進めるスキルを付与させるのに使用する。
例えば自動回復などがこれに該当する。
瞬発的な回復力はないが、ジワジワと自動で回復するため常備する冒険者が多かった。
これから付与させにいくのは、この自動回復と通信のスキルだ。
イヤリングに付与するため、いつでもどこでも会話することができる。
ティアと一緒に町に出たわいいが、このスキルだけはどうしても欲しいと言われ、しぶしぶ現地に向かっているところだ。
「魔物は本人が倒さないといけないんだから、補助はするけどティアがやるんだよ?できそう?」
「もちろんです。宗一様は私といつも一緒じゃ嫌ですか?」
嫌なわけが無いでしょう。
鎧で隠れてはいるけど、大き過ぎる山が二つもあると想像しただけでノックダウンしそうです。
ティアの装備も一応といっちゃ失礼だが、昔売らずにとっておいたものを引っ張り出してきたものだ。ホコリはかぶっていたが、ホワイトチタンの高性能なものばかりだ。
本来プレートアーマーは全身を覆うものだが、女性用のものは男性用のものとは違うのだ。
どう違うのかと言うと、露出が多くなっている点だ。
露出が高い分、標準で2つのスキルが最初からついている。この装備を最初に考えた職人は天才だと思う。
性的な意味で。
まず一つ目のスキルは【衝撃軽減】
受けた衝撃の何割かを吸収してくれるもので、小さい衝撃はゼロになる。
二つ目は【切断軽減】
簡単に言えば切り傷が付きにくくなる。肌が多く露出している分、このスキルで防御を補うわけだ。
なんともチートなスキルだが、手ごわい相手には軽減しかしてくれない。
巨大な敵に体当たりされれば吹き飛ばされるし、鋏状の武器をもっている相手なら、腕を切られる可能性もある。
つまりどういう状態かと言えば、胴は胸あたりに鎧があるだけで、腕も肘までしか金属部がない。
脚はホットパンツのような感じで、足もひざ上10センチまでしかガードされていない。腰のベルトに付属されている白いパレオのようなスカートが妖艶さをかもし出している。
金髪垂れ耳の巨乳キツネお姉さんが、露出多目の防具で歩いているのだ。
脳内保存脳内保存
「宗一様?」
「は はい!?」
「さっきから独り言ですか?それとも浮気ですか?浮気なんですか?浮気なんですね?」
一夫多妻でもいいという話ではあったが、現実的に厳しそうだ。
無理ならティアに頑張ってもらうしかないんだけど。
うん、性的な意味で。
「浮気なわけないよ。あまりにティアが綺麗だから見とれてただけさ。こんなに美人で、白い鎧も相まって女神みたいになってるんだよ?独り言くらい出るさ」
咄嗟にでた苦しい言い訳がなんとも情けない。
それでもティアは嬉しそうだ。
微笑んでいる顔がまた可愛い。
「それならいいんですけどね。ありがとうございます、宗一様」
ピョコンとオレの前に出てくると、頬にキスされた。
不意打ちはズルイ。
汚いさすがティア汚い。
なんか使い方を間違っているような気がするが、仕方ない。
あともぅ1日でも歩けば対象の魔物がいる地点に付けるだろう。
今日だけで20キロは歩いた気がする。
さすがに最近運動してないせいもあって疲れた。
「それじゃあティア、ここで1日野宿しようか。女の子に屋根のないところで寝て貰うのは良くないけど、今日1日だけ我慢してくれ」
「宗一様がいれば、私はどこでも大丈夫です」
良いコで助かった。
我ままを言われたらどうしようと思ったが、これくらいなら大丈夫なようだ。
オレが背負っているリュックにはテントと寝袋が。
ティアの肩掛けカバンには食料などを入れてきた。
3日分持ってきたが、ここまで大量の荷物はいらなかったようだ。
「ご飯食べたら、そのなんだ。昨日の続きとかどう?」
直球過ぎたようだ。
ティアは顔を赤くしている。
「さすがお外では…、誰か来るかもしれませんので家に帰ってからではダメでしょうか?帰ったらいくらでもお付き合いしますので」
内心ショボーンという感じだが、仕方ない。
今日は我慢しよう。
そして早いところ切り上げてさっさと帰ろう!
二人で仲良く食事を済ませた後は、すぐに寝ることにした。
寝袋にはティアに入って貰い、オレはその寝袋に抱きつく形だ。
カッコは良くない。
でもここで風邪でも引かれたら大変だ。
結婚した二人、いつでも連絡を取り合うための装備品を取りに行く話です。
小説というのは難しいですね。
自分の頭にある映像を文にするのは才能が必要だと思います。
長過ぎても短過ぎてもダメ。どうやったら上手く伝わって、また読みたいと思うストーリーになるのか。
手探り部分多目ですが、以上が2話になります。