自己中
「ふられたぁぁぁぁぁ」
とりあえず言いたいことは沢山あるけど一つだけ言わせてもらった。
「…30分で行くわ」
煙草に火をつけて、めんどくさっ、と思いながらも出かける準備をする。
いつものことだからもう慣れたものである。
俺があいつと仲良くなったのは高校のとき。三年の文化祭で一緒に実行委員?みたいなのしてからだ。あいつはこれでもかってくらいB型で(血液型で性格は決まらないらしいが)、まぁいわゆる自己中だ。だからさっぱりした性格の俺(単にめんどくさがり屋なだけだが、)となんか馬が合ったのだろう。
おとなしい子だと思ってたので、最初は流石におどろいたけど。
高校を卒業して別々になってからも仲は良く、定期的にこんな悩み相談をさせられてる訳で。
待ち合わせのコンビニに着いた。
駐車場に入る前にもうわかった、建物の外で小さな物体が座り込んでる…
このまま気づかないふりするのも面白いかな?なんて考えたけど、後が面倒になると思いやめた。 車を降りてあいつの前に立つ、なんだか捨て猫みたいだなと少し笑った。
「お迎えにあがりましたよ、お嬢様」
からかうつもりで言ってみた。
「お腹すいた、なんか食わせろ!」
予想の範囲内、思わず笑ってしまった。
「じゃあメシでも食べに行くかぁ」
「美味しいとこね! チェーン店は嫌だ‼」
「了解」
そんなこといいながら2人でどこかに向かう、いつもこんな感じだ。
俺は多分、こいつのことが好きだ。でも、この気持ちを言うつもりはない。 なんでかっていうと、こいつが俺をそういう風にみてないからだ。
面食いだし、優しくされるとすぐ勘違いするし、まぁ惚れっぽいっていうのかな?
だから別に付き合いたいとかは思わない、このままの距離で、あいつにとって味方でいれればいいかなぁと思う。
まぁ実際辛くはなるんだ…と思う。
でも今は、こいつにとっての支えでいれればそれで満足。先のことなんてそのとき考えるさ。
「あー、恋したいぃぃぃぃぃ‼」
「とりあえず食べる量は減らした方がいいかな~」
「えー!我慢するの嫌だ~」
「じゃあ彼氏つくんのは難しいかなぁ」
「まぁあんたいるからいんだけどね。」
…前言撤回する日は早いかも。