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妖精発見?!のバカ

 それからしばらくフゴフゴと鳴き真似をしながら歩いていると、遠くの方に人影らしきものを見つけた。


「あっ!第一村人発見?!おーいっ!おーいっ!おーいっやっふぅーっ!!」


純は、人影らしきものの方に駆け出した。人間の限界を超えたスピードで。しかし、久しぶりに見る人影に物凄くテンションが上がっていた純は、自分の異常なまでのスピードに気が付かず止まる事が出来ずにそのまま人影にぶつかった。


「やっちまったなぁ。あいつどこまで行くんだ?にしても、あれって巷で有名な緑のおっさんだよな。でも、ないだろ~!妖精のくせにおっさんはないだろ~!めちゃくちゃブサイクじゃん!」


吹っ飛んで行くブサイクな妖精?を見ながら、純はぶつかる瞬間に何故かはっきりと見えた妖精?を思い返していた。

全身が緑色で潰れた大きな鼻、血走った目、身長は120cm程度しかないのに割と発達した筋肉。多分お気づきではあるだろうが、この世界でも、純がいた世界でも、一般的には[ゴブリン]と呼ばれている魔物の一種だという事を。


「まぁ一応謝っとくか。でも妖精って軽いんだな。あんまりぶつかった感じしなかったもんなぁ。」


いまだにゴブリンの容姿を見ても妖精と言いはる純は、ゴブリンが飛んでいった方向に面倒くさそうに歩き始めた。


少し歩くと不自然に草が押し潰され地面が凹んでいる部分があり、ここが落下したであろう地点だという事は分かったが、肝心のゴブリンの姿は無かった。辺りを見渡しながら凹んでいる場所に近くとキラキラと輝く親指大の宝石のようなものが落ちていた。


「これって…?!だっ、ダイモヤンドじゃねぇか?!」


真紅に光り輝くまるでルビーのような石を拾い上げまじまじと見つめた。あと、ダイモヤンドじゃなくて、ダイヤモンドだ。


「綺麗だなぁ。でも何でここに落ちてんだ?妖精もいねぇし。…まてよ、はっは~ん。分かったぞ!これは妖精さんからのお礼だな?ったく、律儀な奴だぜ!」


思い出してほしい。純がゴブリンを吹っ飛ばした事を。まず、森の中で急に吹っ飛ばした時点でお礼を言うケース等ほぼ無いに等しいだろう。仮に、もし相手が人間であれば間違い無く慰謝料を請求されるであろう出来事なのにお礼とはこれいかに。


バカ《純》は、宝石を握りしめ照れたように笑いながらそれをポケットに入れてまた歩き出した。



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