21年2月3日から3月30日(法隆寺、秋篠寺、法華寺)
21年2月3日(火)晴
仏像フアンとして奈良での生活をずっと考えてきましたが、
1年間の予定でついにそれが実現することになりました。
3月に秋篠寺の近くに引っ越します。
21年3月17日(火)晴
20年来の夢でありました奈良住まいが明日実現します。
正確にいうと明日の夜行バスで立つので19日木曜日の朝に奈良に土を踏みます。
奈良につけば季節はもう春です。
21年3月20日(金)晴
もうそろそろ街を歩きたいところですがまだ部屋の中は段ボールの山です。
外はいい天気です。遠くに見えるのは若草山か柳生への道か?
ああ今私は奈良の空気を吸っているのです。
それに「万葉の小経」という散歩道を見つけました。
大伴家持など万葉の歌の碑が道を誘ってくれるのです。
21年3月23日(月)晴
奈良に引っ越して4日目にようやく出かけることが出来ました。
どこを最初に訪れるかはいろいろ考えてきましたが、
奈良旅手帳によれば法隆寺聖霊院のお会式とかでした。
この1年は社寺の行事を総なめにする野望を抱いて奈良に来た者としては
いざ法隆寺となりました。
しばらくぶりの法隆寺でしたが
お会式自体はお供え物が米粉で出来た花や鳥で荘厳に飾り付けられているというくらいで
すこしがっかりでした。
でもやはりここは別格官幣社・・・
やはり法隆寺はすごい、
建物も仏像も素晴らし過ぎます。
ゆっくりと拝見すればお昼で、
旅行ガイドに載っていた「北小路」という店で昼食です。
そこの野菜オンリーの小路定食が650円で美味しく頂きました。
元気回復したそのあとは法輪寺に行き大好きな十一面観音様にお会いします。
この御寺は仏様の背中が拝見できていいです。
十一面の後ろの暴悪大笑面が見られるのはあまり例がないです。
法輪寺のあとは法起寺の三重塔を眺めて帰路につきました。
21年3月24日(火)晴
奈良の住まいは奈良市神功というところです。
私が借りている部屋の東側からは笠置山地の連なりが、
西側の方は生駒山が綺麗に見えます。
やはり奈良は山に囲まれているんですね。
盆地なんですね。
これまで住んでいた千葉県北総地域から見える山は富士山と筑波山くらいでしたが
山が見えるというのは新鮮な感じです。
でも盆地は冬寒く夏暑いと聞いていましたが
これまで住んでいたところの方が寒かったような気がしますがどうなんでしょうか?
あと奈良にはため池がとても多いのは雨が少ないせいなのでしょうか?
奈良という街は坂東から来た私のようなアズマエビスを優しく迎えてくれるのでしょうか?
ちょっと不安です。
神仏にすがればきっとお救いくださることを信じたいです。
21年3月25日(水)晴
今日はなにがなんでも秋篠寺の伎芸天様にご挨拶です。
せっかくご近所に引っ越してきてまだご挨拶もしていませんでした。
ご近所と言っても徒歩で30分自転車で15分の距離です。
でもまあ散歩コースと言ってもいいでしょう。
さてお寺に着きました。
というより彼女のお宅についたという感じです。
御庭には美しい苔がむしていい雰囲気です。
次第に胸が高鳴ってきます。
お堂に入るといらっしゃいました。
相変わらずお美しい!全然ふけていない!
彼女が私に向けて微笑んでいるようで至福感が全身を貫きます。
おもむろにこうべを垂れて私は祈ります。
「奈良に住むことが出来て有難うございました。
これからの奈良の生活が充実したものになりますように。
千葉に残してきた家族に安寧に暮らせますように。
世界が平和でありますように。
貴女様のような美しい女性と出会いますように。
」最後の祈りは少し密やかにしましたし
家庭が円満でありますようにと付け加えておいたので問題ないでしょう。
伎芸天様は一層微笑まれたようです。
もう今日は何も要りません。
帰宅途中に学校の校門の桜が咲き始めていました。
21年3月27日(金)
晴今週はまた冬に戻ったかのような寒い日が続きます。
でもやはりじっとはしていられません。
開帳が4月7日までとなっている法華寺に行きました。
この十一面観音様も教科書に載るほど有名で御写真は何度も見てきましたが
実物を見てびっくりなんと小柄なお姿ですね。
まず特徴である長い右腕に注目です。
その指先はスカートをつまんでいる感じで愛らしいお姿です。
唇に残る朱色はやはり目を引き付けられますが
最近の女性にはみられないルージュの引きかたですね。
しばし美貌の光明皇后を思い浮かべていました。
このお寺の正式名称は法華滅罪寺といい罪深い女性のためのお寺とか。
女性が罪深いとは私も納得しておりますがやはりすごい名前の寺だと思います。
でもやはり尼寺らしくお庭が優雅です。
21年3月30日(月)晴
今日から4月5日まで花会式ということで薬師寺へ。
確かに寺内には幡がはためき薬師三尊のおん前には花が盛大に備えてありました。
お寺の方に今日は何か行事があるのですかと聞くと
今日はぼちぼち準備してだんだん盛り上がり4月3日は稚児行列などがあり、
5日の夜には鬼追式があるとのこと。
ああ早く来すぎた、これからもう少し情報収集してから来なくてはと後悔しても遅いのです。
やはり奈良市民ビギナーはもう少し先輩に教わらなくてはと反省しました。
ところで日光月光両菩薩様には昨年の春に上野にお出ましになり
優雅な後姿を拝見しましたが当然のことながら本拠地で拝見出来るのは前からだけです。
それでも横に回って少しでも後姿を忍びたいと首を伸ばして見た次第です。
いずれにしても薬師三尊、聖観音菩薩の安定感のある美しさはすごいですね。
それと東塔の優美さは言葉を失います。
ふとみるとお庭の桜もほぼ満開に近くよく晴れた青い空に映えていました。
薬師寺を辞してこれまでは唐招提寺に寄るのが定番でしたが、
奈良の住民となって「一日一寺」という原則を守りそのまま帰路につきました。
いうまでもなく印象が散漫になるのを防ぐためです。
これが出来るのは奈良住まいの特権です。