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幻影


数日後。天王寺学院では、昼休みのチャイムが鳴っていた。三崎京介は、明るい中庭のベンチでサンドイッチを食べていた。クラスメイトに囲まれ、穏やかな笑顔を浮かべながら談笑している。

彼の目は澄んでいた。まだ、世界の裏側など知らない瞳だった。


同じ空の下。曇り空の向こうで、一通の退学届が、無言のまま処理される。

教室の片隅で女子生徒が二人で話していた。


「そういえば……最近神谷君みないよね」


「期末近いから、数学教えてもらいたかったのに……」


「またまたぁ、あんた才君にちょっと気があったんじゃないのー?」


「そんなんじゃないしぃ! でも、三好君も数学得意なんだよねー」


「あんたってほんと切り替え早いよね」――ー


才の名は記録から消え、誰の記憶にも引っかかることはなかった。

街の片隅では、夜を背負って歩き出す少年が一人―― 静かに、しかし確かに、いた。

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