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画策

闇天狗の兵隊たちに囲まれた京志。その光景を、少し離れた所から才が静かに見下ろしていた。

だが才の目に、京志の姿は映っていない。彼の視線は京志のその先、堂島と近藤――潰された駒だった。


「予定通りやな。壊れるべくして壊れた。今さら気づいても遅いで。もう火はついた、とめられへん」


口元をゆるく歪め、吐き捨てるように笑う。その笑いには、情も、怒りも、勝者の高揚もなかった。ただ、計画通りの損失を確認したにすぎない。


「これで残るは猛――。あいつさえ排除できれば、盤は整う」


そう呟いた才の目が、一瞬だけ細くなる。


「けどな。猛の抜けた“闇天狗”に、値打ちが残るかいうたら、怪しい話や」


才は鼻先で笑う。


「名前が一人歩きしてるだけの看板なんぞ、拝むやつはおらん。中身スカスカの器に、誰がすがるかいな」 


“京志一家の戦力を削りながら、同時に闇天狗を乗っ取る”その不安定で危うい綱渡りにこそ、才の野望は張り詰めていた。そして、その中心に必要なのは――


「あいつや」

 

才の目が、ひとりの男に吸い寄せられる。

 

後藤竜。

 

力、カリスマ、狂気――何より「血」を持つ男。

だがそれを才は、「信じる側の弱さ」としか見ていない。竜の姿を、まるで使い捨ての駒の価値を測るようにじっと見据える。その目に、もはや人の温度はなかった。

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