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土曜

― 第三土曜日深夜一時、廃墟のような駐車場。

バイクのエンジンが止まり、男たちが不気味な沈黙で立ち尽くす。


真っ黒な特攻服が、闇の中に引き立って見える。

五十名を超える闇天狗の兵隊たちが、規律を保ち整列している。その最前列で、後藤猛が腕を組み、石像のように黙して立つ。隣には、神谷才が無表情のまま、冷たい視線を宙に漂わせていた。

男が前に立った。


堂島大吾――“人間凶器”として名を馳せた、闇天狗十三代目親衛隊隊長。


黒い特攻服に金刺繍が鈍く輝く。背中には「闇天狗」、そして「一撃必殺」の四文字。鋭い眼光と、特攻服の切れ込みから覗く無数の傷跡が、彼が歩んできた道のりの険しさを物語っていた。

駐車場の全員の視線が、磁石のように彼に吸い寄せられる。


「――小野原がやられた。特別遊撃隊もろとも、クソガキ共に潰されたんや」


その一言に、誰もが息を呑む。


「舐められとんねん、俺らは。“闇天狗って看板だけの古株や”っちゅう顔で、連中は堂々と笑っとる」


堂島は言葉を吐き捨て、一人ひとりの顔を射貫くように睨みつけた。


「ふざけんなよ……! 俺らなんのためにここまでやってきた? 雨ん中で喧嘩して、仲間の血ぃ拭いて、この看板背負ってきたんや、この”西成”で!!」

 

声が荒くなる。彼の怒りは、兵隊たちの心に火をつけた。


「おまえら忘れたんか! 俺らぁただの集まりちゃうぞ? 俺らは闇天狗や! “十三代繋いできた、命賭けの名前”やろがい!!」


―――――


「なめられて、何も返さんで、何がチームや。何が看板や。取り返すぞ! 誇りも、怒りも、全部! こんなモン、戦争やろがい! 京志一家、叩き潰せ! 教えたれ!“この街は今も、闇天狗がまわしとんや!”ってなァァァアア!!!」


歓声、爆裂。怒鳴り声、ブーツの音。


その熱狂を背に、才が静かに目を伏せ、口元に歪んだ笑みを浮かべた。

猛がゆっくりと前に出る。


「……やれ。全部や」

 

堂島を先頭に闇天狗の集団が、夜の街に突入していく。彼らの誇りをかけた戦争が今、始まった。

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