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信頼

–––どれほどの時間が経過しただろうか。


竜は肩で激しく息を切り、崩れそうな体を支えていた。床は自身の血で濡れ、呼吸は肺が擦れるような音を立てている。右目は腫れ上がり、視界はほとんど閉ざされていた。それでも、彼の膝は地面につくことを拒んでいた。 向かいには、脂ぎった筋肉の塊が、無邪気なまでの残虐さで見下ろしている。


「まだ立っとんの? ほんま、諦め悪ぅて草やわぁ」


響が重厚な一歩を踏み出した瞬間、背後の扉が凄まじい爆発的な衝撃と共に吹き飛んだ。


「――竜ぅぅッ!!!」


春也の怒号が廊下に響き渡る。

その後ろには京志、江藤、角田、川上、そして一中の連中たちが揃い踏んでいた。 京志一家の乱入により、場に新たな緊張が走る。


「おぉ、これはこれは大勢のお客さんやなぁ」


武市リクが拳銃を弄びながら楽しげに言う。


「でも勝手したらあかんで……客は客らしく……な?」


その殺意を前に、一家の面々に緊張が走る。

だが、それを打ち消すように春也が叫んだ。


「お前一人で行くなや!! ブチギレてんのはお前だけちゃうぞ、竜ッ!!」


一歩踏み出そうとした春也を、竜が左手で制止した。かすれた声には、消えることのない魂が宿っていた。


「来んな……こいつだけは……俺のケジメや」


春也が唇を噛みしめる。


「……バカが」


京志もまた、静かに一歩前に出た。


「ほんまに立てるんか」


竜は血に染まった顔で、不敵に笑った。


「命かけてでも、倒したる。それが俺の……やり方や」


京志と春也は一瞬だけ沈黙し、その覚悟を受け止めた。京志が背を向けて言い放つ。


「好きにせぇ」


春也も顔を逸らし、突き放すように言葉を投げる。


「負けたら……ぶっ飛ばすからな、アホ」


京志一家が距離を取る中、響は目の前の獲物だけを見据えていた。


「さっきより目ぇ生きとるやん。ええなあ、壊しがいあるわホンマ」


振り下ろされた拳が、竜の肩を激しく打つ。内臓がひっくり返るような衝撃。膝が折れそうになるが、竜はそれを踏ん張った。


響の表情から笑みが消え、底冷えするような威圧感が膨れ上がる。


「ほな、全部ぶっ壊したるわ」


二発目、空気を切り裂く轟音のような拳。竜は紙一重でそれを捌いた。拳が壁の鉄板に突き刺さり、火花と塵が舞う。その視界の端を、竜が突き抜けた。


「これでどうじゃオラァ!!」


頭突きの一閃。額がぶつかり、鮮血が飛び散る。


「えっぐ……あいつほんま、アホやな……」


春也が呟く。


「けど……それが“竜”や」

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