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村人Aとヤンデレ勇者(♀)  作者: 九條葉月


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報告

 


 サナの武勇伝とてもながいが終わったあと。


「そういえばサナ。冒険者ギルドに報告した?」


 先ほどギルドマスターのデーニッツさんが帰ったばかりなので、もしかしたら入れ違いになったかもしれないね。


「ん、まだ」


「まだかぁ~。じゃあ、早く報告しないとね」


「うん、分かった。……その前に、ガルスたちがニキに話があるって」


「話?」


 僕がガルスさんたちに視線を向けると、ガルスさんはちょっと言いにくそうに咳払いをした。


「あー、なんだ? ニキ、実は相談があってな……」


 ガルスさんは何度か唸ったり店内に視線を漂わせたあと、まずは雑談をして場の空気を暖めようと判断したらしい。


「あー、ニキ。爺さんの店を手伝うなんて感心じゃないか」


「え? あ、うん。もちろんだよ。師匠も最近は重いものを持つのが辛くなってきたって言っていたし。……それに、もうすぐ僕のお店になるんだからね。頑張らないと」


 代金の支払い自体は終わっているけど、まだ引き継ぐことは残っているからね。


「……は?」


「うん?」


「ニキの、店?」


「うん。僕の店」


「じ、爺さんは引退するのか?」


「うん。もう歳だからって。僕の貯金全額で買い取ったんだ」


「……ニキの店……貯金……全額……」


 愕然としたあと、ガルスさんはリッラちゃんとアイリスさんを引っ張ってお店の端に移動した。そのまましゃがみ込み、円陣を組んでなにやら小声で相談を始める。


「おおーい! これから『勇者パーティーに戻って欲しい』って説得しようとしていたのに!? どうなっているんだよ!?」


「知りませんよ!」


「お店……弟子が師匠のお店を引き継ぐのは普通だけど、まさかこんな短期間で話が纏まるとはねぇ」


「それはめでたいが、問題はそうじゃねぇ!」


「お店があるなら勇者パーティーに復活させるのは可哀想ですよね」


「そうね。しかも貯金全額使っちゃったというし」


「くっ! ニキって意外と思い切りがいいんだよな!」


「まぁ、そうでもなければサナちゃんの旅立ちに同行しませんよね」


「自分から命の危険に飛び込むようなものだものねぇ」


「……どうするよ?」


「どうしようもないのでは?」


「すでにお店の引き継ぎまでしちゃったのなら、パーティーに復帰させるのは無理でしょう」


「……なんてこった……」


 なんか、叫びながらも小声という器用なことをやっている三人だった。





 ――冒険者ギルドにて。


 勇者パーティーからの報告を受けたデーニッツたちは騒然としていた。


 四天王の二人目を討伐できたことは喜ばしい。


 城と魔族を放置したのも、まぁ理解できる。そもそも勇者パーティー四人で城を落とせという方が無理な話なのだから。あとは国の騎士団の仕事となる。


 だが、討伐の証として生首を渡されたのは困りものだった。


「ぎ、ぎ、ギルドマスタぁー、どうするんですかぁあああぁあ……」


 ドアの影に隠れ、ガタガタと震える受付嬢・エリー。デーニッツとしては「ギルドの受付嬢が情けない!」と叱りたいところだが、人間(にそっくりな魔族)の生首がテーブルの上に置かれている現状は恐ろしすぎるのであまり強くは言えないのだった。


「ま、とりあえず王城に報告だな。しかしどうしたものか……。謁見の間に生首を持って行くわけにもいかねぇし……。報告だけ出して、とりあえず騎士団の詰め所あたりで保管してもらうか」


「……ギルドマスター、それ、国から『ギルドで保管しておけ』って言われたらどうするんですかぁ……?」


「そりゃもちろん、ここで保管するしかないだろ」


「い、嫌ですよ!? 呪われたらどうするんですか!?」


「呪いってお前……」


 そんな呪術師や死霊術士じゃないんだから……と呆れかけたデーニッツだが、やめた。四天王ほどの『格』を持つ存在だ。生首だけで動いたり呪いを発したりしても不思議ではなさそうに思えたからだ。


 おそらく、国としても魔王討伐事業の成果報告や王家の威信を示すために生首を持って行くとは思うのだが。


「……いざというときはサナに頼んで燃やしてもらうか」


 そんなことを考えるデーニッツだった。



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