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村人Aとヤンデレ勇者(♀)  作者: 九條葉月


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23/55

言質


 アリサさんは盗賊の捕縛をするためにやってきたらしい。


 本来ならうちで現場検証をしたあと、第四騎士団(警察)と協力して強盗犯を探すところなのだけど……今回はボクたちがすでに捕縛していたので時間的な余裕はあるみたい。


 なので自然な流れでお茶をすることになる僕たちだった。少し前まで勇者パーティーとして活動していたから、空間収納(ストレージ)には野営道具(キャンプ用品)が準備されているのでお茶くらい淹れられるのだ。


「……うん、やはりニキ君のお茶は美味しいね。一生飲みたいくらいだよ」


「ははは」


 お世辞の上手なアリサさんだった。


 お茶を啜り、一息ついたあと。雑談をする中で話は自然とアリサさんのことになった。


「騎士団が大規模な作戦を準備しているんですか?」


「そうだね。サラたちが四天王の一人を討ち取ったから、その領地を攻め取るために王太子自ら騎士を率いるつもりらしい」


「ふへぇ、すごいことになりそうですねぇ」


 僕としては「戦場に立つなんて凄い王子様だなー」という感じだったのだけど、


「……あぁ。凄いことになりそうだ……」


 なんだか不安そうな顔をするアリサさんだった。まぁアリサさんは心配性だからね。王子様が戦場に行くことには反対なのだと思う。


「ということは、アリサさんも出陣を?」


「そうなるね。国王陛下直々に、王太子の『お守り』を任されてしまったからね」


 お守りって。まるで幼子に対するような……。ま、経験豊富なアリサさんからすれば王子様も子供にしか見えないということなのかもね。


「とはいえ騎士団の準備もすぐに終わるものでもないからね。まだしばらく掛かるはずさ」


「そんなものですか……。アリサさんなら大丈夫でしょうけど、気をつけてくださいね?」


「――くうっ」


 なにやら下を向いて胸を押さえるアリサさんだった。大丈夫です?


「そうか……これがサナのよく言っている『萌え』という感情か……萌芽……」


「もえ? ほーが?」


「いやなんでもない。ニキ君が心配してくれたのが嬉しくてね。少し大げさな反応をしてしまったよ」


 この程度の心配で感動するとは……騎士って大変なお仕事みたい。まぁ訓練とは厳しそうだしね。


「そういうニキ君はどうなんだい? 勇者パーティーを抜けたのだからこれから大変だろう? もし行き先が決まっていないのならボクのところに来てもいいんだよ?」


 アリサさんのところ? どこだろう? ……あぁ、騎士団の宿舎とか? たしかにあそこなら炊事洗濯掃除とお仕事一杯そうだよね。正直かなり魅力的だと思う。


「うーん、残念ですが、もう行き先は決まっているんですよね」


 なにせこの店の代金は支払い済みなのだ。


 ガタリ、と音を立てて立ち上がるアリサさん。


「決まっている!? まさかサナのところに!? くっ! 油断も隙もないじゃないか! 病んでる割にヘタレだからまだまだ平気だと思っていたのに!」


 やんでる? 何が? 誰が?


 訳が分からなかったのでアリサさんに質問しようとしたのだけど、なにやら彼女は一人で盛り上がっていた。


「――ニキ君! ボクは二番目でも大丈夫だよ!」


「へ? はい?」


「了承したね! さすがニキ君器が大きい! そうとなればさっそく騎士団を辞めて――あぁ! でも王命が! 馬鹿王子のお守り役が! すまないニキ君まだキミの元に行くことはできないようだ! だが安心して欲しい君を一人にはさせないからね! なにせ僕にはサナのような使命はないからね! 一度騎士団を辞めてしまえばこちらのものさ! だからもう少し! もう少し待っていて欲しい!」


「えーっと、よく分からないですけど……まぁ、いつでも大丈夫ですよ? 僕はずっとこの店にいますので」


「……ずっと、この店に?」


「はい。このお店を買って、後継者になりましたので」


「…………というと、『行き先が決まっている』というのは?」


「このお店ですね」


「……………………なるほど、どうやら早とちりしていたようだ。だが二番目でもいいと言質は取れたのだから良しとしようか」


 なにやら「ぐへへへへ」っとばかりに笑うアリサさんだった。なんだろう? どうしてか寒気がするね?


「魔性……」


「魔性……」


 なんか呆れたような口調で呟く師匠とデーニッツさんだった。ましょー?




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