デート?
「――デート♪ デート♪ デート♪」
僕の手を握りながら、上機嫌に腕を振りながら歩くサナだった。
ちなみに『デート』とは恋仲にある男女が一緒にお出かけすることを示す貴族言葉らしい。
けど、どこでどう間違えて覚えたのかサナは僕と一緒にお出かけすることを『デート』って言っちゃうんだよね。たぶん「仲のいい子と出かけること」くらいの感覚なのだと思う。
「むふふ、ニキとデート。完全無欠のデート。魔王を倒せば毎日デートできる……」
「いやぁ、毎日は無理じゃないかなぁ?」
働かないと生活できないし。やるにしても休日だけでしょう。……あ、でもサナは魔王討伐の報酬としていっぱいお金がもらえるから平気かな? いやいや僕はもらえないのだから普通に働かないとね。まさかサナに生活の面倒を見てもらうわけにはいかないし。
サナは僕に同情してお金をくれようとするかもしれないけど、やはり友達として、幼なじみとして、受け取るわけにもいかないよね。サナが頑張ったからこその報酬なのだから。
「毎日は無理!?」
なぜか衝撃を受けた様子のサナだった。毎日お出かけするつもりだったの?
「うう……この世には神も仏もない……」
ほとけ、ってなに?
「……世界を滅ぼせばニキと一緒にいられる?」
「世界が滅びちゃったら僕も死んじゃうかなぁ」
サナなら大丈夫かもしれないけど、僕はちょっと無理だよね。
「ん。それはダメ。世界はなんとしても救わないと」
なんだかよく分からないけど、やる気になってくれたのだからまぁいいかな?
ちなみに『でーと』だけど、今日もまた挨拶回りの最中だ。四天王の一人を倒したらしいし、冒険者ギルドに報告しなくていいのかなぁとは思うけど、そういうのはガルスさんたちに任せるみたい。そのガルスさんたちはまだ帰って来てないけど。
……うん、まぁ、正直、サナって説明とか報告が下手くそだからなぁ。「バーンとやったら消し飛んだ」とか真顔で口にするし。報告を受けるデーニッツさんたちにとってはガルスさんたちからの報告を待った方がいいかもね。
というわけで。僕たちは仲良く手を振りながら『師匠』の元へ向かっているのだった。
師匠、とはいえサナとは直接的な関わりは薄い。僕が鑑定眼を使いこなせるよう師事した初老男性で、骨董品店というか……魔導具屋というか……なんだか怪しい物品を販売するお店をやっている人だ。
サナとはあまり仲が良さそうじゃなかったけど……まぁ、今のサナは上機嫌だから平気かな?
そんなことを考えながら歩いていると、
「――サナぁ! やっと見つけたぞ!」
聞き慣れた怒声が背後から響いてきた。
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