表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
59/61

大作RPGに割とある過去編㉔

「おじゃましています。斎藤です」


俺が一声掛けると、一度こちらの方を見るが、その後興味が無いという様子で、何も言わず明後日の方を向いてしまった。


「ごめんなさい。お母さん朝からずっとあんな様子で、現実をまだ受け入れられていないようなんです。


お兄ちゃんのこと本当に大切にしていたから。だからその分余計に辛いんだと思います。


今はそっとしてあげて下さい」


美咲ちゃんが俺の耳元でそっと説明してくれる。


確かに考えてみればまだ遺体を発見してからそんなに時間が経っていないし、これが普通の反応なのだろう。


そう考えると美咲ちゃんの心の芯の強さに改めて驚かされる。  


もう少し美咲ちゃんの様子を観察しようと視線を美咲ちゃんの顔に戻すと、美咲ちゃんははにかみながら、


「斎藤さん、こちらを見てもらえますか?」


と声を掛けて、裏面になっている白い封筒を手渡してくれた。


一瞬心の芯がヒュンと冷える感覚がした。


それは遺書なんじゃないか? という疑惑が心の隅に生まれたからだ。


見たくない、と思う気持ちがあると同時に、見て現実を受け入れなければならない、という使命感が湧きあがってくる。


俺は美咲ちゃんからその封筒を受け取り、表面をゆっくりと向けた。


「遺書 先行く僕を許して下さい」


封筒の表面には田村君の字でこう書いてあった。


いつもの田村君の字だ。細く繊細な性格を映し出しているような綺麗な堂々とした字で悲しくなる。


俺は震える手で封筒の中から手紙を取り出して、ゆっくりと読み始めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ