大作RPGに割とある過去編㉒
学校を出ると陽がさんさんと射す中をある方角へ意思を持って歩き出した。
太陽が南中する最も熱い時間を長時間歩くことは普段あまりないことで、暑くて全身から汗が滴り落ちたが、それよりも俺はある種の使命感に駆られており、全身の感覚がマヒしてほとんど何も感じていなかった。
どこをどう通ったのかも、その途中で何があったのかも全く覚えていないが、気がつくと過去に2回だけ遊びに行ったことがある田村君の家の前に着いていた。
俺の中にあった田村君の家にいかなければいけないという強い思いだけが、俺を動かしていたのだろう。
それはあたかも夢遊病患者が徘徊するような、そんな様子だったんじゃないだろうかと、今になってはそう思う。
家の前まで来て改めて我に返る。
さっきまであんなに強い使命感によって突き動かされてここまで来たのに、いざ扉の前に立つとインターフォンを押す勇気が出てこない。
田村君のお父さんやお母さんが今どんな気持ちなのだろう?
怒っているんだろうか?
泣いているんだろうか?
そんな中俺が訪ねて行って追い返されはしないだろうか?
などと嫌な想像ばかりが頭の中で再生されて離れない。
2、3分扉の前で逡巡していただろうか、俺がインターフォンを押すと決断する前に、ふいに扉の方が先に開いた。
もしあの時扉が開かなかったら、俺は一生あの扉の前で逡巡を続けていたんじゃないか、とさえ思える程、インターフォンを押すのが躊躇われていた。だから扉の方から先にアクションがあったことは天の助けのように思われたし、同時に地獄からの誘いのようにも感じられ、身構えてしまった。




