大作RPGに割とある過去編⑯
本当なら全てのことを家族に相談して、一緒に考えるべきなんだろうけど、現代の家族の僕達にはそうやって根元まで結びつくことはできない。ただ茎や葉を寄せ合って、それぞれ支え合いながら、それぞれの花を別々に咲かせることを望む、そんな現代家族を地でいく家庭だから、やっぱり相談なんかできなかった。
家を出た時間はいつも通りだったが、俺は出来るだけ田村君と顔を合わせる時間を減らすために、公園で少し時間を潰して、始業の時間ギリギリに教室に駆け込むことにした。そうすれば田村君とも誰とも接しなくて済むだろう。
3,2,1……心の中で数えて勇気を出して教室に滑り込む。一目散に自分の席に着くと、すぐにHRの本鈴が鳴った。
少し安心して周りを見渡すと、急に走り込んできた俺の奇行に怪訝そうに眉をしかめる隣席の女子が目に入った。でも、ぺこっと首だけで挨拶をすると、特にそれ以上追及されることもなく前を向いてくれた。
それ以外は特に何もなくいつも通りの教室のようだった。
いや、いつも通りではない。
いつも居るはずの田村君の席に、田村君が見当たらないのだ。
田村君とどう接していいのか分からず、こうやってギリギリにきたのに、いざ田村君の姿が見えないと、ほっと安心する。
だが一方で、あの真面目で今まで休んだことが無い田村君が何故今日に限って居ないんだろう、とすごく不安な気持ちが首筋を掠める。
やがてガラガラっと教室の扉が開き、担任の中島先生が姿を現した。
「みなさんおはようございます」
中島先生はいつものように元気よくみんなに挨拶をしたが、田村君が居ない事を確認した中島先生は、いつもより元気が無いように俺には見えた




