大作RPGに割とある過去編⑬
再び田村君の語気が荒くなる。
気づけば田村君の目からも涙が滲み出ている。俺はもう言い返す術が無くて、ただただ涙を拭きながら鼻を啜るしかなかった。
「君には本当に失望したよ。これから僕がどうなるかをせいぜい楽しんで見ていればいいさ。さようならだ」
田村君はそう吐き捨てると、涙顔を隠すように俯きながら駈け出していく。
それを眺めながら俺はただ、立ち尽くすしかなかった。
田村君が2つ先の交差点を曲がり姿を消しても、何も考えらずにしばらくぼーっと立ち尽くしていたんだと思う。
夏の夕暮れは明るく、他の季節より陽気な気分で帰宅することが多いが、この時ばかりは真冬の夕暮れよりも冷たく、真っ暗な気持ちになって家に帰ったのを覚えている。
ただ、どうやって家にたどり着いたのかは全く覚えていない。
家に着くと自分の部屋に閉じこもり、ベッドに飛び込んで、しばらく布団に包まって声を殺して泣いた。
ただただ悲しくて、でも家族の誰にも知られたくなくて、声を殺して泣いていた。
「どうしてこうなってしまったんだろう?」
「なんで俺ばっかりこんな思いをしなければいけないんだろう?」
そんな思いがグルグルと頭の中を駆け巡っていた。
どれくらいそうしていただろうか? 夕飯にも出てこずに、お風呂にも入ろうとしない俺を心配して、母さんが一度声を掛けに来た。
「一真どうしたの?ご飯は食べないの?」
「……明日大事なテストがあるから、先に勉強をしておきたいんだ。置いておいてくれたら、後で切りのいいところ食べるよ。お風呂もそのあと入るから、今日は気にしないで」
「そうなの。大変ね。あんまり無理はしないように頑張ってね」
俺は適当な理由をつけてそのまま部屋に閉じこもった。
せっかく心配してくれたのにごめん母さん。




