大作RPGに割とある過去編⑩
休み時間が来ても俺はやはり田村君には声を掛けることができなかった。
憔悴しきっている田村君に俺が一体何て声を掛ければいいんだろう。本当に掛ける言葉が見つからない。
色々と考えはするけれども行動には移せず、時間だけが刻々と過ぎていく。
6時間目の数学の授業が終わり、下校時のHRの時間が来ても田村君の表情は険しいままだった。
中島先生が再び現れ、いつも通りの簡単な連絡を伝達した後、終礼を行い下校の時刻が訪れた。
再び田村君が中島先生に連れられておそらく職員室へと向かうのが見えた俺は、このまま田村君を捨て置いて帰るのも忍びなく、田村君が戻ってくるのをそれとなく待つことにした。
数学の宿題をやるふりをしてノートを開くが、問題を見ても公式も考え方も浮かんでくる訳もなく、ただ鉛筆を握って考える姿勢で、ぼーっと時が過ぎるのを待っているだけになってしまった。7
ガラッ、
やがて教室のドアが開く音がし、先ほどよりも憔悴した顔で田村君が戻ってきた。
まさに満身創痍と言った言葉が最適と言えるほど精神的に参っているのが一目で見て取れた。
教室には俺しか残っておらず、それ確認して俺は勇気を振り絞って、席に座ろうとしている田村君に声を掛けるために近づいた。
「田村君今から帰り?良かったら一緒に帰らない?」
「……うん。いいよ。」
田村君は少し考えてから承諾し、自分の机を片づけて帰り仕度を始めた。
そこで俺も急いで席に帰り、開いていた勉強道具などをカバンに突っ込んで荷物をまとめ、田村君と同じタイミングで教室を後にした。




