大作RPGに割とある過去編⑦
「分かった。先生たちも慎重に田村に不正をやめるように指導していくつもりだ。
今日のところは本当にありがとうな、斎藤」
先生は真実を確証したことによる落胆と、俺への感謝の気持ちとまぜこぜになった深い瞳で俺を見ながらそう言った。
これからどうなるのかは俺にも予想はつかないが、きっと先生たちなら上手いことしてくれるはず。俺は心の底からそう願った。
そこで話は終わり、俺は職員室を出て帰路についた。
退室する際に、心の底から『田村君を救ってあげて下さい。』と願いながら頭を下げた。
初夏の下校路は夏の訪れを確かに感じさせるほど鋭く暑く、カッターシャツの中のインナーがグショリと濡れて気持ち悪かった。
俺の選択は本当に正しかったのだろうか。
本当はあそこで田村君のことをかばって、知らない、カンニングなんてしていないと思う、と主張するべきだったのではないだろうか。
そんな後悔がふつふつと沸いて出てくる。そんな迷いを断ち切るべく俺はもう一度考え直した。
俺は「田村君を助ける」という良いことをしたのだ。これ以外に無いというとても良いことをしたのだ。そう信じることにした。
きっと先生が諭せば田村君も自分の過ちに気付き改心してくれるだろう。
そうだ。
そしてこの前のことも水に流して、また一緒に笑いあえる日がくるだろう。
そう信じることにした。
薄闇を帯びてきた帰り道はやがてくる夕食の時間を控え人通りも少なく、さまざまな思いを想起させてくる。
俺は少し駆け足になりながら家路を急いだ。早く帰って来週の小テストに向けての勉強に没頭したい。そんな気持ちが俺の体を突き動かしていた。




