大作RPGに割とある過去編⑤
先生も周りをさりげなく気にしての対応だったように思う。
椅子に腰かけるように促され、対面に座った中島先生はいつものような調子で話し始めた。
「わざわざ帰り際に寄ってもらって悪いな」
そう切り出した先生は神妙な顔で話を続けた。
「斎藤もなんとなく気が付いていると思うが、今日来てもらったのは田村のことなんだが……」
少し間を取って話続ける。
「実はな、どうもクラスで良くない噂がひろまっているようなんだ。田村がカンニングをしているとか。
それが嘘の噂なら何の心配もなく放っておくところだが、どうも、その、なんだ、ここだけの話本当のことのようでな。
噂が広まる前から先生達も気にはしていたことなんだ」
先生はこう話し始めた。どうやら先生も事前に田村君のことは知っていたようだ。
「とてもデリケートな問題なんでな。それでこうして斎藤に来てもらったんだ」
「……田村君のカンニングと俺とどう関係があるんですか? 席だって遠いし」
「いや、お前が見せているとか、協力してるとかそういうことでは無くてな。
お前みたいなやつがそんなことするはずないし、そうじゃなくて……」
先生はどうも歯切れが悪い。確かにデリケートな問題ではあるが、何を言いたいのかよく分からない。
「ずばり聞くが、斎藤から見て、田村はカンニングをしていると思うか?」
どうやら覚悟を決めたようで、先生は俺の目を見て核心に触れ始めた。
「実を言うと田村がカンニングをしているという噂は聞くが、どうも確証ができなくてな。そこで田村と仲の良い斎藤に何か知っていることがあれば聞きたいと思ったんだ。何か田村からきいていないか」




