大作RPGに割とある過去編④
止めることもできずに無力な俺はただただ絶望することしかできなかった。先生に言うことも考えたが、友達を自分の手で破滅させることと天秤にかけると、やはり出来なかった。
しばらくは悶々とした日々が続いた。俺自身も悩んでしまいあまり勉強に身が入らなくなってもいた。
このままではだめだと心のどこかで思っていた矢先、事件が起きた。
田村君の行動に気がついた人間が他にも居たようで、クラスの中でどこからか、
『田村君がカンニングをしている』という話が出始め、火が付いた導線のようにクラス中に広がってしまった。
それでも田村君は俺に何も話しかけはしなかった。
そうなると先生達も黙ってはいない。
かといって本人を直接責め立てるほど無能でもないようで、田村君と一番親交の深かった俺に白羽の矢が立った。
「斎藤、放課後職員室に来てくれるか」
あれは蒸し暑い7月の昼食前、ミンミンゼミが主張を始める中での呼び出しであった。
いつも通り帰り支度を整え、いつもと変わらぬそぶりで教室を出た俺は何気ない仕草で職員室へと向かった。
別に入室に際して周りを気にするようなこともせず、普段通り職員室に用事があるような体で入った。こういう時はコソコソとして入る方が逆に怪しいものなんだ。
職員室では担任の中島先生がパソコンで作業しているのが目に入った。
「すみません。」
別に待ち構えている様子でもなかった中島先生は、俺が声を掛けるとなんでもない様子で振り返り、
「おう、来てくれたか。ちょっとこっちで話をしようか」
と来客用の椅子へ俺をうながした。




