大作RPGに割とある過去編③
力ない声が田村君から続く。
「どうして。どうしてカンニングなんかしなきゃいけないんだよ。
お前ならそんなことしなくても勉強はできるだろ。
どうして、どうして!」
口から出てくる言葉が段々きつくなってしまっているのを自分でも感じる。
「そこそこじゃダメなんだよ。そこそこじゃ。
親が納得してくれない。
俺は優秀じゃないとだめなんだよ」
顔は見えないが泣きそうな声が聞こえてくる。その声を聞いていっそうやるせない気持ちになってくる。
「だからって、ずるしてもむなしいだけだろ。
そんなことしてお前嬉しいのかよ。
楽しいのかよ」
言葉に力がこもる。
「俺は嬉しく無くても、むなしくても、親は嬉しいよ。
……それが全てだ。」
そう言って田村君は言葉を切った。なんとも言えない重苦しい沈黙が教室に流れる。
しばらくして田村君が初めて顔を上げた。
「先生には言わないでね」
田村君の顔は涙こそなかったが、とても悲しい辛そうな顔で、俺は今でもこの顔を忘れることができない。
田村君はそれから何も言わずに机の上の教科書を片づけ、教室を出て行った。
後に残された俺は脳みそに電流を流しこまれたように、何も考えることができずにただぼーっとすることしかできなかった。
翌日から俺と田村君は一切話をすることが無くなった。向こうはあからさまに俺のことを避けていたし、俺も自分から田村君に近づこうとはしなかった。
ただ、それからも田村君のカンニングが続いているということだけが分かり、悔しくてどうしようもない気持ちだった。




