英雄の薬⑨
第34話
包み隠さず正直に話すと、朝霧さんはふーっと息を吐いた。
「その様子だと、さっきの話は本当のことみたいね。信じるわ。
それじゃあ二人で一つずつ分からない事を考えて、答えを探してみましょう。
多分斎藤課長の考えや、これからどうしていけばいいか、も少しは見えてくると思うから」
「はい」
「それじゃあ、まず最近の話の答えを出す前に、貴方について教えてくれる。
今までニートをしていたって言うのは分かったけど、家の中で何をしていたの?
ひきこもりだって何もしないで何年も過ごしたら、暇で気が変になっちゃうでしょ?」
「……言うの恥ずかしいんですけど、ぶっちゃけますね。
……ゲームです。主にネットゲーム。
自分で言うのもなんですけど、やり込んでて、ギルティワールドっていうゲームの中ではそれなりに有名なつもりです」
ふふふっと朝霧さんがまた笑った。
真剣に話しているつもりなのに、と少しむっとしてしまう。
でも笑うととても若々しく美しくて、俺よりも年下に見える。
「ごめんなさい。
一真君があんまりうれしそうに話すから可笑しくなっちゃって。
今まで話しててそんなに熱く話してくれることがなかったから」
そんなに熱く話したかな、と思いながらも答える。
「大丈夫です。気にしなくて。
俺とりえなんて本当に何も無くて、好きなものもなくて、ゲームくらいしか出来ないんです。
でもだからこそゲームだけは誰にも負けたくなくて、特に、俺が最低の状態の時に支えてくれたギルティワールドのことは、遊びって言うより真剣に取り組んでて、誰にも負けないし、負けたくないんです」




