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英雄の薬②

「この辺に斎藤さんってお宅あるはずなんだけど、知らないかな?

斎藤真さんって人のお宅。

住所は○○なんだけど……」

 道を聞かれただけでもびっくりなのに、その上さらにその探しているお家は正しく、今から俺が帰宅しようとしている所だというのだから衝撃だ。

「……あの、えーっと」

 頭がついていけず、とりあえず開いた口からはやっぱり意味のない言葉しかでてこない。

「あー、もう。どっちなの?

知ってるの?

知らないの?

はっきりしないわねぇ」

 車の女性は不機嫌さを隠そうともせず、あけすけに言い放った。

多分しゃきしゃきした性格をしていて、ウジウジとした話し方の俺の態度が鼻についたのだろう。

「あ、はい。知ってます」

 彼女の顔が少し綻ぶ。

「てゆーか、俺の家です」

「えっ、うっそ。どうゆうこと?

……じゃあ君が一真君?」

彼女は目を丸くして問いかけてくる。

「はい、そうです。俺が斎藤一真です」

自己紹介をすると、彼女は先程の不機嫌さとは打って変わって、とても人懐っこそうな笑顔を浮かべた。

「そうだったの。あなたが斎藤課長の息子さんの一真君ね。

私は朝霧祥子よ。朝電話で話したでしょ」

 そう言われて朝の電話を思い出す。

言われてみれば、朝話した女性と同じ声のような気がする。

あの時はてんぱってて気付かなかったけれど、芯の通った優しそうな声だ。話していると安心する。


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