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英雄の薬①

店長の話は要約すると、


「今の俺の状況から考えて、このままでは俺が食べていくことは難しいと思うから、ちょうど人手不足で困っている、このファミリーマートでバイトとしてしばらく働いてみたらどうか?」


という提案だった。


 もちろん俺はやる自信なんて1ミリもな無かったから、即断ろうと思ったけれど、


「状況は分かったから、私が1から教えるから」


と店長の情熱的な勧誘に根負けする形で了承してしまった。


店長の言う現状の論理的な打開案に納得してしまった(論理的な説明には弱いな俺)ということと、先ほどぶちまけてしまったケーキなどの商品を、バイトするという条件のもとに前借という形で新しい物をくれ、その上今日の俺の食べる分も前借で買い物させてくれる、という誘惑も大きかった。


 とりあえずバイトに入るのは明日からということで、今日は頼まれた商品と俺の今日の食べる物を袋に入れてもらい(弁当を店長に選んでもらった)、明日朝十時にまたこのコンビニに来るという約束をして店を出た。


 新しい状況の変化に頭がついていかなくてぼーっとして、とぼとぼと家の方向に歩いていて帰った。


しかし状況の変化というのは、俺の気持ちなんか置き去りにして重なって起きるもののようで、さらに事態を複雑にする出来事が起こった。


俺の歩いている隣にゆっくりと銀色のセダン車が減速して停まり、パワーウインドウが開いて、サングラスをした女の人が声を掛けてきたのだ。


「ねぇ、君、君」


 20代くらいだろうか、サングラスをしているから正確には分からないが、ぱっとみた感じと声からそう感じる女性だった。


俺が面食らって返事をできないでいると女性は続けた。

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