きれいなニートの条件⑪
「さぁ、それじゃあ説明してもらおうか。
どうしてあの時声を掛けただけで逃げたのか?
それから、放り投げた商品をどうするかも話し合わなければいけないね」
ついに嫌な問題と向き合わなければいけない時がきてしまった。
握られたように胸が苦しくなり、ぞわりと背筋が冷たくなる。
「あの、あの……」
何か言わなければいけない、と口を開いてみるけれども言葉は出てこず、やっぱり口ごもってしまう。
店長は優しそうな笑顔を崩さずに、ふーと大きく息を吐いて、
「ゆっくりでいいから、どうしてあんなことをしたのか話してごらん」
と諭すような感じで話しかけてくれる。
俺もゆっくりと深呼吸をして言葉を探す。
「あの、買い物に来ただけなんです。
本当に。
ほら、お金もあるんで。」
ポケットから千円札ひっつかんでを取り出した。
「ただ、買い物に出るなんて数年ぶりなんで、どうしていいか分からなくって。
テンパっちゃって俺、俺!」
段々感情が高ぶってきて声に力が入り、目頭が熱くなるのを感じた。
「あの、本当にすいませんでした。
迷惑をおかけして。万引きだと思いますよね。
てゆーかこれ、万引きになるんでしょうか? 俺万引きで捕まっちゃうんでしょうか?」
そう一息にまくしたてて、逸らしていた目を店長に合わせる。
店長は落ち着いた様子で、静かに目を見つめ返す。
何か考えているのであろう、しばらく間をとってからゆっくりと口を開いた。




