きれいなニートの条件⑨
それどころか、もし身元引受の連絡で電話して、電話に出なかったら?
連絡がつかなかったら?
犯罪者として裁かれることだってありえないことじゃない。
そう考えると簡単に万引きなんてできるもんじゃないな。
同じ所で考えに耽っていると、いよいよ怪しいと思ったのだろう、奥から店長らしき50才くらいの男の人がレジから出てきた。
そして、店員の女性とひそひそとこちらを意識しながらなにやら話しだした。
いよいよと視線に耐えられなくなって、身を翻してレジから見えないところに身をひそめる。
何してるんだろ、俺。
これじゃもっと怪しいじゃないか。
そう思いながらも恥ずかしさと、どうしていいか分からなさで、屈みこんで縮こまってしまう。
「あの、すみません、どうかされましたか?」
後ろから声を掛けられて振り返る。
先ほどレジの方でこちらを見ていた店長らしき男性が声を掛けてきた。
それも笑顔で。
どうみても表面だけの笑顔で。
返答しようとするけれども、何と言っていいか分からない。
「あの、えっと、あの……」
と口ごもってしまい、気恥ずかしで顔から火が出そうになる。
ついに耐えきれなくなって立ちあがり、駈け出す。
逃げ出してしまった。
ほんとなにしてんの俺?
「あっ、ちょっと!待ちなさい」
後ろから大きな声で呼び止められて、さらにテンパって、よろけながら買い物カゴを放り出して店から駈け出る。




