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きれいなニートの条件⑧

65円て。


駄菓子くらいしか買えないじゃねーかよ!! それも少しくらいしか。


うまい棒2本買ったら全部なくなっちゃうじゃねーかよ。


ちくしょう! ちくしょう!ちくしょう!


 この時になって改めて父さんの本気さと自分の思考の甘さを呪った。


本当に楽観的で馬鹿だ、俺は。何もわかっちゃいなかった。父さんは最初から自分の分を買ったら、ほとんどおつりが出ないように計算してリストとお金を渡したんだ。それなのに……


 悔しさとやりきれなさで呆然として、通路の真ん中で佇んでしまう。


どれくらいぼーとしていただろうか? ふいに自分を見る視線があることに気付いた。


振り返るとさっき明るい挨拶で迎え入れてくれた女性定員が、疑惑の眼差しでレジのカウンター越しにこちらを見ている。


 確かに風体もオーラも行動も全て怪しさ満点の俺だから、マークされてもおかしいことは全くない。


加えて先ほどから通路の真ん中でしばらく何もせずにぼーっとしているのだから、万引きくらい疑われても仕方がない。


 万引き!?


 その時俺の頭の中に悪魔の囁きが訪れた。


どうせ駄菓子くらいしか買えないのなら、いっそうまいこと色々万引きをして、お腹いっぱい食べてやろうか。そんな悪魔的な誘惑が頭の中に去来したのだ。


 そもそもろくな物も買えないくらいのお金しか渡してくれなかったのは父さんじゃないか。


だったら、もし万引きをして捕まってしまっても、どうせ父さんに迷惑がかかるだけで、もともと父さんが悪いんだから自業自得だ。


 いや、俺はもう成人しているから、万引きしても親の責任にはならないのか。 

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