きれいなニートの条件⑥
それよりファミリーマートは、と。
確かこっちにあったはず、つぶれていないでくれよ。
こんな時ゲームだったらマップ機能を使って最小限の労力で最短のルートを選べるのだけれど、リアルは過酷だ。
家から500mほど歩いた角を曲がると、そこには5年前と変わらない位置に、ファミリーマートがあった。
とりあえず良かったってとこか。
もしも潰れて無くなっていたら、どこかべつのファミリーマートを探さないといけなかったからな。
それには誰かに聞かないといけなくなっただろう。
ファミリーマートの前で少し立ち止まってしまう。
勢いでここまできたのはいいけれど、本当に俺に買い物なんてできるんだろうか。
店員と話をするのもものすごく緊張する。今から考えただけで胃が痛くなってくる。
だけど、痛いだけじゃなくて、空腹を訴えてくる胃にも応えていかないといけないのがまた辛い。
深呼吸して、瞬きをし、1,2の3で歩きだす。
「いらっしゃいませ」
軽やかな来店メロディとともに明るい女性店員のソプラノの挨拶が耳に響く。
どうしていいかわからず、なんとなく気恥ずかしくて、
「いらっしゃいました」
と訳の分からない答えを呟いてしまう。
首を2,3回振って店員の居るレジから離れるように角を曲がって雑誌コーナーの方に流れ込む。
雑誌コーナーか。正直言って今は必要ない。
多少ゲーム雑誌の最新号に後ろ髪を惹かれながら、たまたま奥に見えたカップ麺コーナーに向かう。




