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きれいなニートの条件③
再度コンタクトしてみるのは悪くない策だ。
そう思い立ち、再び二階に戻った。父さんの部屋の扉と対峙するために。
ごくっ。
息を飲んで父さんの部屋の扉を叩こうとする。が、やっぱりこんな緊急事態でも躊躇いが手を止める。
やらなきゃいけないことだと分かっているのに。
行かなきゃ。
行け。
行くんだ!
コンコンッ
勇気を出して扉を叩く。
……返事はない。
「父さん! 居るんだろ。起きてる?」
返事は無い。が、中で人の動く気配を感じる。
「寝てても起きてくれ、大事な、大切な話なんだ。
お腹が空いたんだ……
食べるものが無くて困ってる。
父さんはどうなんだ? 中にこもっているんならお腹がすいて困っているんじゃないのか?」
しばらく重苦しい沈黙が続く。
だが、やがて返事が返ってきた。
「……父さんが1日、2日食べるだけの分はある。
だがお前にやるつもりはない。食べる物の問題はいずれぶつかることだからな。
だからこそ簡単にやる訳にはいかない。
これからの長い時間をどうやって食料を調達してくるか、お前が考えてお前が決めるんだ、一真。
お前が考えて決めたことには、父さんも出来る範囲で協力しよう。例え飢え死にするという選択をしたのであってもな」
そうきたか。
父さんの冷酷かつ柔然な決意を聞いて、改めて事の深刻さに気付く。




