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きれいなニートの条件②
いつも当たり前にあった物の有難さが、無くなって初めて、傷口に塩を塗り込まれるようにヒリヒリと浸み入る。
もう我慢できない。
生きるためには何とかしなくては。
気が付くと俺は1階に降り、冷蔵庫の前に立っていた。
冷蔵庫には1枚の張り紙。
「一真へ
腐るものは虫が湧くといけないので処分しておきます。
中にあるものは好きにして下さい」
母さんの優しさ浸み渡ります。
すぐさま手を伸ばして冷蔵庫を開く。
中身は海苔と梅干と湿布薬……だけ。
マジかぁ〰。
好きに使うったってこりゃねーよ母さん
梅干の酸っぱさを海苔で薄めて、齧りつきながら涙目になる。
こんなんでは腹の足しにはならない。早急になんとかしなくては……
少しだけ栄養の回った頭をフルに回転させて考える。
何かないか?
何か?
そしてしばらく考えた後に打開策をひねり出した。
……『買い物』だ。
でもどうやって。
どこに?
お金は?
そもそも、もう5年も買い物なんてしていないのにできるのか??
いや、やるしかない。
一瞬父さんに頼むという選択肢も頭に浮かんだが、昨日今日の様子では取りつく島もないだろう、と甘い考えを振り払う。
とはいえ、父さんだって人間だ。
同じように腹も減っているはずだし、買い物に行ってもらうのは無理にしても、何かしら物品や情報を得られるだろう。




