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何もない私がすべてを手にするまで  作者: ちゃんちゃん
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お父さんの秘密

部屋の中は荒れ果て、家具も何も残されていなかった。 だが、ルナマリヤは足を止め、視線を床へと落とす。


「……おかしい。」


床板の一部が不自然にずれていた。埃に覆われたはずの板の隙間だけが、妙に新しい。 グストアンも気づき、剣の柄で軽く叩くと、鈍い音が返ってきた。


「下に空洞があるようです。」


二人は力を合わせて板を持ち上げる。すると、暗闇へと続く階段が口を開けた。 湿った空気が吹き上がり、まるで長い間閉ざされていた地下が息を吐いたかのようだった。


ルナマリヤは胸の奥にざわめきを覚え、思わず唇を噛む。


「ここに…何かが隠されている。」


グストアンは警戒を強め、剣を抜いたまま階段を見下ろす。


「気をつけてください。これは偶然ではない。誰かが意図的に隠したものです。」


二人は互いに目を合わせ、ゆっくりと暗闇の奥へと足を踏み入れていった――。


地下室へと続く階段は、崩れた瓦礫に半ば埋もれていた。 ルナマリヤとグストアンは慎重に足を進め、暗闇の奥へと降りていく。


湿った空気が肌にまとわりつき、かすかな低音のような振動が足元から伝わってきた。


「…聞こえますか?」グストアンが囁く


ルナマリヤは頷いた。確かに、地下の奥から何かが脈打つような音が響いていた。


やがて二人は広間に辿り着く。


そこには瓦礫の隙間から覗く巨大な魔法陣があり、赤黒い光を断続的に放ちながら脈動していた。


しかしその紋様はところどころ途切れ、まるで最後の“欠片”を待っているかのように不完全なままだった。


その瞬間――。 空気が急に重くなり、影が揺らめく。 広間の中心に、ゆっくりと人影が浮かび上がる。


「……やっと来たか。」


低く響く声と共に、かつて“お父さん”と呼ばれていた男が姿を現した。


地下室の奥、瓦礫の隙間から覗く巨大な魔法陣は、赤黒い光を断続的に放ちながら脈動していた。


しかしその紋様はところどころ途切れ、まるで最後の“欠片”を待っているかのように不完全なままだった。


お父さんはその中心に立ち、両腕を広げてルナマリヤを見つめる。


「見えるだろう、ルナマリヤ。この魔法陣はまだ完成していない。だが、お前の血が注がれれば――契約は成就する。」


グストアンが戦闘態勢を構え、唱える。


「彼女を犠牲にしてまで、何を得ようというのだ。」 男は冷ややかに笑った。


「犠牲? 違う。これは宿命だ。彼女の血は“王の血”。その代償をもって、私は世界を覆す魔法を手に入れる。 お前たちの様な悪魔が決して触れられぬ力を、私は手にするのだ。」


ルナマリヤの胸は痛みで締め付けられる。


「私を育てたのは…そのためだったの?」 男は一瞬だけ目を伏せ、そして静かに答えた。


「そうだ。本当はお前が自殺するのを待っていたが、だが忘れるな、私はお前を愛していた。愛していたからこそ、この役目を託したのだ。」


魔法陣の光が強まり、途切れていた紋様がじわりと繋がり始める。


まるで彼女の存在に呼応するように、完成へと近づいていく。 グストアンは叫ぶ。


「ルナマリヤ様! 近づいては行けません! 貴方様の血が注がれれば、奴の魔法が完成してしまう!」

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