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理想が現実になるとめんどくさい  作者: 影束ライト
 序章 平凡で平和な世界
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第9話 ネッ友からの誘い

 風和に絡まれた翌日の昼。


「はぁ~。どうしてこうなった?」


 昨日と同じメンバーで昼飯を取っている。しかも……。


「友達と一緒に食事……うぅ」


「風和さんどうして泣いているんですの!?」


 風和が仲間に加わっている。

 一人でいた風和を金ヶ崎が誘ったらしい。


「う、すみません。高校に入ってから初めて友達と食事をしたので」


「風和さん。あなたも苦労していたんですのね」


 どうやら金ヶ崎は同じボッチ同士気持ちが分かるらしい。

 しかしどうして俺まで一緒なんだ。


「まったく二人とも大げさね。これからはいつでも一緒に食べれるでしょ?」


「「辛木さんっ!」」


「ちょっ、なんで泣いてるの!?」


 涙を流す二人を甘音がなだめている。あいつ昔から面倒見良いからな。


「美琴は混ざらなくていいんですか?」


「ん~。そうだね、風和さんが仲良くしてくれるなら」


 美琴が風和を見ると、風和は一瞬ビクンッ!とする。


「も、もちろん仲良くしたいです!」


「美琴は風和先輩に何をしたんですか?」


「別に~。ただ仲良くしたいって言っただけだよ」


 こうして女子たちが仲良く?しているとスマホが鳴る、これは通話だな。


「誰から……って、ツキ?」


 女子たちから離れて電話に出る。


『もしもしツカサ』


「もしもし。どうしたツキ?いきなり電話なんて」


『ちょっと用事でツカサが居る街に来ててね。今どうしてるか気になって』


「そうか。今は昼休みで飯を食べてたところだ」


『そっか、いまお昼だもんね。私もお昼休憩中だし。あのさ、明日って空いてる?』


 明日は土曜日。とくに用事は無いな。ゲームの誘いか?


「空いてるぞ」


『良かった。じゃあ明日オフ会しようよ』


 オフ会、って言うとネットの友達と現実で遊ぶことか。ちょっと怖いが、実際に会って遊んでみたいし……。


「随分といきなりだな」


『ダメかな?』


「いや、いいぞ。それじゃあ時間は……」


「先輩何してるんですか?」


 毎度恒例、いきなり音もなく近づいてきた忍が声をかけてきた。


「……びっくりした。今電話中だ」


「そうでしたか。それはすみません。じゃあ終わったら早く来てくださいね」


 忍はあいつらのもとに戻る。なんか用事だったか?


『ツカサ?』


「悪いなツキ、ちょっと後輩に話しかけられた」


『後輩って女の子?』


 話し声が聞こえてたか。けど何だ、ツキの声がいつもより低い気がする。


「そうだけど?」


『今お昼って言ったよね。女の子と一緒にお昼食べてるの?』


「いや、まぁ女の子というか友達と食べてる」


『でも女の子がいるよね?』


 いるというか俺以外全員女なんだが。何故だろう?言わない方が良い気がする。


「それはそうだけど。それよりもオフ会の話だ」


『そうだったね。女の子の話はまた今度聞くから。……え?あ、はい。すぐ行きます。ごめんツカサ、休憩終わりみたい』


「そうか。じゃあ詳しいことはまた連絡してくれ」


『分かった。じゃあまた明日』


「あぁまた明日」


 通話を切り、女子たちのもとに戻る。


「あ、先輩電話終わりました?」


「あぁ。それで何かあったか?」


 何故か女子たちは全員嬉しそうな表情をしている。


「実はですね、金ヶ崎先輩が明後日の日曜日に行われるアイドルのライブに連れて行ってくれるんですよ!」


「アイドル?」


「この子です。今話題のクール系アイドル、氷堂みつき」


 氷堂みつき。歌番組で見たことがあるな。俺と同い年の銀髪の美少女。彼女は可愛いというよりも、綺麗でカッコイイという印象の強いアイドルだ。


「その氷堂みつきの初めてのドームライブに金ヶ崎先輩が連れて行ってくれるんです!」


 ドームライブってすごい金がかかりそうだな。さすが金持ち。


「お父様がみつきさんの事務所の社長をやっているんですの。それでお友達を呼んでも良いと言われまして、天道さんもいかがでしょうか?」


 俺もってことは全員行くこと確定か。

 けどなぁ、明日ツキと遊ぶとなると二日連続で外に出ることになるんだよな。めんどくさいなぁ。


「行けそうだったら連絡する」


 とりあえずそう答えた。



_____________


学校から帰り、リビングに入る。


「ただいまー」


 ……今日は珍しく姉妹ふたりが抱き着いてこない。寂しいわけじゃないけど、普段と違うとちょっとアレだ。


「あ、お帰り司」


「お兄ちゃんお帰りー」


「ただいま。二人とも何見てるんだ?」


 二人はタブレットで何かを見ている。

 抱き着いてこなかったのはそれが理由か。


「これはね、今話題のクール系アイドル、氷堂みつきちゃんだよ!」


 魔導華がタブレットを見せてくる。確かにみつきのライブ動画だ。


「アイドル好きだったか?」


「別に好きでも嫌いでもないよ。けどみつきちゃんの歌は心にくるんだよね」


「分かる!みつきちゃんの歌すっごく共感できるの」


「なるほどな」


「それでね、何とここにみつきちゃんのライブのチケットがあります!」


「明後日三人で行こうね!」


 お前らもかよ。


「あー、うん。行けたら行く」


「「何で!?」」


 だって面倒だし。と言えるはずも無く、適当にはぐらかした。





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