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モブと恋愛は出来ますか?  作者: よもぎ
7/7

モブに少し時間をください

かわいらしい約束を交わしてからと言うもの・・・というか特に以前となにも変わらない気がするのだが休憩の際には日向さんとコーヒーで一息つく日々が続いていた。


というかそもそもプロジェクトチームも一緒なので1日の大半は一緒にいる状態である。

そして先日あらぬ疑いをかけられ薄ら怒りを買っていた地場くんにも念のため確認をしたのだがやはり一緒に休憩した事実は存在していなかった。

ただしたまたまEVで一緒になった事はあったようだが。

とは言え一度否定をしているのでわざわざその報告を日向さんにする必要もない為、本人確認だけで終わらせている。まぁ恐らく日向さんのストーリーに影響が出るような内容ではないので対応としては十分であろうという判断だ。



『やっと一息つけるわね・・・』

「そうですね・・・やっと軌道に乗り始めましたしね・・・」

『まぁなんでも軌道に乗り始めまでが辛いから仕方ないけど精神が削られていく感じがする・・・』

「その割に日向さんはよく感情のコントロールが出来ますよね。イライラが見えないです。」

『ホント?まぁイライラしても仕方ないのはあるけど焦ってる時はあるよ?』

「それはだいたい皆焦ってる時が多いんで比例して焦ってるうちに入らないですね」

『そんな事ある?』


クスクスと笑う日向さんの顔に多少ではあるが疲労の色が見え隠れしていた。

その姿をみてふと湧いた疑問をさらりと投げかけてみた。


「日向さんは仕事の後っていつもなにしてるんですか?」

『・・・・えっとー、それは・・・・純粋な疑問?』

「え?はい。普段会社で疲れた時とか何してるのかなって。」

『あー、そうだよね。あきちゃんはそうだよね』

「???」

『そうだなぁー疲れてる時はゆっくりお風呂入ってさっさと寝るかな』

「あまり遊ばないんですか?」

『まぁ疲れてる時はねー。私こう見えて割と体力ないから!』

「胸を張ることではないですけど」

『!!!』

「・・・なんですか?その顔」

『あきちゃんが笑ったのが嬉しくて?』

「なっっ!?・・・私だって普通に笑いますよ」

『違くて!笑うけどいつもは合わせるように笑ってるからそう言うの珍しくて!』

「えぇ・・・??違いますか?自分ではよく分からないですね。」

『いいの!それで。私が嬉しかっただけだから』


なんだろうか。この前のコーヒー事故(私的には勘違いが生んだ事故だった)といいどうも日向さんの様子がおかしい。

いや、おかしいというには違和感レベルを超えてこないのだが私のモブとしての勘が警鐘を鳴らしている。


近づきすぎだ


と。世間的には会社内だけの関係ではあるしそれ程ではないだろうが私は知っている。この感覚を。

厨二病の気は無いが、実体を持たない傷が疼くような不安定な恐怖にも似た感覚を。


ただ、それでも仕事と約束を反故にするつもりはない。果たすべき事項以外は果たさなければ良い。

モブにだって感情はあるが物語に載る感情は一側面のワンカットで良い。それだけの話だ。


目を覚ませ、坂井晶子。

お前は決して登場人物ではない。


「そうですか・・・」

『ところであきちゃん』

「はい」

『今度、遊びに行かない?』

「・・・・先程あまり遊びには行かないと言う話をしたと思うのですが・・」

『えっ?うん、疲れてる時はね。』

「??じゃあ基本的に無理では?」

『そんなことないよ?忙しい日の仕事帰りは疲れてるかもしれないけどそれ以外は別にそんな事ないよ?』


しまった。

心を決めた瞬間にこれか。

これは非常にめんどくさい流れだ。複数での会話であれば自身は含まれないとかわすことも出来る。

だが今は1対1、100%自身が含まれる。

誰か他も誘うか?でも誰を?


『だからさ、遊びに行こうよ。二人で』



立てようとした対策は間に合わず2人きりが確定した瞬間である。





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