第五十七章 亮太、テロリストの説明する
その後、しばらくの間、テロリストの情報もなく、テロリストは壊滅したと亮太も安心していた。
そんな中、あかりがラインで、仲良し女子グループに亮太を中心にした、女子会開催を呼び掛けて、スケジュール調整していた。
亮太は、「俺が中心だなんて恥かしいよ。」と乗り気ではありませんでした。
泉が、「陽子のスケジュールは私が把握しているわ。私が責任もって、陽子を女子会に連れて行くわ。」と亮太に確認しながら、スケジュール調整して、照子がバイトしているスナックを貸し切って開催する事になった。
女子会では、亮太が大手柄を立てて、日本も平和になったと、参加メンバー全員が亮太に感謝していた。
良美が、「お姉ちゃんも驚いていたけれども、陽子さん、いつから銃を携帯しているの?」と確認した。
亮太は、「私が副総理を狙撃しようとしていた狙撃者を特定した時には、もうライフルを構えていたのよ。あの時、私はまだ銃を携帯していなかったので、警察がくるまで待つしかなく、もし、警察より先に副総理が講演場所に到着していれば、間違いなく暗殺されていたわ。それで、今までの私の実績から今後の事を考慮して、総理大臣の指示で警察の簡単なチェックで私が拳銃を携帯する事になったのよ。現に、私が拳銃を携帯していなければ、環境大臣は、浜松で暗殺されていたわ。銃を発砲しなければ、暗殺は阻止できなかったし、あのテロリストには、警察も全く気付いていなかったようだから。」と説明した。
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あかりが、「銃を発砲する時以外でも、手入れなど、色々と気を使うんじゃないの?手入れしている時に、暴発した事もあるようだし。」と銃の扱いについて知りたそうでした。
亮太は、「ええ、そうよ。手入れする時は、弾丸を抜いてから手入れしているわ。手入れ以外にも、たまに使わないと、いざという時に使えないから月に二~三回、警察で射撃訓練しているわ。それに、総理官邸には警察のような銃の保管場所がないから、休日も常時携帯しているわ。」と説明した。
啓子が、「えっ!?それは、今も銃を携帯しているの?見せて。」と信じられない様子でした。
亮太は、「今も携帯しているが、これは、おもちゃじゃないから、人に見せびらかすものではないよ。」と拒否した。
啓子は、「わかったわ。今日の帰りに暴漢に襲われたら、銃で助けてくれるの?」と銃に興味がある様子でした。
亮太は、「銃は使わずに助けるよ。アルコールが入っている時に使用すれば、手元が狂い危険だからな。飲酒運転も法律で禁止されているだろう。同じ理由だよ。」と説明した。
泉は呆れて、「何が銃の保管場所がないよ。亮太専用に小型の金庫を購入すればいいじゃないの。それをしないのは、いつも銃を持っていたいからでしょう?おもちゃじゃないと言いながらおもちゃにしているのは誰よ。そんなところは男ね。」と亮太を横目でチラッと見た。
亮太は、「うるさいな。小型金庫だと金庫ごと盗難されたらどうすんだよ。」と不機嫌そうでした。
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銃の事で険悪な雰囲気になってきたのであかりが、「啓子、銃の事ではなく、要人暗殺を阻止した話を聞こうよ。」と話題を変えた。
亮太は、「狙撃者を特定した理由を説明して、男は美人女性に弱いから見落としたんだろう。浜松で司会していたアナウンサーも美人女性だったので、男達は見落とすなと感じて注目しているとビンゴだったわ。後で調べると整形していたわ。顔だけではなく、体の脂肪も取って、骨も矯正してスタイルも抜群だったわ。彼女は幼い頃からスタイルが悪く、ブスで辛い青春時代を送っていたようです。そのような女性に目をつけて、整形などの費用はすべてテロリストが支払っていたわ。美人CAも同様だったわ。現在調査中ですが、テロリストのバックには大富豪がいる可能性があり、まだ判明していないようです。その人物を逮捕しないと、第二、第三のテロリスト集団が現れる可能性があります。テロリストの本部はアメリカにあったので、アメリカ政府が調査中です。」とテロリストについて説明した。
啓子が、「アメリカ政府が調査中って、テレビドラマによくでてくるFBIやCIAなどが動いているの?」と興味本位で聞いた。
良美が、「そうかも知れないわね。あとはアメリカに任せるしかないわね。」とテロリストの件は一応解決したと安心していた。
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翌日、照子が会社で女子会の事を喋り、更に良美から聞いた昌子も会社で喋った為に会社で噂になった。
その噂が社長の耳に入り、是非話が聞きたいと亮太に講演依頼した。
講演の経験がない亮太は色々と悩み、泉に相談した。
泉は、「亮太と同じ総理大臣の秘書をしている私にも依頼があったわ。亮太は色々と話の内容はあるでしょうけれども、私は何を喋ればいいの?秋山陽子は半分男性だとでも喋ればいいの?」と困っている様子でした。
亮太は昌子に電話して、社長が何を期待しているのか探らせようとした。
昌子は、「さすがに社長には聞けないわよ。何を期待しているのか直接聞きなさいよ。講演の事前打ち合わせだとでも説明すれば会ってくれるわよ。陽子さんがわが社の社員だったころに、私が色々と陽子さんの力になったと社長にはPRしてね。」と社長には探りを入れられない様子でした。
亮太は、「そうだな。そうするよ。会社では昌子に虐められていたと社長に伝えておくよ。」と笑っていた。
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亮太は、講演の事前打ち合わせがしたいと総務部長に依頼して、日程調整して社長と会う事になった。
泉も同行して社長と打ち合わせした結果、優秀な刑事を集めて結成した、要人暗殺捜査本部も対応できなかったテロリスト対応を、陽子さんが何故できたのか?要人暗殺捜査本部を競合他社に見立てて、競合他社に対抗するヒントになるような講演をお願いしたいとの事でした。
講演当日、亮太は狙撃者を特定した理由を説明して、常識にとらわれず真実をしっかりと見極める事です。それには、パイロットやCAや司会者は別だと例外をつくらない事です。要人暗殺捜査本部は、その例外で狙撃者を特定できなかったのよ。と講演していた。
それと、相手が何を考えているのかがわかれば、相手の動きが予想できるわ。
テロリストは近距離用の銃を大量入手しようとしていました。そこから考えて、暗殺者は怪しまれずに環境大臣に接近可能な人物だと考えました。
司会者は美人でスマートなのでマークしているとビンゴだったわ。護衛の警察官は男性ばかりで、若い女性には油断していて、司会者は別だと例外をつくってしまったので、誰も気付いていなかったわ。
最後に、仕事には人脈が必要です。テロリストが近距離用の銃を入手しようとしていることなどの情報は、その人脈から入手したのよ。などと講演していた。
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このように、亮太は何とか講演を無事終えて最後に、何か質問はありませんか?と確認した。
一部の男子社員が、「打ち抜いたのは、肩ですか?一部の週刊誌に乳房を撃ちぬいたと記載されていましたが、どちらが本当なのですか?」と興味本位で聞いた。
亮太は、「Hな話になり、本題からは外れる為に特に説明しませんでした。私は、観客席の最前列の前で待機していました。環境大臣が紹介されて出てきて、司会者の女子アナウンサーも、環境大臣の方を向きました。つまり、私は女子アナウンサーの横斜め下にいました。その時に、銃を構えました。彼女の体を撃てば重傷を負わせる事になり、必要なのは銃を持っている腕でしたが、細く、更に動く為に命中させる自信がなく、腕よりも大きく動きが少ない肩を撃ちました。私に近い方の肩を打ち抜けば、銃弾は肩を貫通して首に向かい、彼女に重傷を負わせます。だから、私とは、反対側の肩を打ち抜きました。彼女の斜め下の横から打ち抜けば、途中乳房も打ち抜く事になります。それだけの事です。それと、今回の講演の趣旨とは異なるHな質問なので、そんな事を気にしながら私の講演を聞いていたと重役も判断されて、恐らく、あなたの評価も下がるでしょうね。あなたの出世の道も断たれたわね。いや、この講演は社長の発案だったわね。重役ではなく社長を怒らしちゃったかもね。」と笑っていた。
男子社員達で、「お前が聞けと言ったんじゃないか!」
「そんなの冗談に決まっているじゃないか。本当に質問するとは思わなかったよ。」と揉め出した。
亮太は、「チームワークが悪いわね。」と呆れて、自分の席に戻った。
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次に、泉の講演が始まった。
泉は、「私は主に、陽子さんの助手を務めていました。怪しい人物は警察がマークしているから、怪しくない人物も含めて、環境大臣に接近可能な人物をピックアップして陽子さんに伝えると、陽子さんは司会の女子アナウンサーに注目して暗殺を阻止しました。何事も一人で対応しようとせずに、お互いに協力するチームワークが大切です。先程のようにチームワークが悪いと、良い結果は期待できませんね。そんな人が出世すれば、この会社も傾くかもしれませんね。」などと講演した。
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講演も無事終わり、亮太は、「泉、やっと落ち着いたな。」と安心していた。
秋山総理大臣もホッとしていた。亮太が近くにいれば安心で、講演や出張などには必ず亮太を連れて行くようになった。
そんな様子を見て幸枝が、「あなた、最近どこに行くのも陽子さんと一緒ね。やはり、陽子さんが近くにいれば安心ですか?」と確認した。
秋山総理大臣は、「それはそうだろう。優秀な刑事が数人で捜査しても特定できなかった狙撃犯を陽子さん一人で特定して暗殺を阻止して、その後も陽子さんの活躍で今回のテロリスト集団は壊滅しました。テロリストのバックにいる人物を逮捕できていないのは心配だが、とりあえず一安心だ。」と亮太を頼りにしている様子でした。
治子が、「そうね。私も陽子さんがいなければ死んでいたかもしれないわ。いざという時には陽子さんは頼りになるわね。お父様が出張に陽子さんを連れて行くのは当然ね。」と納得していた。
亮太は、「それは、幸枝さんや聡子さんや啓子が、家の事を確りと守ってくれるので、安心して仕事に集中できるのでね。」と皆の協力があったからだと感謝していた。
聡子が、「家の事は私達に任せて仕事に集中して下さい。」と亮太に今後とも頑張ってもらいたい様子でした。