第六十章 亮太、流星会の黒幕を逮捕する
当日、女探偵の自宅で泉が宝石ケースの底が外せるようになっていて、そこに写真がある事を発見した。
そこへやくざ風の男が来て、「ご苦労様、その写真を渡せ!」と刃物をちらつかせて脅迫してきた。
亮太は泉を後ろに避難させて、「その刃物で週刊誌記者と探偵を殺したのか?写真は渡せないと言ったらどうする?」とやくざ風の男を睨んだ。
やくざ風の男は、「奪うまでだ!」と亮太に襲い掛かった。
亮太が、男と争っている時に、「泉!逃げろ!」と泉を逃がした。
泉はマンションの外に出て、隆一に事情を説明して応援依頼した。
数分後、覆面パトカー数台がマンションに到着して、泉とマンションの部屋に入った。
亮太は、やくざ風の男を倒していて、「隆一!来るのが遅い!」と苦情を訴えた。
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その間に、泉が証拠を見て、「ちょっと、亮太!とんでもない写真がある!」と驚いている様子でした。
亮太と隆一もその写真を見て、「これは、早坂国会議員と流星会会長が密会している写真じゃないか。そうか。先日国会議事堂にテロリストの暴走車が侵入したが、なぜ厳重な警備の中、あそこまで侵入できたのか不明だったが、早坂国会議員が手引きしたと考えると納得できる。」と納得していた。
泉が、「しかし、こんな特ダネ、なぜ記事にしなかったのかしら?」と不思議そうでした。
亮太は、「早坂国会議員と流星会会長が会っているだけで、何かを渡している様子もない。時間を聞かれただけだと惚けられたら終わりだ。決定的な証拠を探していたのだろう。それで、確信に迫ったか、証拠をつかんだかして殺害された可能性がある。」と考えた。
隆一は、「西井刑事、殺人の実行犯は、恐らくこいつだろう。持っていた刃物を鑑識で調べてもらおう。」と亮太を襲った男を殺人未遂の現行犯で緊急逮捕した。
亮太は、「黒幕は恐らく早坂国会議員だと思われる。そこは俺と泉とで調べるよ。」と調査開始した。
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早坂国会議員を秘書に尾行させたが、流星会と密会する様子がなく困っている様子でした。
泉は、そんな亮太の様子を見て、念の為に、殺害された女探偵と仲がよかった幼馴染の女性に話を聞くと、最近連絡があり、彼女を自宅に入れたと聞いて、事情を説明して幼馴染の女性の自宅を秘書と確認すると、テーブルの裏側に、USBメモリが、ガムテープで貼り付けられていた。
泉は、そのUSBメモリが幼馴染の物でない事を確認して持ち帰り、亮太と確認すると、早坂国会議員と流星会会長が密会している動画でした。
その話の内容から、早坂国会議員がテロリストを手引きして、大臣など要人を暗殺して自分が総理大臣になる事がテロリストと密約されている様子でした。
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そんな中、早坂国会議員が秋山総理大臣に面会を求めてきたと聞いて、慌てて秘書と駆け付けた。
亮太は、「何の打ち合わせですか?」と確認した。
秋山総理大臣は、「陽子、どうしたのだ?用があるから来たのだろう?」と亮太が何を考えているのか疑問でした。
亮太は、「私は現在、軽井沢と東京で発生した殺人事件を調べています。殺害された週刊誌記者が、こんなデーターを持っていました。」とUSBメモリの動画を再生した。
秋山総理大臣は、「これはどういう事だ!私も殺すつもりだったのか!」と予想外のデーターに驚いた。
亮太は、「二人を殺してまで入手しようとしていたデーターはこれだったのね。」と秋山総理大臣と早坂国会議員の間に入り睨んだ。
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秋山総理大臣は内線電話で警備員に連絡して、「秋山だ。テロリスト一味の流星会の黒幕は早坂国会議員だ!今、私の部屋にいる!取り押さえろ!」と指示した。
警備員が、早坂国会議員を取り押さえると、亮太は隆一に電話して、「テロリスト一味である流星会のバックにいる黒幕を取り押さえた。その証拠を探偵と週刊誌記者に気付かれて殺害したそうだ。やはり早坂国会議員だった。すぐに国会議事堂まで来て!証拠とともに引き渡すから。」と警察に通報した。
警察が到着すると早坂国会議員は、「俺は国会議員だ!不逮捕特権がある。」と主張した。
秋山総理大臣が、「今すぐ退職しろ!さもないと、総理大臣の権限で君を解雇するぞ!」と自分を殺そうとしていた早坂国会議員に激怒していた。
早坂国会議員は、隆一と上司と同僚数人に取り押さえられた。
早坂国会議員は、「そのUSBメモリを流星会に指示して徹底的に探したが発見できなかった。誰が持っていたのだ!」と隠し場所を知りたそうでした。
亮太は、「それを知ってどうするの?流星会の構成員が面会に来た時に伝えて、復讐でもする気なの?そんな事は教えられないわよ。」と早坂国会議員を睨んだ。
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早坂国会議員が警察に連行されると秋山総理大臣は、「ありがとう、また陽子さんに命を助けられましたね。」と亮太に感謝していた。
亮太は、「今回、黒幕を特定したのは泉です。」と教えた。
秋山総理大臣は、「そうですか。泉さん、ありがとう。」と感謝していた。
マスコミは、「総理大臣直属の第四秘書の熊川泉さんが、テロリストの黒幕を特定して行動力のある第三秘書の秋山陽子さんが黒幕を取り押さえました。アメリカをはじめ、どの国でもテロリストの正体すら掴めませんでした。日本では、二人の絶妙なチームワークにより事件は解決しました。アメリカ大統領から表彰されたこの二人がいれば、日本も安泰です。」と報道した。
秋山総理大臣直属の秘書が、テロリストから日本の危機を救ったとして支持率もアップして、世間では四人の直属の秘書を四天王として絶賛していた。
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帰宅後夕食時、政男と治子が、「陽子さん、泉さん、テロリスト一味の流星会のバックにいる黒幕を逮捕して頂いてありがとうございました。おかげで私達まで四天王と絶賛されました。」と亮太と泉に感謝していた。
泉は、「私は証拠を見つけただけよ。」と恥ずかしそうでした。
秋山総理大臣は、「泉さんがその証拠を見つけて早坂国会議員が逮捕されました。それがもう少し遅ければ私は殺されていたそうです。警察からの連絡では、逮捕された早坂国会議員はポケットに猛毒スプレーを持っていたらしいです。そのスプレーを吹きかけられると私は死んでいたそうです。ありがとう泉さん。」と感謝していた。
その後、亮太たちは秋山総理大臣を中心にして、平和に暮らして、秋山総理大臣や四人の直属の秘書に火の粉がかかりそうな場合は、亮太が中心になり、隆一の力も借りて事件を解決していた。
やがて、政男も政治家として立候補して活動を始めた。
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欠員となった第一秘書について検討していた。
夕食時、亮太が、「この自宅に海外の要人を招待して、英語が堪能な啓子が接待を担当していました。そのような経験から、各種政治がらみの案件にも精通している啓子を推薦します。」と啓子を見た。
啓子は、「ちょっと待ってよ。私はあくまでもお手伝いで、通訳した程度なのよ。」と突然亮太に振られて困惑している様子でした。
亮太は、「通訳しているといいながら、政治問題に口出しして、解決した事も数回あったよな。」と笑っていた。
秋山総理大臣は、「確かに、啓子さんの政治的センスは認めます。財閥のお嬢様で親の教育が良かったのでしょうね。政男、政治家として活動しながら、経験のない啓子さんのサポートを頼むよ。聡子さん、後任が決まるまで、啓子さんに代わってお手伝いの取りまとめを幸枝と協力してお願いします。」と啓子の政治的センスを手放したくない様子で、啓子を秘書として採用するのは今しかないと判断した様子でした。
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なかなか啓子ほどの人材がなく、聡子がお手伝いの取りまとめをする中、夕食時、秋山総理大臣が、「総理官邸と国会議事堂のコンピューターシステムは時代遅れの為、最新機種でシステムを構築する事になった。啓子さん、以前大日本電気の社員だった事がありましたね。声を掛けて下さい。」と指示した。
啓子は、着信拒否を解除して、さっそく大日本電気の重役に電話した。
啓子は、「お無沙汰しています。小川啓子です。いつぞやは力になれずに申し訳ございませんでした。その代わりといっては何ですが、今回、総理官邸と国会議事堂のコンピューターシステムを最新機種で構築する事になりました。可能であれば、来週木曜日一三時に、総理官邸に来ていただき、受付で、秋山総理大臣直属の第一秘書と約束していると告げてください。詳しい話は、その時にします。」と連絡した。
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大日本電気では、このシステムは、恐らく各都道府県や各省庁とも、オンラインで接続されているのではないか?これは大きな商談だぞ。だから、第一秘書がでてくるんだと、以前、第三秘書に断られたが、今回、総理大臣に一番近い、第一秘書から声がかかったと、慌てて人選とスケジュール調整していた。
当日、大日本電気では、相手が、普段は口もきけない雲の上の人物である第一秘書なので、最優秀社員を選抜して、社長も同行する事になり、重役と営業と技術者と技師長と営業部長の六人で、総理官邸を訪問した。
受付で、第一秘書と約束していると営業マンが伝えると、受付嬢は、「はい、聞いています。」と大日本電気の社員を会議室に案内した。
しばらくすると啓子が電算室の職員を連れて会議室に来た。
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啓子は、「常務、ご無沙汰しています。秋山総理大臣直属の第一秘書の小川です。」と名刺交換した。
常務は、小川君が総理大臣直属の第一秘書だったのか。確かに総理大臣の右腕だなと優秀な社員を失った事を後悔していた。
啓子は、「先日ご説明した件ですが、詳細は電算室の職員と打ち合わせしてください。それと、規則で相見積もりをとりますので、数社に声を掛けています。ご承知おきください。」と挨拶していると内線電話があった。
電算室の職員が電話を取り、「小川さん、秋山総理大臣が呼んでいます。」と伝えた。
啓子は、「それでは、あとはお願いします。」と電算室の職員に依頼して会議室を去った。
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大日本電気の社長は、「第一秘書ともなれば忙しいのですね。」と感心していた。
電算室の職員は、「そうですね。以前は総理大臣の長男が第一秘書を務めていました。そのころから、総理大臣は小川さんが優秀なので手放したくなく、お手伝いとして総理大臣の自宅で個人的に採用して、世界各国の要人を自宅に招待して、小川さんに各種政治問題を対応させていたと聞いています。」と事例を挙げて説明していた。
社長は、その事例の中に、困難な問題もありましたので、「えっ!?その問題も小川さんが解決したのですか?」と信じられない様子でした。
電算室の職員は、「ええ、その件では小川さんが、フランス大統領と直談判したそうです。あとでフランス大統領が、若い女性にしてやられた。彼女を私の懐刀として採用したいですね。とフランス大統領も小川さんには一目置いていたと聞きました。」と総理官邸で噂になっている事を説明した。
オッチョコチョイな啓子は、まさか自分が接待している人物がフランス大統領だとは思わずに強気で対応したのでした。
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電算室の職員は、「早速ですが、国会議事堂と総理官邸のコンピューターシステムを総入れ替えする事になりました。その、ソフトとハードの説明だと、小川さんから聞いていますが、それでよろしいですか?」と啓子が席を外したので、打ち合わせ内容を確認した。
大日本電気の営業マンが、「はい、それでお願いします。」と打ち合わせを開始した。
しばらくすれば啓子が秘書を連れて会議室に戻ってきて、「打ち合わせ途中に申し訳ございません。私はこれからアメリカに発つ事になりました。今日中に打ち合わせを終了するのは無理だと考えます。私が不在の間は、私の秘書に連絡してください。今月中に打ち合わせを終了させて、来月中にシステム提案書を提出してください。各社から提出されたシステム提案書を検討して、有望な会社に見積もりを依頼します。私は訪米の準備がありますので、あとはお願いします。」と、連れてきた秘書を紹介して会議室を去った。
啓子が去った後で、啓子の噂をしていた。
社長は、「第一秘書ともなれば、世界中飛び回っているのですね。」と感心していた。
秘書は、「私の聞いたところでは、今回の訪米はフランス大統領と直談判して打ち負かせた女性に会ってみたいと、アメリカ大統領からのご指名だそうです。だから、急に小川さんが秋山総理大臣と同行する事になったと聞きました。」
電算室の職員は、「そういえば、フランス大統領と渡り合える小川さんは、女性初の総理大臣候補だと聞きました。」と電算室まで啓子の噂が広がっているようでした。
この日は、コンピューターシステムの打ち合わせと、啓子の噂話で終わった。
大日本電気の社長は帰社後、受付に行き、啓子が育てた受付嬢に、「君の指導を担当した小川啓子君は、現在、秋山総理大臣直属の第一秘書になっていて、女性初の総理大臣候補だそうだ。そんな優秀な小川君から直接指導を受けた君に期待しているよ。」と激励して、優秀な社員を解雇してしまった事を後悔しながら社長室に戻った。
新人受付嬢は、「えっ!?先輩、そんなすごい人から指導を受けたのですか?」と信じられない様子でした。
その後も、亮太や泉や啓子は、お互いに力を合わせて平和に暮らしていた。
特に亮太は啓子がオッチョコチョイだとばれないように、啓子をサポートしていた。
最後までお付き合い頂きありがとうございました。