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女の体を持つ男第五部  作者: toyocat
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第五十九章 治子の一目惚れ

テロリスト問題が解決すると、各大臣などから秋山総理大臣に、「各種調査は総理大臣の第三秘書が優秀なのでお願いします。」と亮太の今までの実績から各種調査を依頼される事が多くなった。

やがて、亮太と泉と二人につけて頂いた秘書だけでは対応が困難になってきた。

そこで亮太は、簡単な調査は友彦に依頼しようと考えていた。

総理大臣に、その旨説明し、簡単な調査は外注する事にした。

翌日亮太は友彦に電話した。

「俺だ。亮太だ。最近探偵業の景気はどうや?」とそれとなく調査する時間があるかどうか確認した。

「さっぱりだ。亮太、お前、拳銃まで携帯して景気がよさそうだな。少しは俺の探偵事務所に回してくれよ。」と亮太に期待している様子でした。

「そうか。俺も有名になり、調査依頼がオーバーフローしている。それだったら、数件回すよ。」と調査を外注する事にした。

    **********

以前、京都府警捜査一課の広美から、友彦は探偵としてどうかしら?と評価がよくなかったので、最初は一件だけ外注して、その結果は悪くなかったので、その後、外注件数を増やして様子を見ていた。

友彦も経験を重ねて優秀な探偵になったようで、すべての調査の精度は高かったので、簡単な調査だけではなく、少しレベルの高い調査も外注する事にした。

ある日、亮太は調査依頼だと友彦を総理官邸の第三秘書室に呼び出した。

友彦は、「いつもは電話で簡単に説明後書類を送ってくるのに今回はどうしたのだ?」と疑問に感じている様子でした。

亮太は、「今回は、今までのような小さな依頼ではなく大掛かりな依頼だ。数人でチームを組んで調査する為に、チームの顔合わせと依頼の説明だ。」と説明した。

このように、亮太は各種調査を友彦の協力で何とかこなしていた。

友彦も、探偵を新規採用して対応していた。

探偵の同業他社は、PRもしていないのに、なぜ探偵を新規採用して規模が大きくなるのだ?と不思議そうでした。

思い切って、探偵事務所からでてきた友彦にその事を確認した。

友彦は、「以前、ここで勤務していた探偵が出世して、仕事を回してくれている。」とだけ伝えて、亮太の事には触れませんでした。

亮太は、休日が泉と合えば、亮子と親子三人でドライブに出かけていた。

このように亮太はプライベートも仕事も充実していた。

    **********

そんなある日、治子が、「去年の夏、軽井沢に避暑に出かけたのだけれども、そこで不良に絡まれて困っていると、素敵な男性に助けられました。お互いに自己紹介して、軽井沢では一緒に過ごしていました。軽井沢旅行から帰って、その彼の事もすっかり忘れていると、昨日、偶然、浅草で見かけたのよ。それが、やくざみたいな人と話をしていたので、怖くて声を掛けられなかったのよ。東京で偶然会った芝居をして、家族が病気でお金に困っているなどと、金銭を要求されるのかしら?そう考えると、軽井沢で絡まれた不良も仲間で、あれは芝居だったのかしら?陽子さん、怖いからその彼の事を調べて頂けませんか?」とその男性の事が気になっている様子でした。

亮太は、「その男性の名前は?」と確認した。

治子は、「軽井沢では、西井聡と名乗っていたわ。」と男性の名前を伝えて亮太に調べてもらおうとしていた。

亮太は、「西井聡?」と意外な様子でした。

    **********

亮太は携帯で、「陽子です。つかぬ事を聞くが、隆一から名前は聡だと聞いた気がするが、そうか?」と確認した。

「ええ、そうですが何かあるのですか?」と不安そうでした。

「軽井沢で女性を助けて、その後一緒に軽井沢旅行を楽しんだか?」と確認した。

「そういえば、そんな事があったな。それがどうかしたのですか?」と軽井沢での事を思い出していた。

亮太は、「また、連絡するよ。」と電話を切った。

亮太は、「その人はやくざではなく、軽井沢警察署捜査一課の西井刑事です。やくざみたいな人と話をしていたのは、恐らく聞き込みだろう。詳しい事は捜査上の秘密で伝えられないが、現在、軽井沢警察署と警視庁とで合同捜査している。しかし、声を掛けなかったのは正解だと思うよ。聞き込みしているやくざに顔を覚えられて、警察の動きを封じるために拉致されて人質にされていたかもしれないわね。」と問題ない程度の情報を伝えた。

    **********

翌日、治子は原宿でウインドウショピングしながら歩いていると、不良学生らしい人と肩が触れた。

肩が触れたと絡まれていると、たまたま近くにいた西井刑事に助けられた。

そこへ隆一が来て、「西井刑事、親しそうに話をしていますが、お知り合いですか?」と二人の関係を確認した。

聞き覚えのある声に、治子が振り返ると、「あら、隆一さんではないですか?二人で捜査しているのですか?合同捜査ですか?」と確認した。

西井刑事が、「高木刑事、お知り合いですか?」と二人は知り合いのようでしたので確認した。

隆一は、「治子さんは、秋山総理大臣のお嬢様です。私は治子さんの妹の陽子さんとは家族ぐるみのお付き合いをさせて頂いていますので、治子さんの事もよく知っています。」と伝えた。

西井刑事は、「陽子さんのお姉さまですか。そういえば、先日陽子さんから意味ありげな電話がありましたが、何かあるのですか?」と首をかしげていた。

治子は、「しかし、陽子さんも捜査上の秘密だなんて言いながら、詳しい説明はできないと合同捜査としか教えてくれなかったのよ。隆一さんと捜査しているなら言ってくれても良いのに。」と不満そうでした。

隆一は、「普通は、軽井沢警察署の西井刑事が東京で捜査している事事態、秘密にするべきところを、そこまで教えてくれたのだから陽子さんに感謝するべきじゃないですか?」と二人の間に溝ができないように補足説明した。

    **********

隆一から助言されても納得できない治子は、帰宅後、夕食時、「陽子さん、西井刑事が合同捜査しているのは隆一さんとだったの?それだったら、そうだと言ってくれれば良いのに。」と不満を亮太にぶつけた。

亮太は、「西井刑事が東京で捜査している事を説明しただけで、誰と捜査していても関係ないだろう。不必要な情報は伝えなかっただけだ。」と説明した。

泉が、「そうね。亮太は昔からお喋りではなかったわよね。」と助言した。

亮太は、「すべての情報を与えると、あとはそちらで判断しろというような感じになり、他人任せみたいになり嫌なんだ。」と捜査上の秘密以外にも、すべてを喋らなかった理由を説明した。

政男が、「陽子さんは、いつも他人任せにしないですよね。だから、テロリストにも対応できたのでしょうね。」と亮太の性格を考えていた。

    **********

泉が、「しかし、先日からの話を聞いていると、西井刑事の事を素敵な男性だとか説明していたけれども、治子さん、西井刑事に一目ぼれですか?亮太、隆一さんに頼んでうちに西井刑事を招待すればどうですか?」と提案した。

治子は、「やめてよ、急にそんな事、恥ずかしいわ。」と顔を赤くして恥ずかしそうでした。

政男が、「治子、お前もいい年なんだから、少しは考えろよ。恥ずかしがっている場合じゃないだろう。陽子さん、頼むよ。西井刑事を家に招待して頂けませんか?将来の弟に会ってみたいから。」と助言した。

結局、治子は幸枝など家族全員から押し切られて西井刑事を家に招待する事を了承した。

    **********

早速、亮太は治子のスケジュールを確認して、隆一に事情を説明してスケジュール調整していた。

当日はホスト役として隆一も招待していた。

当日、隆一が西井刑事より先に来た。近くまで来た西井刑事から隆一に着信があったので隆一が迎えに行った。

やがて、西井刑事が到着して、治子が家族を紹介した。

西井刑事が、「陽子さん、電話では何度かお話をさせて頂いた事があり、顔はテレビで、何度か拝見しましたが、直接会うのは初めてですね。西井です。」と挨拶した。

亮太は、「陽子です。私が暗殺を阻止できたのは、各種人脈からの情報があったからです。近距離用の銃を入手しようとしている事は、銃の取引があった熱海警察署に勤務している、隆一さんの妹からの情報です。今日から西井刑事も、私の人脈の一人になって頂けませんか?」と人脈を増やして、いろんな情報を入手しようとしていた。

隆一が、「西井刑事、陽子さんはその情報を無駄にせずに有効利用して各種事件を解決しています。情報を伝えるだけの価値は充分ありますよ。その情報を悪用するような人物でない事は私が保証します。勿論、刑事には守秘義務がありますので、上司や同僚には内緒でね。」と助言した。

西井刑事は、「そうですか。今回、高木刑事と合同捜査をしていて各種情報を共有しました。陽子さんと合同捜査していると考えれば問題ないかと考えます。内緒ではなく、ちゃんと上司に報告したうえで情報を流します。」と西井刑事の真面目な性格がうかがえた。

    **********

泉は、「亮太、何、ニヤニヤしているのよ。」と亮太の様子がおかしい事に気付いた。

亮太は、「泉、何も気付かないのか?なぜ隆一が、俺と情報交換する事に拘っているのか。」と隆一を見た。

隆一は、「さすが陽子さん、鋭いですね。そこまで見抜かれるとはね。」と亮太には敵わないと感じた。

泉は、「ちょっと陽子!どういう事なの?」と隆一が何を考えているのかわかりませんでした。

西井刑事は、「実は軽井沢で殺人事件があり、軽井沢警察が捜査しているが、一行に進展しない。殺害されたのは東京の探偵でしたので、警視庁に、探偵事務所の捜索を依頼すると、探偵事務所で週刊誌記者の死体が発見されました。両者とも、鋭利な刃物で心臓を一突きされていて、傷口から同一の凶器だと断定されました。同一犯の可能性を視野に入れて、合同捜査が開始されました。この事件に国会議員が関与している可能性が浮上してきました。テロリスト集団を壊滅に追い込んで、今や総理大臣よりも力があると噂されている陽子さんが動いていると聞いたので、ぜひ私達と合同捜査願えませんか?」と亮太を頼りにしている様子でした。

亮太は、「まだ、その国会議員が誰なのか見えてこない。まだ、すべてのピースが揃ってないようだ。何か新しい情報があれば、お願いします。」と現状説明した。

泉が、「私は第四秘書で亮太の助手よ。そんな状態になっているのでしたら教えてよ。私も調べるから。」と仲間外れにされたようで不満そうでした。

亮太は、「まだ全容が見えていない。どこで殺人犯と遭遇するかわからない。泉を危険にさらしたくなかっただけだ。」と泉を心配しての事だと説明した。

    **********

泉は、「殺された二人が何を調べていたのかがわかれば、事件の概要が見えてくるのではないでしょうか?」となぜ、その話が出てこないのか不思議そうでした。

隆一は、「そんな事は百も承知だ。西井刑事と協力して捜査していましたが、まだ不明です。」と困っている様子でした。

亮太は、「そんなところで暗礁に乗り上げていたのか。」と笑っていた。

隆一は、「さすが陽子さん、何か掴んだようですね。」と亮太を頼りにしている様子でした。

亮太は、「まだ何もつかんでないよ。泉、出番だ。」と泉を見た。

泉は、「えっ!?何?急に。私は何をすればいいの?」と急に亮太に振られて慌てていた。

亮太は、「殺されたのは二人とも女性だ。女性が大事なものを隠すとすればどこだ?二人が何を調べていたのか、何らかの証拠か写真のようなものが、どこかに隠している可能性がある。それを探して。」と女性の泉を頼りにしている様子でした。

泉は、「女性が頼りにするのは、やはり彼氏か母親でしょうね。彼氏の家に行ったときや里帰りした時などに、本棚の本の間に、気付かれないように写真や書類を挟むなどして隠していないかしら。それとも事情を説明して預けていないかしら。」と思い付いた事を伝えた。

亮太は、「二人とも聞いたか。その線で証拠を探して。それと、泉、彼女たちの家に行けば女性として何か感じる事があるかもしれない。ただし、これは殺人犯と遭遇する可能性がある。明日俺と一緒に、殺害された二人の女性の家に行こう。」と証拠を探そうとしていた。


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