東の勇者と西の勇者に創造神
長編は別サイトで投稿予定です。
まずは短編で腕を慣らしています。
まだ薄いビスケットのようにサクサクと読めるものしか出来ませんが、評価・感想お待ちしております。
私には好きだった男の人がいました。限界を超えると叫び自分の事しか考えていない自分勝手な人でしたが、旅をしながら話しているうちに恋をしました。そんな彼東の勇者ベータと今から命を奪い合わないといけないなんて現実は何て残酷なんですか?
俺には好きな女がいた。限界を知り自重することを覚えろと注意してくるうるさい奴だったが、旅をしながら命を預けていくうちに恋をしていた。そんな彼女西の勇者アルファと今から殺し合いをするなんて現実は何で残酷なんだ。
これは、相思相愛だった。アルファとベータの殺し合いの物語である。
時間ですね。帝国の皆のためにもこの戦は勝たなくてはなりません。もし、ここで負けたら血を流さなくていい民たちも被害に遭うでしょう。そんなことになっては、勇者として失格です。私はベータが敵国の指揮官だとしても、切る覚悟ができています。過去の思い出なんて勇者と生まれてから捨てる覚悟は出来ていました。ただ、あの旅をしているときの幸せな気持ちだけは失いたくないです。
「皆さん、行きますよ! 王国との戦争は今日で終わりです。勝ってまたここで合いましょう」
王国までの街道は整備されていて、とても戦争をしている国同士だと思えない。ただ、この戦争はお互いの国が出来た100年前からずっと起きていることだ。それでも、互いの王は民たちが往来をしやすいに取り計らいは必要だと判断して協定を結び、生活は困らないようにしていた。見慣れた景色を見ながら体は前に進むが心だけは帝都に置いてきたかのように無感情だった。
時間か。王国のためにも勝利を! 王族は自分の事しか考えてねえ。もしアルファと殺し合うことになっても手を抜くつもりはねえ。俺は勇者として生まれた時から自由は求めていなかった。なのに、アルファとの旅は空っぽの心を埋めてくれるかのように新鮮で楽しかったな。
「しゃーお前ら、行くぞ! 帝国との戦争は今日で終わる。次に王都に戻ってくるときは凱旋の時だ」
両軍が顔を見合せたのは皮肉にも二人が出会った酒場の街だった。互いに何も発しずに剣で語り合う。その場にいた両国の兵士たちは観たことのないオーラに圧倒されて動くことができなくなっていた。
「久しぶりですね。剣の腕は鈍っていないようで安心しました。降参してくれませんか? そしたら皆さんを殺さずに済みます」
「言うようになったじゃねえか? お前こそ腕が鈍ってないようで安心したぜ。降参? 今から負けるのはお前らなんだからこっちのセリフだぜ?」
ただの負けず嫌いの似た者同士。
あれからどのくらいの時が経ったのでしょうか? ベータの剣筋が落ちてきました。このままでは私が彼を倒してしまいます。そんなことを考えると足が震えて終わってほしくないと願い始めてしまいます。覚悟は決めたのに、目の前にするとあの時の幸せがフラッシュバックしてきますね。でも、兵の消耗が激しくなっているみたいなのでそろそろ終わらせることにします。創造神ミカエル、いつか会ったときに文句を言いますからね!
「てめぇ......なんだよ。その見たことのない剣は何なんだよ。ずっと手加減してたってことなのか? おい、答えろ」
「…… さようなら。 楽しかった……」
周りにいた兵士たちは目の前にいた化け物二人がいきなり消え去り戸惑いを隠せない。彼と彼女は互いに消えた。
私が覚醒の旅を終わらせてから、帝国の教会へ行きお祈りをしてると創造神ミカエルと出会った。そしてお願いされました。
「人の子よ。東の勇者で異分子のベータを始末してください。もし、あなた拒否をしてしまうと彼は魔王になり世界を滅ぼす原因になります。詳しいことは教えられませんが始末してください」
「分かりました。ミカエルさま」
「人の子よ。それならばこれを授けます。これで彼を切りなさい」
人の子よ。あなたには辛い役目を押し付けてしまいました。王国側が実験体を勇者召喚するなんて思いもしませんでした。転生者が余計なことをしなければこんなことにはならなかったのに、アルファとベータあの二人を削除して、世界の秩序を守ることにします。
それでも実行するように精神に干渉したことを許してください。もし、倒すことができたらあなたの事も削除するつもりです。だって、あなたは造り上げた駄作なんですから。
創造神ミカエルから観れば人間など利用するだけの道具でしかない。
だからこんな結末になるなんてアルファ、ベータは知らなかった。
そして季節は巡る前にミカエルの干渉のせいで世界は終焉を迎えたのだった。
評価・感想お待ちしております。
それではまた次回!