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プロローグ

 王都の帰り道グレース・レガリオは失意のどん底にいた。


『シャルル皇后は悪辣な魔女である。』この噂が王宮内に広まった時には、もう全てが遅かった。


 シャルル皇后を輩出したレムリア公爵家は、初代皇帝のたった一人の優秀な配下の家系。皇族に次ぐ由緒正しい家柄だった。ただレムリア家は、歴史の中でレムリア公爵家、レガリオ伯爵家、ラガリア伯爵家に分かれ今では三位一体の家柄だった。当然、シャルル皇后のレムリア公爵家が憂き目にあえば、レガリオ伯爵家の方にも影響が及ぶ。


 グレース・レガリオ伯爵令嬢は、ある日突然、ロレーヌ公爵家との婚約を一方的に破談にされてしまった。


 まだ会った事もないロレーヌ公爵家の長男との縁談である。これが普通であればグレースが落ち込むような話ではない。


 ただし、グレース・レガリオは落ちこぼれだった。火属性、風属性、水属性、土属性とあるが基本の四属性には回復魔法が存在しない。回復魔法が存在しない異世界で、回復魔法を強化する用の武器『メイス』しか才能のないポンコツなのだ。


 親の天賦の才が引き継がれる事の多い世界で、貴族とはいえポンコツの令嬢など嫁の貰い手がない。唯一、皇后が押し進めてくれた縁談だけがグレースの生きる希望だった。



 尊敬する皇后陛下が窮地に立たされているであろう事もグレースが落ち込んでいる理由だった。街中でそれを抉るような質問がグレースに飛び込んでくる。



「あら。魔女の関係者がどうして王都に来ているの?」


「……リリム様まで。……皇后陛下に対する不敬ですよ。言って良い事と悪い事があります。噂話を本気にしないで下さい。」


「ふん。別に皇后陛下の話だとは一言も言っていないよ。あなたの方が噂を真に受けて、そんな顔をしているんじゃない。からかわれたくなかったら、ご自分が今どういう顔をするべきかよく考える事ですわね。」


 リリムの執事がリリムに頭を下げる。


「お嬢様。もう行きましょう。憂き目の令嬢に関わると、ろくな事にはなりませんよ。」


「セバスチャンっ! 私に指図するのはやめて頂戴。行くわよ。」


 リリムと執事は王宮のある方へと進んで行く。グレースはさらに気分を落としていた。それを見た姉のシャリアが、グレースの頭を撫でる。


「本当に酷い顔よ。あなたの価値はあなたが決めるんじゃない。私には一番自慢のとても可愛い妹なのよ。それに縁談より、あなたを好きになってくれる人と結婚する方が幸せなの。」


「姉上は天才だからそんな悠長な事が言えるのです。」


「そうね。似たもの姉妹かも知れないわね。それはそれで婚期を逃しているんだから。でも、私は全然気にしていないわ。私は私よりも強い人と結婚するのだから。」


「ふふふっ。ごめんなさい。だって姉上より強いお方なんて、この世界のどこにいるんですか。」






 皇后陛下の悲しい噂を聞いてから、グレースは初めて笑っていた。



 


 だが、グレースに訪れる不幸は、こんなものではない事をまだ知らない。


 


 


 これから始まる10人の華麗なる王子達との甘くて悲しい生活と


 




 


 自分の役割が、王子達を虜にする乙女ゲームのヒロイン








 を虐める『 悪役令嬢 』である事を。


 


 


 彼がどんなルートを選び、どんなに足掻いたとしても、悪役令嬢の死は必ず訪れる必然だった。

この作品をお読み頂き、誠にありがとうございます。


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