深愛
やっと終わった。
達成感がハンパない
温かい目で見てください。
お願いします。
ブラッドはイヴァンに銃を構えました。
ブラッドは左手からボイナー用の盗聴器を取り出しました。
「今までの全て録画しているぜ‼︎」
と言いました。
ブラッドはダンを見て眉をひそめながら
「ダン、あんたを許してはいない。これからも許しはしない。だが俺にも守りたい大事な存在がいる。」
と言いました。
イヴァンはブラッドに向かって、
「おい後輩、殺す相手が違うだろ。お前はボイナー。ゴミを排除する存在だろう。こいつを殺せば何でもやる。地位、名声、いくらでもやるさ。」
と笑いながら言いました。
「イヴァン、俺はボイナーを辞める。
地位、名声、そんなもの命と比べたらどうでもいい。
その代わりイヴァン、お前の命を貰う。」
と睨みつけながら言いました。
ブラッドとイヴァン2人はお互いに向かって走り出しました。
そしてブラッドは右手で相手に向かってパンチをしました。
しかし、イヴァンは交わしてボディブローを食らわせました。
ブラッドは食らいましたが、左手で裏拳を食らわせました。
イヴァンはよろめきました。そしてナイフを取り出して、ブラッドに刺そうとしました。
ナイフはブラッドを掠りました。
そしてもう一回ナイフを刺そうとします。
その時ブラッドはナイフを持っているイヴァンの右手を両手で持ってへし折りました。
「ぎゃーーぁーーー」
とイヴァンは叫びました。
ブラッドは銃を構えました。
しかし突然、建物全体が揺れ始めた。
ブラッドは何が起きているのか分からなかった。
突然銃声が鳴った。
打ったのはイヴァンである。
ブラッドの足に2発撃ち込んだのだった。
「この揺れは私が起こした。この建物はあと少しで崩壊する。全ての証拠は自分も含めて排除する。」
とイヴァンは笑いながら言いました。
「どうだ、怖いか〜死ぬのはさー」
と銃を向けながら言いました。
「おい、なんか〜言えよー」
と撃たれた足を踏みながら言いました。
ブラッドは苦しい顔をしていました。
「どうだ、最後に言い残すことはあるか?
俺はシーナ愛しているだ。
お前はどうだ〜あー。へっへっへっ〜〜。」
と満面の笑みで言いました。
「はぁ〜確かに死にたくねーよ。人間は誰でもそうだ。だけど、お前はどうなんだよ?怖くねのか?すぐに分かるよ!」
と笑いながらブラッドは言いました。
その時背後からダンがイヴァンの首にナイフを刺しました。
「味合わせてやるよ。死と恐怖を!」
とダンは言いました。
「貴様、何故…この虫ケラ共が…」
とイヴァンは最後に言い残して息絶えました。
ブラッドはイヴァンに対して言いました。
「お前は愛が歪んでいたんだな。決して理解はできない。だが、どんな虫ケラでも愛という感情は持つ。愛の為なら何でも可能にできる、世界だって変えられる。奇跡だって起こせるのだよ。全ての生き物はおもちゃなんかじゃ無い。あの世でしっかり考えな!」
ダンはブラッドに向かって言いました。
「何故、助けた?」
ブラッドは
「許したわけでは無いが、正義もたまには悪になる。また悪は正義にもなり得る。ただそれだけだ。これが俺の正義だからさ。」
と優しい眼差しで言いました。
シーナにそっくりな眼差し…
ダンは心の中で思いました。
「さぁ行こうぜ!ビルも崩壊する。」
ブラッドは言いました。
「そうだな」
ダンは言いました。
2人はお互いに肩を担ぎながら階段を降りました。
27階に到着した所で、揺れがさらに激しくなる。
もう無理かもしれない。でもどうすればいい。
その時、ブラッドは窓から隣の建物の屋上が見える。あれはクィレル社精密研究棟である。
隣の棟まで、5〜6m程だろう。
そうだ。窓を壊して飛ぶしかない。考えている時間もない。
ブラッドはダンに向かって言いました。
「いくぞ!」
「あぁ‼︎お前はその銃でガラスの強度を弱くしろ。弱くなった所を俺がパンチで壊す!壊れたら一緒に飛ぶぞ。」
ブラッドは銃を構えて、5発撃ち込んだ。
するとガラスは建物が燃えている為、強度が通常よりも弱くなっているので、壊れやすくなっている。
ガラスは徐々にひびが入っていく。
「今だ‼︎」
とブラッドは叫びました。
ダンは右手に思いっきり力を入れてパンチを1発入れました。
するとガラスは内側から外に向かって割れました。
そして背後で爆発が起こりました。
それと同時に2人は隣に向かって飛びました。
ダンは飛び移り、着地しました。
ブラッドはギリギリの所で両手で掴まり、ぶら下がっている状況でした。しかしブラッドにはもう力は残ってなく、もう無理だろう。
でも生きたい…彼女の為にも…
すると、ダンはぶら下がっているブラッドを上から見ていました。
ダンはずっと睨んでいる。
殺す気なのか…やっぱりディプリカンツにとって人間は敵だということか…
お前が、俺の大切な部下達を殺した。
生かしてはおけない…
すると突然ダンは睨みながらニヤリと笑った。
そして片手で、ブラッドを持ち上げて助けました。
何故助けた…不思議だ…彼らにも情の心があったということなのか…
ブラッドは複雑だった。
まさか助けてくれたのだから。
2人は屋上の端に寄りかかるように倒れた。
すると雨が降り出しました。
雨がとても痛い。傷口に沁みてきたからだろう。
ブラッドはダンの身体を見た。
彼の身体から体力の血が流れている。
咄嗟に掛け寄り、止血しようとしました。
しかし血は全然止まりません。
「もういい…十分だ…」
ダンは言いました。
「死ぬのは許さないぞ!勝手に事件を起こして俺の部下を殺して!なんで!なんで助けた!罪を償えよ!おい!」
ブラッドは言いました。
「そうだな…勝手過ぎたな…もう十分生きた…あの世で償わせてくれ…何でかな…何で助けたのか…分からないや…」
と微笑みながらダンは言いました。
もうダンは徐々に声が小さくなっていく。
「ダン、お前があの世で償う代わりに君の行ったことは無駄にはさせない。このデータと情報は世間に公開する。ディプリカンツ達は自由になれるだろう。」
とブラッドは言いました。
「なんか不思議な感じだ…お互いが嫌いなはずなのに…」
とダンは笑って言いました。
「こっちの台詞だよ!憎いけどな!でも最後に言っておく!ありがとうな!」
とブラッドは笑って言いました。
「これで自由になれるのか…」
とダンは静かに言いました。
「もう死が来るのか…
死が来るのは人生に一度しか来ない事だ…
夢に見た…
プラネタリウムの星
空からの光のゲート
ああ見えるよ…
神様…やっぱりいたんだ…な…」
ダンは胸のペンダントを握りました。
「シーナに会い…たい…な…」
と左頬から涙が一つ粒流れ落ちた。
するとブラッドは驚きました。
うっすらと人の形をした光が一瞬見えたのだ。
「シーナ…」
と微笑みながらダンは言いました。
すると静かに息を引き取りました。
ダンの表情は幸せそうでした。
ブラッドは奇跡を見ているようだった。
ディプリカンツが愛の感情を持ち、また涙をこぼし、そして愛の為にこの世界を変えようとした。仲間の為に…愛する人の為に…
「会えたんだな…あの世に行っても怖くないな…側にいてくれるから…」
とブラッドは何処か哀しい表情で空を見上げて言いました。
そしてブラッドはすぐに録音データを著名で都市全体に送信した。
これで彼らは自由を求めて反乱が起こるだろう。そうしたらこの都市は危険だ!
咄嗟に彼はある所に向かいました。
伝えたい…今しかない…
そう思いながら車に乗り込んだ。
その頃、シャーリーは家で待っていた。
ブラッドが一向に帰ってこない。
心配…彼に何かあったのだろうか…
クィレル社が倒壊したニュースを観て、不安が頭の脳裏を巡った。
もし、ブラッドが死んだら私はどうすればいいのか分からない…そんなの嫌よ…
涙がポロポロ止まらなかった。
ドンドン!
すると突然ドアから音が聞こえてきた。
咄嗟にシャーリーはドアに向かって走り出して、ドアを開けた。
「心配かけたな…おかえり!」
そこにはブラッドが立っていた。
「心配かけさせないでよ…ただいま!」
と涙を流し、微笑みながらシャーリーは言いました。
「あなた、怪我している。」
慌ててブラッドに駆け寄ります。
「大丈夫、いつもの事だよ。」
と苦笑いしながらブラッドは言った。
「終わったよ…今日、決着はついた。」
とブラッドは言いました。
それに対してシャーリーは静かに頷きました。
今しかない、今ここで言わないと後悔するだろう…
「シャーリー…俺はボイナー…なんだ…」
ブラッドは真剣な顔で言った。
「今まで隠していた!君達を傷つけていたんだから!でも、愛する人を傷つけているのに変わりはない。だから今日、ボイナーを辞めた。逃亡者になるっていうのが正解かなぁ…」
全てをシャーリーに打ち明けた。
嫌われてもいい。でも自分が傷つくだけだから。彼女を守る事が出来ればそれでいい。
「知ってたよ。」
とシャーリーは優しい表情で言いました。
「8年前、私が上のディプリカンツに襲われそうになった時あなたは救ってくれた。
もう死ぬのかと思っていた。そして怖かった。
そんな怯えている私をあなたは手を握ってくれた。とても温かった。
嬉しかったの…
今度は私があなたを救いたい。
私はずっと探していた。もう一度会って、ありがとうと言いたい。そう思っていた。
5年前、あなたに会えたの。あなたはビルから身を投げ出そうとしていた。
死なせたくない。死なせちゃいけない。そう思って、あなたを助けた。
だから貴方の手が血で汚れていても、私がその手を拭いてあげる。そばに居てあげる。
あの時そう誓ったの…」
とシャーリーは微笑みながら言いました。
「シャーリー…好きなんだ!
5年前、あの時偶然出会った。
そして助けてもらった時から、俺は救われたんだ。
徐々に君に惹かれていった。
でも怖かった…正体がバレたら君はそんな目で見てくれないかもしれない。
でもそれは逃げているだけだ。
もう自分の気持ちを誤魔化したくない。
好きなんだ…好きなんだよ!
これから先何が起こるか分からない。
君に危険が及ぶかもしれない。
もう2度とこの場所には帰れない。
でも自分が見据えた未来に君と居たい…
いつまでも…いつまでも…
側にいたい…
側に居続けて欲しい…」
とブラッドは泣きながら言った。
「行こう!」
ブラッドは手を差し伸べました。
「私も好きだよ!大好きだよ!」
とシャーリーは優しい眼差しで言いました。
「出会ったあの日から…
偶然なんかじゃない。
この出会いは奇跡なんだよ…
この奇跡を永遠に感じ続けていたい。
たとえこの場所に2度と戻れなくてもいい。
一緒に居たい…
どこまでも…どこまでも…
これからも思い出を増やしていきたい…
ブラッドが側にいてくれるなら私はそれ以上何も望む事はないわ。」
とシャーリーは言いました。
「行きましょう!どこまでも!」
とシャーリーはブラッドの手を握って言いました。
2人は家を出ていきました。
そして車で走り出していきました。
その後
クィレル社は倒壊し、隠蔽していた事実が明るみに出て倒産しました。
ディプリカンツの殺戮は廃止され、自由となった。
彼らはダンの意志を引き継ぎ、人間と共存を求めていった。
「ボイナー」は事実上無くなる事になった。
またブラッドは行方不明及び「ボイナー」署長殺害容疑で指名手配されている。
しかしブラッドとシャーリーの行方を知る人はいない。
2人の家には誰もいなかった。
テーブルの上のエーデルワイスが風に吹かれて揺れていた…
しかし2人が消えても、この場所で過ごした思い出は消える事はないだろう…
いつまでも…
最後まで読んで頂き誠に有難うございます。
今回の4話は人間目線で書いています。
今後4話構成でまた別の物語という形で続編を考えています。
また徹夜します。
よろしくお願いします。