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信念

恋愛要素が含まれてます。

楽しんでみてくれたら幸いです。

よろしくお願いします。

とある廃墟ビルにて3人の男女のディプリカンツがいた。

1人の男のディプリカンツがリーダー格のディプリカンツに言った。

「ダン、明日実行するんだろ」

それを聞いていた女のディプリカンツは

「当たり前でしょ、ダンは一度決めた事は行なう人よ」

と言いました。

そしてダンは

「明日は今日の風が吹く、神が味方してくれる事を願うさ。覚悟は出来ているか?ロニー、

ブルート」

茶色の革のジャケットに黒のジーンズを履いたスキンヘッドの男のディプリカンツはリーダーのダン。

女のディプリカンツはロニー。赤の革のレザースーツを着たベリーショートの髪型をしており、ダンには3年前にボイナーから助けてもらい、ビジネスパートナーとして側にいる。

男のディプリカンツはブルート、ロングヘアーで黒のスーツを着ており、右目に傷がある。彼も3年前にダンと出会ってから彼のそばにいる。

ダンは覚悟を決めた眼差しで自分が身につけている青のペンダントを握りながら

「シーナの為にも、必ず成功させてやる」

と言った。


俺の名はダン


時は遡り5年前

クィレル社精密研究棟にて俺は誕生した。

生まれた時に覚えていたのはカプセル型の水槽から出てきたから、体は濡れていた。

初めての感覚は寒かった。

そして初めて見た人間は金髪の髪型をした男、イヴァン•クィレルだ。

クィレル社の二代目CEOである。

「おめでとう。君はF3型としてしっかりこの会社、この世界の為に尽くすのだ。期待しているぞ。」

彼はそう言った。

その後、ガンズ•シティの隅にある「ラビッシュ」と呼ばれている貧困の人々が住み着いている場所でゴミを回収し、それをクィレル社にて燃やす事で、俺たちを作る資源にしているのだ。

つまり俺たちはゴミも同然なんだと感じた。

しかし自分は脳に不具合が起きてしまい、しばらくクィレル社精密研究棟に戻る事になった。俺はずっと強化ガラス越しで生活している日々だった。

唯一出れるのは脳の手術を行う時だけだ。

外と内のタブレットに入力して話す事ができる。

誰も入力しなければ、ずっと1人。

寒い。身体も心も。

しかし、ある日女性の研究員が配属された。彼女はショートカットに目はサファイアのように綺麗だった。

彼女はタブレットに入力し始めた。

そして、映し出された内容は、

「はじめまして、私はシーナ。まだ見習いだから宜しくね!」

ダンは無視した。

「あなた、名前は?」

「名前なんかない」

「そうなの!じゃ、ダンはどう?」

「何だそれ、何でもいい」

「気に入ってくれると嬉しいな、これからよろしくね!ダン」

気に食わない奴だった。

いずれ、俺はゴミにされるのだろう。

そう考えていた。


そして1ヶ月後のある時、最後の手術を行う日だった。手術は成功した。

複雑な気持ちだったがとりあえず初めて「ありがとう」と言いたくなった。

しかし誰が行ったのか分からなかった。

だがすぐにその答えは分かった。

シーナの手を見たら数カ所の切り傷、目元はくまがあった。

そう、彼女なんだ。

シーナはタブレットに入力し始めた。

映し出された内容はこうだった。

「お疲れ様。調子はどう?」

「大丈夫だ」

「良かった。不安で昨日から眠れなくて、でもいつも不安な時はこのペンダントを握って祈ることで何でも上手くいっている」

「何を祈ったんだ?」

「手術が成功してダンが、元気になってくれますように」

「神頼みってやつか」

「神様は存在するよ」

「まあ信じてみるさ」

「ところであと1週間でここを出れるから寂しくなるよ!でもあなたの事を知りたい。出たら話そうよ」

「付き合うよ。最後まで」


俺は不思議な感覚だった。

彼女ともっと話したい。一緒にいたい。

そして声が聞きたい。


それから1週間、朝から夜まで話し続けた。

「シーナ、一ついいか?」

「どうしたの?」

「俺は人に触れたことがない、誰にも興味がないからだ、でも何故だろうな、君に興味がある、君に触れたい、そう思ったんだ」

「嬉しい、こんな私でも興味を持ってくれるなんて、そうだな、じゃあ、こうしてみたらどう?、手のひらをガラスに当ててみて」

「こうか」

「そう、こうして2人で手を当てると触れているみたいだよ!やっぱりガラスは冷たいな…でも幸せ」

「俺もだよ」


それから1週間、朝から夜まで話し続けた。

たわいのないことをずっと…

毎日別れの際はガラス越しに手を当てていた。何となく温もりを感じていた。いつまでも話し続けたい。好きになりたい。そう思っていた。

最後の夜がやってきた。

時が経つのは早いとはこういうことなのか。

「ダン、あなたは外に出たら何がしたい?」

「そうだな、まずシーナ、君と手を繋ぎたい。

そして一緒に暮らして、いつまでも君のそばに居続けたい。俺はそれだけでいい。それ以外何も望まない」

「そう、私たちのこの関係は世の中は受け入れてくれない。でも貴方が私を受け入れてくれるのなら、私も十分だよ…」

「分かった、明日忘れられない日にしよう」

「そうしよう!明日は今日の風が吹くよ!だから決して忘れる事はないよ!」

「まったく、相変わらず君には振り回されてるよ」

これから先どんな事が待ち受けているか分からない。でも怖くはない。

君が俺のそばに居てくれるのなら…

これから先この日々を永遠に続けていきたい。

そう思っていた。その日まで…

でも、そう上手くはいかなかった。

最後の日にいつもと変わらない日々だった。

嬉しかった。退院の日だからだ。

やっと声が聞ける。温もりを感じられる。




「バーーーーーン‼︎」


突然ガラス越しからも聞こえそうな音が微かに聞こえた。

するとシーナは倒れしまったのだ。

シーナから大量の血が流れ始めた。

何が起きているのか理解が出来なかった。


そして背後に現れたのは

なんと

イヴァン•クィレルだった。


彼は血相を変えた表情で銃を構えながら、ガラスのドアを開けようとしていた。

俺は咄嗟に強化ガラスを壊して、銃をはらい、顔を殴って気絶させた。

「シーナ、シーナ!起きてくれ!頼む!死ぬな!あーあーどうすればいいんだよ!」

シーナに初めて触れた。

しかし冷たくなっていく。

初めて恐怖を覚えたのだ。

「あぁーー、頼む!お願いだー!俺の命を引き換えに助けてくれよー‼︎神様はいるんだろう! なぁーいたら返事をしてくれよ!うあぁーー」

彼女のペンダントを握って叫び続けました。

そして一瞬、シーナが手を伸ばして、小さな声でこう言った。

「温かい…こんなにも温もりを感じられた…ダン…私は…しあわせ…だ‥よ‥」

そしてシーナの手から力が抜けていた。

顔から水が流れた。温かい水が少しずつ流れてきた。目が濡れてシーナが見えなくなる。

そしてシーナのおでこにキスをして、こう言った。「ありがとう、すまない。」

そしてその場を去り、クィレル社精密研究棟を爆破させた。

その時ボイナー共が現れた。

人間が憎い。殺してやる。

そこにいたボイナー共を皆殺しにしたのだった。

逃げる際に2人のディプリカンツに出会った。

その2人がロニーとブルートだった。

2人の協力でクィレル社に潜入した。イヴァンはいなかったが、彼のオフィスに潜入し、パソコンのデータには俺たちディプリカンツにとって衝撃的な内容だった。

それは俺たちは元々失敗作で作られてしまい、成功体など存在していないのだ。

それを隠蔽する為にボイナーに依頼して決められた型番を排除していた。排除する事で失敗をなかった事にしていたのだ。

これはシーナの為にもディプリカンツの為にも明かさなければならない内容だ。

明かすだけでは物足りない。クィレル社を破滅させる。


そして今に至る。 

「ブルート、バル酒場に行き、ボイナーから奴の居場所を聞き出してくれ。」

「分かった。」

とブルートは言った。

「明日の6月25日夜0時に実行する!信念の為に!」

ダンは大きな声で涙を流しながら叫びました。


ー6月25日18時ー

ブラッドはラードからダンの手下のブルートがバル酒場に潜入していると情報を得て、バル酒場の入り口に着きました。

バル酒場とは賞金稼ぎの「ハンター」、戦士の「ウォーリアーズ」等がガンズ•シティ全体の情報を得る為にたむろしている酒場であり、ディプリカンツも働いている。

情報を得る為に潜入していてもおかしくない。

ブラッドは酒場に入りました。

中はタバコと酒の匂いが染み付いている。

右目に傷のある男‥どこだ‥

ブラッドは目を凝らして探している。

疑われないようにする為に、カウンターに行き、緑色のウォッカの「グリース•トラップ」を注文した。

隅の席に座ってウォーリアーズ同士が戦うロワイヤルをテレビで観ながら飲んでいた。しかし突然ボイナー用無線機が鳴りました。電話に出ようとしたが、隣の犬を連れた老人ハンターに止められました。

「やめておけ、いつ何処で盗み聞きされているか分からん。盗聴器が仕掛けられているからな。」

ブラッドは壁に黒い丸の盗聴器が仕掛けられていた。この盗聴器は聞いている本人に近づけば音が鳴るように出来ている。

それを持ちながら店の中を歩きました。

残るはトイレか…

トイレ内を見回すと一つだけ鍵がかかっているトイレがある。

そこか…

ブラッドはボイナー•ガンを構えながらトイレドアに盗聴器を近づけました。

「ピピピーーーーーーー」

盗聴器が鳴り出した途端、ドアを破りブルートが出てきました。

そしてブルートはブラッドの胸ぐらを掴んで持ち上げて壁に叩き付けました。

「ラードは何処だ!言えば命だけは助けてやる」

ブルートはそう言いました。

ブラッドは彼の両腕を掴んで、両足で蹴り上げました。

ブルートは後ろまで飛ばされました。

彼はすぐに起き上がり、ブラッドに突進してきました。壁を突き破り、反対側の女子トイレまで飛ばされました。

そしてブルートは空いた壁を通りました。

しかしブラッドの姿は見えません。

「何処に行った、まさか」

気づいた時には既に遅かった。

ブラッドはブルートに背後から首を締め上げました。ブルートは抵抗しましたが、少しずつ意識がなくなりました。

彼のポケットを漁りました。

「奴は誰を探していたんだ。」

ポケットには一枚の写真がありました。

「写真…」

その時、ブルートが物凄いスピードで起き上がり、襲い掛かろうとしていました。

ブラッドは咄嗟に壁のタイルの破片で胸を突き刺しました。

ブルートは口から血を流しながら倒れました。

再度ブラッドは写真を見ました。

そこに写っていたのはイヴァン•クィレルともう1人の男が写っていました。

その男を見て、驚愕した。

「ラード…」

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