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職務

初めまして、桜波光さくらな こうといいます。

初めて小説を書きました。

短編ものとして4話構成で作りました。

読み切りなので温かい目で見てください。

よろしくお願いします。


 ガンズシティのとある路地にて一人のディプリカンツが逃げていた。

彼は必死だった。彼は生きたいという感情があった。しかし目の前には一人のボイナーが立ちふさがっていた。ボイナーの男はディプリカンツの男を左肩と右足に銃で二発撃ちこんだ。ディプリカンツの男はもう意識は薄れていた。そしてボイナーの男はこう言った。


「お前は、ディプリカンツ番号F1だな、処分命令が出ている。また人間と肉体関係を持った。多数の違法を犯している。重罪にも程がある。遺言は認めない。」


負傷のディプリカンツは涙を流しながら

「なぜ、俺たちを造ったんだ!愛を知って、愛する人と変わらない日々を過ごすことの何が悪いんだ!我々は家畜や奴隷と変わらない・・・。た・すけ・て・・・」

ディプリカンツの男は涙を流しながら、静かに息を引き取った。


ボイナーの男の名は、「ブラッド・コナーズ」

年齢は30歳ほどであり、黒いコート・紺のシャツ・茶色のズボンの服装をしており、彼が所持している銃は(ボイナー・ガン)といい、ボイナーしか取り扱えないように指紋認証性である。彼は10年ほどこの職に就いているが、団体任務を嫌っており、一人で任務を全うしている。

彼は複雑な気持ちと悲しい顔で彼を見ていたのである。


任務が終わり彼は空飛ぶ車に乗り、本部に戻る。戻るとすぐにアナウンスが流れた。


「コナーズ、直ぐに署長室に来なさい、これは命令だ。繰り返すコナーズ、直ぐに所長室に来なさい、これは命令だ。」


 彼はすぐに向かった。


「相変わらずだな、あいつは」

「昇格もしない問題児だな、そりゃあ署長も頭を悩ませるよな」


と署内を通るたびに陰口で言われていた。


ブラッドが署長室に入ると、デスクの椅子に座って険しい顔で待っていた。

署長の名は「ラード」。

ブラッドとは同期であった。しかしラードは出世し続けた優秀な人である。5年前に一人のディプリカンツによってボイナーが24人の死者を出した爆破事件が起きた。その際にブラッドは唯一の生き残りであったが当時に署長を含めた上層部によって降格処分を受けてしまった。それ以降彼は一人で任務をするようになってしまったである。


「ブラッド、いい加減無断で行動することはやめてくれ。君がやつに恨みを持っているのは知っている。しかし我々の仕事はクィレル社に依頼や市民の通報によって行動している。君の勝手な感情によって迷惑しているものがいる。これは友として言う。これ以上奴に深く関わるな。次はないからな!」


無表情でブラッドは部屋を出ようとする。しかし彼はこう言った。


「勘違いするな、俺の為じゃない。24人の勇敢な部下らの為にやっていることだ、このままじゃ彼らが報われない。報われない命なんて五万といる。報われる命を増やしていきたいんだよ。あんたの勝手な解釈で語るな!今度言ったらあんたも上層部もただじゃ置かないからな」


彼はそう言って署長室を出た。


それから一週間後の時が経った。その日のブラッドは非常に疲れていた。一日で三件以上にディプリカンツを処分しており、その際に一人のディプリカンツに右肩を刺され負傷していた。そのままフラフラな状態で家に着いた。自身の鍵でドアを開けようとしていた。しかしドアに鍵がかかっていなかった。

彼は少し微笑んだ顔でドアを開けた。

部屋にはテーブルの上に飾っているエーデルワイスに水をあげている女性がいた。


「本当にあなたは懲りないわね。」

と呆れた顔でそう言った。

「いつもと同じだ。場所が違うだけで、今日は右肩なだけさ。」

ブラッドは苦笑いで言った。


彼女の名はシャーリー。

赤色の革のジャケットとスカートを身にまとっている。

しかしシャーリーはディプリカンツであり。初期型Tであった。ディプリカンツには全部で7型まであり、T・F1・F2・F3・C1・C2・C3の構成になっている。

現在はクィレル社のロブ・クィレルCEOの意向により、F2まで殺処分命令が下されている。F3以降は人間に対して肉体関係を持った場合のみ違法として処分が下されている。


シャーリーとの出会いは4年前である。その時は雨が降っていた夜だった。

大切な部下・ボイナーとしての誇り、全てを失っていた。彼はビルの屋上にいた。部下達の遺族らの悲しんでいる姿を見て、自分がいなければよかったのか、自分がいなければ彼らを失わずに済んだのか。死ねば少しは楽になれるのかなという気持ちを持っていた。そして目を閉じながらビルから身を投げた。しかし、痛みを感じない。なぜなのだと感じ目を開けた。彼は驚いた。シャーリーが両手で彼の右手を持って引き上げようとしていたのだ。ブラッドは

「手を放してくれ!生きていたとしても何の意味もないんだ!」

シャーリーは必死な顔で

「意味がなければ死ぬしかないの、この弱虫!私達ディプリカンツは生き抜くしかないのよ、だから自分の手で立ち上がりなさい!」

と言った。

その時自然と力が湧いてきて、壁に足をつけながら、左手に屋上の端に手をかけながら登り切ったのだ。

シャーリーは優しい眼差しで

「何があったのかは分からないけど、生きたい気持ちは感じたわ。だったら生きてみようよ。どんなに不甲斐なくても、どんなに打ちのめされていても、生きてみたらきっといいことがあるから。ねっ」

そのときブラッドは顔から生ぬるい雨を感じた。しかしそれは雨ではない。自分の涙であった。自然と涙が出てきた。その言葉、その眼差しに救われたような気がした。

心の中で彼はこう思った。

「ありがとう。」

 

現在、あれから4年間古いビルで暮らしていた。

未だに彼女には自分がボイナーであることを明かしていない。

ただですら人間とディプリカンツという許されない関係なのに、ディプリカンツを殺す存在であるからだ。これ以上彼女を苦しませたくない。彼女にはガンズ•シティの治安維持を行なっている「コープ」として犯罪者を捕まえていると言っている。


そして今に至る。

「大丈夫だったか」

ブラッドは言った。

「大丈夫だったわ。まったく心配しないで。あなたと違って人間じゃないんだから!」

とわらいながらそう言った。

ブラッドは幸せそうだった。本当は許されないこの関係。友達以上であり恋人未満のような関係が4年も続いているが一緒にいてくれるだけで心の支えになっているのだから。

その後、シャーリーに糸で縫ってもらった。

ブラッドは真剣な顔でこう言った。

「この件が片付いたら、静かな場所で身を潜めよう。人間とディプリカンツの立場でお互いの為にも」

彼女は静かにうなずいた。

その時、ボイナー用の小型無線機から、緊急連絡が入った。

「至急、昨夜ディプリカンツによる殺害事件が起こった。至急現場に向かってくれ。」

着替えて準備をしていたら、主犯者の名前が聞こえた。

彼は顔色を変えた。

「主犯はディプリカンツ番号F3型、ダン。」


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