近所、意外な買い物事情。
今回はうちの地域のこと。
お年寄りが多い場所。朝にはシルバーデイサービスの車があちこち走り回る所ですよ。
突然だが、うちの周りは田畑が多い。
現在住んでいる場所に引っ越ししてきた時、前に住んでいた場所から二キロも離れてないのにそう思った。
うちはちょうど市境の近くのせいか、住宅地を道路一本越えただけで広大な田畑が広がっている。田畑に挟まれて、ものすごく真っ直ぐな道が当たり前に一、二キロは続くのだ。
つまり、ご近所は農家さんが多い。
昔からの住宅と、田畑しかないと言っても過言ではない。
そして、うちの近所は高齢者の方々が多い地区でもある。
腰掛けにもできるカートをコロコロと押して歩いているお婆さんの多いこと多いこと。(平坦な道が多いのでのどかな光景)
自分の趣味がウォーキングのため、歩いていると彼女たちと遭遇する確率が高い。お婆さんたちは運動も兼ねているようで、土手のジョギングコースもカートを押して歩いていらっしゃる。
そんな、人は多いけど田舎な我が地域、困ったことが少しあるのだ。
それは、買い物をするスーパーマーケットが極端に遠いこと。
まったく無い訳ではなく、ある通り沿いには大型スーパーが二軒。しかし、バイパスの方へ向かわないといけない。とりあえず高齢者が買い物へ行くのが不便そうだ。
ご近所の家の駐車場を見ていると、車の所有率はほぼ100%に近いようだが、『買い物をする奥さま』は若い人しか運転をしておらず、高齢であればあるほど車は運転していないようなのだ。
置いてある車も、二台のうち一台は軽トラ。旦那様が二台とも所有するという、農家には当たり前の光景である。
うちは旦那さんの仕事用の車と、自分の車の二台を所有しているため買い物には困ることはない。しかし、自宅から徒歩十分以内の範囲にはコンビニが一軒だけ。
小中学校が近く、郵便局、各種病院施設などは充実しているのだが、スーパーマーケット、ドラッグストア、コンビニ……は、やはりバイパスの方へ片寄っている。
帰りは荷物持ちになるため、もう少し近くに在ったら高齢の方は楽だろうなぁと考えていたものだ。
スローで歩行する『カートマダム』(心のあだ名)たち。
彼女たちは車も無しに、買い物をどうしているのだろう?
通販という考えも浮かんだが、彼女たちは近所にスーパーやコンビニがない所でも、エコバッグに何かを入れて歩いているのだ。あれはどこかで買い物をしてきた帰りだ。
まさか……あのスローペースで遠くのスーパーマーケットまで歩いていくのか!?
この速度であそこのスーパーは無理だと思う。
だが、この趣味のウォーキングのおかげで、カートマダムたちの買い物先が明らかとなる。
それは、農家さんが直接野菜を売る『直売場』だ。
よくよく見れば、近所の農家さんの敷地の近くに、明らかに手作りと思われる『屋根付きの棚』が設置されているのがわかった。貯金箱みたいな箱も添えられて居ることから、ここの販売スタイルは『無人販売』である。
この『無人野菜販売』もしくは有人の『野菜直売場』、ご近所には大小多数存在する。
自分が知っているだけでも、ご近所に7ヶ所。
堂々と立派な店構えでお婆さんが店番する場所もあれば、隠れ家のようにひっそりと棚だけ置いてある場合もある。
毎日置くか、週一で開くかはまちまちだが、そこの野菜がスーパーよりも安いか、値段よりも立派なものが多い。
えっ!?ブロッコリーがこの大きさでこの値段!?
白菜丸々ひとつで4分の1と同じ値段だと!?
しかも新鮮!
販売する農家さんによって、販売される野菜が違うのも面白い。最近のお気に入りは、水耕栽培をしている農家さんの無人販売だ。
水菜やミニセロリ、三葉などがスーパーではあり得ない束になって百円!! やめられない!!
自分はコ○ナ時期に利用させていただいたが、すっかり味をしめてしまった。
うちの地域は“野菜天国”である。
必要な野菜はそこで買うのがほとんど。
そんな楽しい直売生活をしているのだが、いつも狙った野菜が有るとは限らず、もちろん肉や魚などはないのでスーパーへ買いに行く。
「やっぱりスーパーは必要だなぁ……」
お婆さんたちだって野菜だけではいけない。
赤の他人なのに、少しだけ心配をしてしまった。
そんなスーパーの売り出しの日、ウォーキングがてら買いに行った時。意外と早く着いてしまい、まだ店は開店まえだった。
「ん?なんだ、このタクシーの列は?」
開店前の店の駐車場。タクシーが5~7台くらいいたと思う。
不思議に思っていると開店の時間になり、タクシーから一斉に降りてきたのは…………『カートマダム』たちだったのだ。
颯爽とカートと共に降り立った彼女たちは、すぐに店内へ滑り込み自前のカートにカゴを乗せて次々と買い物をしていく。
『絶対歩きでは持って帰れない量の商品』が、レジを淀み無くクリアしてマイレジカゴへ収まっていくのを、自分は列に並びながら目撃。
再び自前のカートに、会計済みのマイレジカゴを乗せて、己が乗ってきたタクシーへと戻っていくと、タクシーの運転手がセバスチャンよろしくカゴを車中へ運んであげていた。
……は、速いっ!?
開店から三十分も経っていないだと!?
もたもたと会計を済ませて外へ出ると、彼女たちを乗せたタクシーは一台もいなかった。
「まさか……毎回タクシーなのか……?」
スーパーの近くには市営のバスもあるが、これまた本数が極端に少ない。
それにどう見ても、タクシーで買い物へくることに慣れている。運転手も付いていて安全だ。
“脚”が無ければ喚べばいい。
“手”が要るなら手伝ってもらえばいい。
数々の修羅場をくぐり抜けた歴戦の乙女たちに、自分のような若輩者の心配など無用であった。
どうやら地域柄、近くのタクシー会社はシルバー向けの送迎サービスを充実させているみたいなのだ。
…………カートマダムすげぇなぁ……。
年の功をバカにしてはいけないと感じる。
歩きで来た自分の肩に、ズシリと買ったものの重みがのし掛かってきた。
一番近いコンビニはファミリー○ートなのだけど、そこの一番売れ筋のパンは『豆パン』。
一番売れるアイスは『バニラの最中』。
お寺も近いせいか、お線香なども充実。
時間帯によっては、近くの病院帰りのお年寄りたちで大盛況なのだ。
おにぎりの『梅』と『おかか』『ツナマヨ』がすぐに売れていくらしい。
『ツナマヨ』強し(*´ω`*)