第八幕 思想逆転
「警部〜。例の行方不明者の会社に行ってきましたよ〜。」
「お疲れさん。で、どうだった?」
「ゼンッゼンだめですね。借金も無し、人間関係も良好。仕事も真面目。ギャンブル、女遊びもして無い。自殺する理由も無し、彼女もいない、事件に巻き込まれるくちでも無し。お手上げですよ。」
「か〜〜、手掛かり無しかい。まっ、どうせ事件性も薄けりゃたいして捜査もしねーだろ。報告書を書いたら今日はもう上がっていいぞ。」
「ざーすっ。でも不思議ですよね〜。行方不明になる人間っていうのは大概はなんかしらの理由があるもんですけどね。」
「人つーのはそんなもんさ。ほらっ、さっさと書かねーと日が暮れるぞ。」
「うぃーす。」
■■■
いわゆるファンキーでファンシーでファンタジーな異世界にやってきてから一週間。
つまり七日間が経ちました。
ですが、自分の日常には何ら変化がありません。
新たな力に目覚めませんし、仕事内容にも変化がありません。
相変わらずトンガリ帽子兜をかぶっては人間だとバレやしないかびくびくしてます。
ああ、そうそう。エーリカに頼んで元の世界に帰る方法を探してもらったけど収穫はゼロです。わかっちゃいたけど流石に辛いね。
焦りを感じる。
むしろ神様からの嘲りを感じる。
「自分が一体何をしたっていうんだ!」
「っ!?、どうかしましたかイッヒ?いきなり叫んだりして。」
「いえ、なんでもありません。ちょっと世の中の理不尽さに嫌気がさしただけです。」
大丈夫ですよと言ってエーリカに書類を渡す。
今はいつもの執務室でお気楽な仕事の真っ最中。
書類を渡して受け取って、まとめてそろえて置いとくだけ。
うん、飽きた。
流石に一週間もなんらイベントらしきものもなく。平和っちゃ平和な日々をすごしてると飽きるね。
異世界まで来てやってることが地味過ぎる。まあ、だからといってなんかアクシデントが起きて欲しいとは思わない。やっぱ平和が一番さ。
そうでしょ?ミケさん。
「・・・・・・」
まあ、突然叫んだ人間に対しての反応としては無視も普通かと。
ちょっとさみしい。
すみません嘘つきました。
かなりさみしい。
とかまあ、そんなことは置いといて。
焦り、つまり焦燥である。別に冒険やスリルを求めているわけではないけど、ここまで何も起こらないと逆に落ち着かなくなる。変化が欲しい。
いや、まあ、悪いことじゃないんだろうけど、嵐の前の静けさというか、おとなしい人ほど怒ると恐いというか、根拠の無い恐怖を感じてしまう。
ほんと、根拠なんか何一つ無いはずなんだけどね。
「ふぅ、終わり。」
と、いつもの現実逃避を妨げる一言が、いや、二言が聞こえてきた。
見ればエーリカがグイーッと背伸びをしながら一息ついている。どうやら本日のノルマは終了したみたいだ。
「それじゃあ持っていきますね。」
そう言って書類束の半分、政務関係の紙を持つ。もう半分の書類束はミケさんが抱えている。これは三日目ぐらいから追加された仕事で、エーリカが押印した書類を各部所に運ぶという内容。最初はミケさんが一人でやっていたんだけど暇なので手伝うようにしてる。だって楽だし。
という訳で、グダラ〜っと机に突っ伏しているエーリカに背を向け、ミケさんの後に続いて執務室を出る。
別にミケさんの尻尾が見たいから後ろに付いたわけじゃないよ。ほんとほんと。後ろから見るネコミミもいいよねとか思ってないからね。いやマジで。
■■■
で、政務院に到着。
ミケさんは兵務院に行ったため途中で別れました。
因みに、政務院は政務長と左右大臣が、兵務院は兵務長と左右将軍がそれぞれ仕事している。外務院だけは独立して外務長だけだが、基本的に人間の国とは鎖国状態なのでやることは無い。
とかまあ、置いといて。
「失礼いたします。」
と、政務院の中を奥に進む。何人かが書類とにらめっこしている部屋を抜けて、いかにも¨偉い人がいますよ¨な雰囲気の扉を開けて大臣室にと足を踏み入れる。
「あら、イッヒ君じゃない。」
そう挨拶しながら妖艶に微笑むのはドーラ公爵。吸血鬼であり大臣でもある。
「本日の書類をお持ちいたしました。」
「ありがと。ふふっ、それよりどう?今晩わらわに付き合わない。閣下の相手ばかりだと疲れるでしょう?」
魅惑的な体で誘ってくるのも毎回だったりする。まあ、突然現れた謎の付き人の正体を探る腹積りなんだろうけどね。
「お誘いは嬉しいのですがまた機会がありましたら、ということで。」
だからやんわり断る。
「そう、それは残念ね。ふふっ。」
なんて、まったく残念そうに見えないドーラ公爵。
自らの重い光沢を放つ赤い髪を片手でいじりつつ、豊満な胸を強調した服と、変わらない妖艶な微笑みを見せ付けられると、前言撤回して一緒に遊びたくなるね。
だが彼女は吸血鬼。
サキュバスって言われた方が納得できるけど吸血鬼。気を許したら最後、
死ぬ。
生死の関わるデートなんて嫌すぎる。
「ふふっ、あなたの血はとっても美味しそうなのに。ほんと残念。」
「ハハッ」
冗談だとしてもタチが悪過ぎる言葉に苦笑いしながら書類をドーラ公爵に手渡す。緊張の一瞬である。
とっ、
ガシッ!
手首を掴まれた。
「・・・なにかいたしましたでしょうか?」
「・・・・・・」
「あのっ、若干痛いです。」
「・・・・・・」
えっ?何これ!?
なんでドーラ公爵さんに手首掴まれなきゃいけないわけ?あっ、考えてみれば他人と触れ合うなんて異世界に来てからエーリカ以来じゃん。
まあ、いいか。
いや、よくねえ!
ピンチ、自分ピンチ。手首掴んだ瞬間からドーラ公爵さん、微笑むのを止めて真剣な表示だし。掴んでる力も強くなってるし。バレた?もしかして人間だとバレた!?ジッエンド?うわー、どうしよう。どうしよう。しかも吸血鬼。噛まれて血を抜かれて死ぬのか?それともグール化?いやだー自分は畳の上で死ぬんだー。
「あなた、本当に魔力が無いのね。」
「はい?」
ちょっと妄想が入ったところでドーラ公爵さんがポツリと呟いた。
どうやら魔力の有る無しを確認しただけのよう。
まあたしかに、魔力が無い奴が魔帝閣下の付き人に突然なったら魔力を隠してるんじゃないかと怪しむわな。
でも、かなりビビったぞ。
てか確認し終えたんなら早く手首離してくれ。
「ふふっ、それにしても綺麗な手ね。ちょっとだけ味見しちゃおうかすら。」
「え!?」
危機は去っていなかった。
むしろ吸血鬼だけに
鬼気せまる。
ピーーンチ!
「ドーラ殿、戯れもその程度にしておきなされ。」
そんな自分を救ってくれたのはバリトン調の渋い声。
声のした方向を見ると恰幅の良い男性、白髭がよく似合うカイテル伯爵がいた。
エーリカによるとカイテル伯爵はなんとかウルフ、ようは人狼らしいのだがミケさんとは違い獣耳や尻尾は見当たらない。魔法で隠しているらしい。
会議の司会進行をしてるだけあって真面目で有能。
だけどちょっと堅物な性格。
「ただでさえレイモンド殿が抜けて仕事量が増えていますのに、余計な時間など無駄にしかなりませんぞ。イッヒ殿も閣下のもとに早く戻りたいであろう。吸血鬼の性だというのはわかりますが節度を持って行動して下され。」
いい人。いい人なんだけどなぁ。
ああ、そうそう。
政務院の長。あのキザったらしいレイモンド伯爵は今はいない。なんでも五日ぐらい前に領地に戻っているらしい。実家に帰省中というわけだ。
まあ、居ない人の話は置いといて、いい加減手首離してくれないかな?
「ふ〜ん。残念ね。すごく美味しそうに見えたのに。ふふっ、まあ気が向いたらいつでも言いなさい。」
そう言ってようやく離してくれたドーラ公爵さん。微笑んじゃいるけど目がマジだ。
うん、絶対に気が向くことはないだろうね。
まあ、これ以上この部屋に留まる理由もないし退散しますか。
「失礼しました。」
そう言って早足で退室する。
「うむ。」と「ふふっ」という言葉を背に扉を閉める。
掴まれていた場所は赤く跡が付いていた。
どんだけ握力あるんだよ。
まあ、いいや。
エーリカの部屋にとっとと戻ろう。しかし、エーリカを尊敬される存在にするにはあの二人を納得させなきゃいけないんだよな。
片や妖艶で狸。片や堅物で有能。やっかいだな〜。なんかもう挫けそうだ。なんらアイデアは浮かばないしエーリカは成長しないしどうしよう。
まあ、いいや。
おいおい考えよう。
なんて思いながら廊下を歩いていたらネコミミを発見した。
違う違う。
ミケさんとばったり会っただ。
「どうもミケさん。兵務院にはもう届け終わったんですか?」
「はい。今日はグナイゼナウ大公様しか居られませんでしたので。」
兵務院の方は三人共仲が悪いので別々の部屋に別れている。だから書類をそれぞれの部屋に渡すのが面倒らしいのだ。
まあ、何日か前から太っちょロッソが帰省中で、今日は牛頭のネロガイウル男爵も帰省したからだいぶ楽になったみたいだね。
「そうですか、それは良かった。ではこれからお茶でも如何ですかミケさん。」
「お誘いは嬉しいですが仕事がありますので。それとシュレデインガーとお呼びください。」
「そうですか、それは残念です。ではシュレッダーさん。仕事が終わってからではどうですか?チェルシーさんから美味しいお店を教えてもらったんですよ。」
「シュレデインガーです。その店は城下町のペドロという喫茶店ですよね。わたしとチェルシーで一緒に行きました。」
「ああ、そうだったんですか。それは失礼しました主礼出員画阿さん。」
「シュレデインガーです。いえいえ、誘って頂いただけで嬉しい限りです。」
「そう言って頂けると本心じゃなくてもありがたく感じますね。」
「そんな謙遜しないで下さい。イッヒ様にお礼を言われる筋合いなんてありませから。」
「恐縮です。すいませんねシュレガーガーさん、時間をとらせてしまって。」
「シュレデインガーです。大丈夫です。記憶しないので気になりませんから。」
「それはありがたい。では明日も誘いますね。」
「そうですか、ところで何の話しをしていましたでしょうか?」
「ありゃ、もう記憶に無い?ならまた明日話しますね。ではミケさん。また。」
「シュレデインガーです。はい、それでは後ほど。」
エーリカの執務室の前で歩いてきたところでミケさんと別れる。
なんだろう。仲良く会話したはずなのに精神的に疲れた気がする。おかしいな〜、自分的には爽やかに話し掛けたつもりだったんだけど。なにがいけなかったんだろう。
まあ、いいや。
答えが出ない考えを打ち切って扉を開ける。
相変わらず本と書類に囲まれた執務室の中にはエーリカが暇そうにしていた。
「あっ、お帰りなさいイッヒ。」
実は異世界に来て四日目ぐらいに気付いたことがある。
これがまたしょーもないことなんだけど・・・。
『ぺもっぴっ!』
テレパシー(念話)を使ってエーリカに謎の言葉を言ってみる。
すると、
「ぺもっ!?・・・ぺぺも、ふふっ、ふふふっ・・ぺっ・・・・ふふふふふふっ。
」
エーリカ爆笑。
いや、上品に笑ってはいるんだけどね。肩を震わせてる様子から察するによほどツボにハマったようだね。
いったい何が面白いのかわからない。
エーリカの笑いの基準が謎だ。
因みにミケさんにも同じ言葉を口で言ってみたけど冷たい視線しか返ってこなかった。
とりあえず、ピスケッチョ、ぽうわぽぽ、チョモランマ、ぬっぬっぬ!、は面白いらしい。
チョモランマって普通に山の名前なんだけどな〜。
さすが異世界の魔帝、なんか違う。
「ふふふ・・・ふふっ、ふぅ、いきなり笑わせないで下さいイッヒ。」
「ああ、すいませんエーリカさん。なんとなくです。」
「なんとなくですか。」
ええ、なんとなくですと、軽く相槌を打ちながらソファーの上に腰を下ろす。
思えば一週間、ただ異世界に慣れただけだった気がする。銀髪にーちゃんは現れないしデカイことも起きない。
そうだ、銀髪にーちゃんだよ!。ずっと放置しっぱなしだった。
元気かな〜。
「どうしましたイッヒ。さっきからぼ〜〜っとしてますよ?今日はイッヒの世界の話しはしてくれないんですか?」
ああ、そうそう。世界の偉人達の話しを暇な時間にするのが日課になりつつある。昨日はガンジーの話しをしたから今日はリンカーンの話しでもしようかな。
「あ〜、すいませんちょっと考え事してまして。えっと、昨日はインドのガンジーの話しをしましたよね?今日は別の国の「静かに!」
いきなり叫んだエーリカにビックリする。
見ればエーリカは天井を思いっきり睨んで右手を突き出している。自分も天井を見るけどなにも無い。
なに?なんか電波でも受信したの?
『どうかしたんですか?』
一応念話で聞いてみる。なんかそういう気分だった。
『何かの気配がしたんですが・・・気のせいでしょうか?』
どうやらエーリカも念話の気分だったようだね。
じゃなくて!
今の会話を聞かれていたら自分が異世界人だとバレるかも。
・・・いや、流石にそれは無いか。インドとガンジーしかそれっぽいこと話してないし、童話のたぐいですと言い訳できる範囲だよね。
まあ、それは置いといて。
天井・・・天井から来る知り合いなんてあっちの世界もこっちの世界も一人しかいない。
「あ〜〜〜。もしかしてあの時の銀髪侵入者さんですか?」
半信半疑で言ってみる。
と、
「・・・・・・・きひ・・きひひひひひ。」
三秒の沈黙の後に聞いた事のある笑い声が聞こえてきた。
「誰っ!?」
「だから例の侵入者さん。」
慌てて声が聞こえて方に構えなおすエーリカに説明する。
もちろん説明になんかなっていないけど、いきなり攻撃とかされても困るので一応言っとく。別に銀髪にーちゃんがどうなってもいいけど自分が巻き込まれるのだけは困る。
「きひひ、どうもお久しぶりですイッヒの旦那。初めましてバルト魔帝閣下。姿も見せずにこんな天井裏から失礼します。なにせいきなり魔法でズドンは嫌なんで。」
どういう原理になってるのかわ知らんが、銀髪にーちゃんの声が天井のあちこちから聞こえる。いちいち声のする方に右手をかざすエーリカは見てるとちょっと面白い。
まあ。いいや。
「エーリカさんその右手を下ろしてください。」
「えっ、でも。」
「自分達を殺すつもりならバレた時点で逃げるか問答無用で襲い掛かってきてますよ。それに会話してる段階で敵意なんて見当たりませんから。まあ、なにより、姿が見えないと落ちつかないんで。」
電話って苦手なんだよな〜。とか場違いなことを考えつつエーリカに右手を下ろすように頼む。渋々っといった様子で右手を下げたのを確認すると天井に向かって言ってみる。
「という訳で出てきて下さい。」
『単刀直入過ぎますイッヒ。」
エーリカにつっこまれた。もしハリセンがエーリカの手元にあったらいい音を奏でたであろうナイスな念話によるツッコミだった。
「きひひ、やっぱ面白れーわあんた。」
っと、馬鹿な妄想をしていたところで、シュタッっという音と共に銀髪にーちゃんが天井から現れた。
軽くびっくり。
本当に出てきたよコイツ。前回と変わらずチンピラっぽい雰囲気に銀髪で赤目、腰には剣を一本差している。
「それで、今日はどのようなご用件で?」
「ん?ああ、つーかもっと驚いてくれよなオイッ。っと、用件、用件ねー。まあ簡単に言えば情報を売りに来た。」
「情報を売りに?そっ、それだけのためにこのバルケン城にまた侵入したというのですか貴方は!」
思わず叫んでいるエーリカ。まあ当然の反応だろうね。
「仕方ねーでしょ。いくら待ってもこのイッヒの旦那はやってこねーし、情報つーのは売り時と売る相手が難しいんだよ。それに家賃もそろそろ払わねーとやべーしな。」
最後のは切実だな。
「その情報が確かだという確証は?」
うーん、なんだかんだ言ってエーリカは馬鹿ではないんだよな。人を疑うことを知ってるし常識を踏まえてる。ただ性格が気弱なんだよな〜。あと笑いの感性がズレてる。
「その辺はこの城に忍び込んだ度胸と技量を信じてもらうってことで。」
飄々とした態度で語る銀髪にーちゃん。段々とエーリカの落ち着きが無くなってくる。まあ始めからあまりなかったんだけどね。
しゃーない。
「でっ、いくらですか?」
話を進めるとしますか。
「あん?」
「報酬ですよ。報酬。買う買わないを決める前に値段を聞くのが常識でしょう?」
「イッ、イッヒ!」
「ひゅー。流石はイッヒの旦那、話がわかるね。そうさな、ん〜〜そうだっ!情報を渡すから値段はあんたが決めてくれ。これでどうよ?」
「なっ、それでは結局買うことが前提に」
「わかりました。」
「イッヒ!」
『大丈夫ですよエーリカさん。情報なんてのは一つだけじゃ意味が無いんですから。聞いた後に裏を取ればいいんです。』
『でっでも。』
『まあ確かに完全に向こうのペースっていうのはシャクだなー。よし。』
念話を切り上げて執務室の机まで歩いてみる。エーリカはいまだに念話で抗議してくるけど無視。あんまやってると銀髪にーちゃんに怪しまれるからね。
っと、あったあった。
目的の物を手に取るともとの位置まで戻る。
「後で金を決めるともめそうなんでコレでどうよ。」
そう言って手に取った物を銀髪にーちゃんに放り投げる。
「ん?」
片手でキャッチした物を確認する銀髪にーちゃん。
「こりゃあ純金じゃねーか。」
正解。正しくは純金の文鎮です。ちなみにエーリカの物です。自分のやつじゃありません。
『私のお気に入りなのに・・・。』
『ごめんなさい。』
念話による呟きが聞こえたので謝っておく。しかしここで怒らずにしゅんと悲しそうになるのがエーリカらしい。
「っで、どうですか?」
「お?おおう!。いや十分十分。むしろお釣りが出るくらいだ。やっぱその辺の貴族とは違うな魔帝ともなると。懐の大きさが段違いだ。っと話がそれたか。きひひひ。」
純金の文鎮を懐にしまいつつ銀髪にーちゃんが姿勢を正す。
別に正す必要はないけれどなんとなく自分とエーリカも姿勢を正した。
『文鎮・・・。』
まだ言ってた。
ってか純金の文鎮がお気に入りって趣味が悪いぞエーリカ。
っと、んな馬鹿なこと考えてる場合じゃないや。
結構高い金(というか文鎮)を払ったんだから聞き逃さないようにしないと。
「んじゃ話すぜ。滅茶苦茶重要な情報だから良く聞けよ。え〜〜、ゴホンッ。この国の右将軍。ロッソ伯爵の話なんだが、今この城にいないよな。実は・・・」
「「実は?」」
「反乱する気らしーぞ。」
「「えっ!?」」
いや、まあ。確かになんらかのイベントが欲しいとは思ったよ。
でもアクシデントはいらないとも思ったよね。
戦争やら冒険やらスリルに英雄なんてのは求めてなかったんだよ。
チクショウ。
いったい何を間違えた?
チクショウ
いったい何で間違えた?
チクショウ
いったい誰が間違えた?
嗚呼、日本に帰りたい。
いきなり一週間ほど経過しました。生活についての疑問は多々ありますがとりあえず置いときます。 今回は冒頭に警察官の会話を置いてみました。まあ行方不明になってるだけですけど。 次回はようやくファンタジーらしくなる予定です。 あくまでも予定です。