第二十九幕 逆転会義
「お〜〜い、濡恵〜。」
「なんじゃ~?お前様〜。」
「ココに置いといた猫缶知らねーか?。あとお前様と呼ぶな〜。」
「知らんっ!。あんなしょっぱくて味が単調な缶詰めなんぞ!。」
「食べたのかっ!?」
■■■
「皆、そろいましたね。ではこれより、定例会議を開催いたします。」
てなわけで、
エーリカの声で始まりました会議です。
そげなわけで、
やっぱり自分の位置はエーリカの後ろです。
んなわけで、
もちろん立ちっぱなしな今日この頃です。
さてさて、
時間経過を振り返ってみると、
ネコミミチルドレンの処遇を決めた後、とりあえず腹が減ったのでみんなで食事をし、(ミケさんは給仕に徹していたし、ネコミミチルドレンは緊張しまくってたけど。)城の医務室に二人を泊め。ミケさんには御家族の下に家族が増えることを説明しに行ってもらい、その後軽くエーリカと打ち合わせしてから就寝。
んで、日付が替わって今日である。
厳密には起床して、食事して、ネコミミチルドレンとシュルツのにーちゃんとミケさんに小細工をして、今に至る。
「では、わらわから報告させて頂きますわ。」
ドーラ公爵の妖艶な声で回想終了。
気持ち薄暗い会議室の中、Uの字型のテーブルを囲むように座っている貴魔族達を見渡すようにドーラ公爵が立ち上がっているのが見える。相も変わらずバインでドキューンでズダンな体形に目を奪われそうになるけど、
やっぱりアレは吸血鬼。
サキュバスもどきの吸血鬼。
目だけで無く命まで奪われそうだからすぐさま視線をそらします。
なんて考えてる自分を無視して話し始めるドーラ公爵。
「反乱における市場の混乱は一応な収まりを見せていますわ。高騰しておりました食糧物と武具関係の価格も大分落ちついてきておりますし、作物の収穫量も例年通りとの報告がきておりますわ。」
「うむ、では次にワシから報告を。各地に散らばっておった反乱軍の残党は完全に制圧し終わったわい。だが、まだ少数の馬鹿共が野盗やら山賊に身を変えて出没しておる。」
「失礼グナイゼナウ大公。その前にレイモンド伯爵の行方はどうなっておられる?。」
「うむ、恥ずかしながら以前行方不明だ。ワシの部下が草野根わけて探しておるがさっぱりだわい。」
「人間ノ国二逃ゲ込ンダ可能性ハ?」
「それは無いですわカーン男爵。レイモンドは以前から魔族至上主義者として有名でしたもの。死んだって人間の所など行かないわよ。」
「ナルホド。」
「ゴホンっ。わしの話を続けてよろしいかなお二方?」
「これは失礼しましたわ。」
「続ケテクレ。」
「うむ。ではレイモンド伯爵領及び、各地の治安状況であるが。」
そして続く会議。
反乱に加担した幹部貴族達が抜けた為、ちらほらと空席が目立つ会議室。
けどまあ、学級閉鎖する程の空席があるわけじゃない会議室。
粛々と進む会議。
誰かが報告し、誰かが意見する。
誰かが提案し、誰かが立案する。
誰かが賛成し、誰かが否定する。
議論はあれど言い争いは無く。
質疑はあれど懐疑は無く。
滞りなく会議は進んだ。
反乱の伝令が来るわけもなく、喧嘩が発生することもなく会議は終盤になった。
いや、
「ふむ。それではこの度の会議はこれにて終了ということで、皆様方よろしいですかな?」
閉幕に差し掛かっていた。
さて、
勿論な話、ここで黙って会議を終えてしまうという選択は無い。
いや、あるっちゃあるがー選らんだらミケさんに怒られそうなのでやらない。
ということで、
『そろそろ始めましょうかエーリカさん。』
『あっ、はい!』
念話で合図を送る。
自分の位置からだとエーリカの金髪後頭部しか見えないが、それでも若干緊張したのが分かった。でも、そんなのいつものことなので、リラックスしてとも言いいません。
いつものように
さあ、
小細工の開始だ。
リピート・アフター・ミー
リッスン・トゥ・ミー
『「諸君。」』
全ての意見が出終わった所で、カイテル伯爵が”では”と締めくくろうとした所で、エーリカが発言した。
開催の挨拶の後”わざと“黙っていたエーリカが発言した。
反乱が起こった時の会議のように、泥の町での対話のように、意表を突いた。
まあ、自分の念話に続いてなんだけどね。
しかも会議中黙ってたのは自分と念話で打ち合わせしてたからだし。
まあ、いいや。
とりあえず周囲の反応はっと、
うん。
全員こちらを、というかエーリカを振り返って、振り向いて、視線を向けて。その表情は驚き半分、今度は何だ?が半分ってところかな。
そりゃぁー何度も何度もエーリカの奇行?・・・奇声?・・・愚行?、を体験してればそんな反応になりますよね。
半分も驚いたと思うべきか、半分しか驚かなくなったと考えるべきか、
まあ、そんなことは置いといて本題に入ろう。
聞く姿勢を取ってもらったなら、喋らなきゃね。
『「まずは反乱後の混乱収拾ご苦労。流石は我がルフトバッフェの勇士達である。」』
とりあえずは褒めとく。
褒められて異論を挟む奴はいないだろうからね。
『「諸君等、優秀な部下を持てたことを私は誇りに思う。」』
頭上に疑問符を浮かべる貴魔族の方々。何気にグナイゼナウ大公が照れてるのは気にしない。
『「さて、そんな諸君に私から一つの提案がある。」』
さて、褒めることによって場の空気をエーリカのものにしたところで本題だ。
『「単刀直入に言いいましょう。今後、ルフトバッフェ魔帝国領内全てにおいて奴隷制度を禁止します。」』
ど真ん中。
予備動作も牽制もフェイントも無しで本題を話す。
「「「「・・・・・」」」」
一同絶句。
「奴隷ですか・・・。」
あっ、いや、カイテル伯爵だけ普通に反応しやがった。
「うむ、ワシは賛成だ。軍としても奴隷がいないことに対する問題はなかろう。」
「反対デスナ。奴隷ガ居ルコトニヨッテナリタッテイル商売モ多カロウ。」
「部分的に禁止するのであれば良いのでは?」
「わらわとしては即座に返答しかねますわね。」
「まずはどれ程奴隷がいるのかを調査するべきでは?。」
「閣下のお言葉とあらば即座に禁止するべきだろう?。」
「グナイゼナウ大公様と同じく賛成でございます。」
「待たれい。カーン公の意見こそもっともだとそれがしは思うが?」
んで、議論が始まりました。
いや、お前等。議論する前になんでエーリカがそんなこと言ったのか理由を聞けよ!?。
「何故、禁止するのでございますでしょうか魔帝閣下様?」
よくぞ聞いてくれました・・・ええっと・・・・メイダースさん・・だったけか?。
まあ、いいや。
聞かれたならば答えましょう。
『「私がそう思ったからです。」』
「「「「・・・・・・・」」」」
今度こそ全員絶句。
驚愕の表情というより、ポカーーンっとした呆れ顔。
強面のグナイゼナウ大公も、妖艶なドーラ公爵も、青白いカーン男爵も、ダンディーなカイテル伯爵も、角やら何やらが付随した顔のその他貴魔族の方々のレア顔が陳列された。
『・・・おもしろ顔?』
エーリカの謎の感想だけが聞こえましたとさ。
・・・たしかにオモシロ顔のオンパレードだけどね。
「そ、それだけの理由ですか閣下?」
またもやいち早く混乱から回復したカイテル伯爵の質問。
『「それだけです。」』
その質問にこともなげに返す。
それがどうかしましたか?、と言わんばかりの表情で答える。
「・・・・・」
再び誰も喋らなくなった会議室内。
あんまりな理由に驚き思考が追いついていない状況。
これを待っていたりして。相手の意表を突くのが兵法の極意って誰か言ってそうだから。
さあ、これで準備は整った。
いざ、舞台と役者が揃った。
まあ、小細工の粋は出ないけど。
そう、やれるだけやってみよう。
『「諸「畏まりました閣下。」君?」』
あれ?
なんですと?
かしこまったって?
「では、奴隷禁止によって起こると予想されます混乱への対策を至急立てるといたしますわ。」
え?、そんな簡単に納得してしまうのですかドーラ公爵さん?
「うむ。地方領主どもへの対応はワシがしよう。」
グナイのおっさんまで?
「奴隷商人ノ処遇ハコチラデヤッテオコウカノ。」
カーン男爵も!。さっきは反対してたじゃねーかアンタ!
「まあ待ちたまえ御三方。」
おお!。流石は冷静なカイテルさん。伊達にダンディーじゃない。
よし、ここでガツンと止めてくれ。じゃないと”小細工”が意味をなさなくなるからさ。
「今日中には私の方で奴隷禁止に関する要項をまとめますので、それを参考に動いて頂きたい。」
カイテル、お前もかっ!!。
おかしいだろ!?。
何であんな理由で納得するんだよ!!。
思っただけなんだぞ!?、理由になってないだろ!?、もっと深く追求しろや!。
『イ、イッヒ!?。』
驚いてますねエーリカさん!。
大丈夫、自分も驚いてますから。
思考という宇宙に感嘆符と疑問符がスクランブルエッグのように渦巻いてるんやで!?。
ぐらいに混乱してらね。
「うむ。それではカイテル殿が中心となり奴隷禁止を進めることでよろしいかな?」
「ワシは全面的に協力しよう。」
「わらわに異論はございませぬわ。」
「承知シタ。」
「かしこまった。」
とかいってる間に話がまとまってるし。
「わかりました。閣下、私カイテルが責任をもって奴隷禁止を実施いたしまする。」
『えっ!?。えっと。』
『落ち着いて下さいエーリカさん。こういう時は・・・・え〜〜っと、そうですね・・・。』
やばい、話の展開についていけない。考えろ。考えないと、どうすれば円滑に事を進めれる、どうすれば奴隷禁止の方向に話しを持っていけるって・・・あれ?。
いいじゃんこれで。
『・・・普通に返したらいいんじゃないですかエーリカさん?。』
『えっ!?。あっはい。』
自分の念話に念話で律儀に答えてから、ゆっくりとカイテル伯爵を見るエーリカ。普段の間抜け面からは予想がつかない程に凛々しく、金色の髪の毛を可憐に風も無いのになびかせてカイテル伯爵を見据える。「よろしい。それではカイテル伯爵殿に奴隷禁止政策の指揮を一任します。近日中には実行できるよう頼みましたよ。」
「はっ!。お任せ下され。」
敬礼ではなく頭を下げることによって了解の返事をするダンディー。
そのダンディーから視線を会議室全体に移して
「諸君等も頼みましたよ。特に奴隷を取り扱っている商人等からは強い抵抗が予想されます。十分注意されるように。」
そう、エーリカは締めくくって閉めた。
おお、自分が念話でアドバイスしなくてもちゃんと指示出来るようになったねエーリカさん。
偉い!。
「「「「はっ!」」」」
おお、貴魔族達の一糸乱れぬ返事。
怖い!。
「で!、ではこれにて定例会議を閉幕いたします。」
いや、エーリカさんは慣れろよ。なんでどもっちゃうかな〜。
「「「「ルフトバッフェに栄光を!」」」」
ドーラさん達・・・それで毎回閉めることにしたの?ああ、そうなの。
もう好きにしなよ。
■■■
てなわけで、
あれよあれよと会議が終わり。
あれれあれれと奴隷禁止が決まりました。
そして場所を移さず会議室。
ドーラ公爵さん達はすでに全員退室しており、無駄に広く重厚な会議室には自分とエーリカしかいない。
エーリカは最初にいた席に座ったままで、自分はその隣の席に座り、二人して呆然自失している状況だ。
いや、そこまで大層なもんじゃないな。単純にあっけにとられている状況
「・・・おかしいですねエーリカさん。」
「・・・おかしいよねイッヒ。」
「どうしてこんな簡単に決まってしまったんでしょう?」
「どうしてあんなあっさり賛成してくれたのかしら?」
二人の口から出るのは疑問ばかり。
頭を巡るのは懐疑ばかりだ。
答えの出ない堂々巡り。
納得いかない解答探し。
エーリカは小首を傾げ腕を組ながら、うーんとうなり。自分はトンガってた帽子を指で叩きながら、はてなと悩む。
そんなことを会議終了から30分程やっていたら。
コンコン
と、
意味なく重厚な会議室のドアがノックされた。
「失礼いたしますエーリカ様。」
続いて聞こえてきたのは、賛美歌を歌う天使のような美しく燐とした声。
「どうぞー。」
と、ほんわかしたエーリカの声に答えるように開かれる扉。
そして姿を表す我らが神。
万物世界の創造主もかくやの美しき至極のネコミミ。
超絶宇宙の絶対式も歯牙にかけない究極のネコミミ。
てかミケさん。
んで、
「きひひひ、失礼するぜ魔帝閣下様。」
普通に入室、銀髪赤目のシュルツにーちゃん。
更に
「「しししし失礼さまさせん。」」
恐縮を通り超して恐慌しちゃってるネコミミチルドレンも入室。
出会った時のボロとしか言いようが無いボロを着ているが、ピンと立った二本の尻尾とせわしなく動く四つのネコミミが可愛らしい。
ところで、失礼さまさせんって何?
とかまあ、
ぞろぞろーという程の人数でもないけれど、二人っきりの陰鬱な空気を消し去る様にトタトタと天使オマケ+1が入室してきた。
いやっほー。
「・・・」
睨まれた。
誰とは言わないけどネコミミメイドに睨まれた。
イェイ。
冗談はさておき。
「お疲れ様ですミケさん、シュルツさん、アインスちゃんにツヴァイ君。悪いですね色々準備してもらったのに呼びそびれてしまって。」
とりあえずは挨拶。
「お疲れ様でございましたエーリカ様。只今紅茶をご用意致します。薄めにいたしましょうか?、濃い目にいたしましょうか?」
その挨拶を華麗にスルーする形でエーリカに話掛けてるミケ。ちなみに白黒ネコミミチルドレンはミケさんの後ろにピッタリとくっついている。
ということで、
「きひひひ、首尾はどうだいイッヒの旦那ぁー。呼ばれねーから“策”が失敗したんじゃねーかと心配してたんだぜ。」
自分のところに来るのはシュルツのにーちゃんということですね。
チクショウ、癒し成分ゼロかよ。
まあ、いいや。
トンガッてた帽子兜ごと頭を振って雑念を振り払い。なんとなく見たシュルツのにーちゃんの右手には二通の手紙らしき紙切れ。
それこそが自分の用意した“策”、もとい、小細工。
一通に書かれているのは嘆願書。
奴隷の厳しい状況を魔帝閣下に助け求めた内容が書かれている。
もう一通は遺書。
魔帝閣下に直訴したからには命なんていりません、と書かれた決意書。
ネコミミチルドレンの字で書かれた二通の小細工である。
この二通、内容を自分とエーリカが考え、会議が始まる前にネコミミチルドレンに書いてもらった物。これを使って自分は小細工をするつもりだった。
《諸君。私が奴隷を禁止しようと思ったのには理由があります。
昨日、城下を視察していた自分にこの二人が嘆願書を持って直訴してきた。まだ子供であるにも関わらず遺書まで準備して死ぬ覚悟で訴えてきた。内容を読んでみて驚いた、ここまで奴隷達の扱いが卑劣とは知らなかった。酷い、酷すぎる。これでは反乱を起こされても仕方がない。だからこそ、真に豊かなる魔帝国とする為、奴隷制度を禁止する。異義のあるものは前に出よ、心無き者は前に出よ。もし、奴隷禁止反対するというのであれば、まずは私に直接意見を言え!。そして私を納得させてみよ!。出来ないというのであれば、そっこく奴隷を解放せよ!!。》
的な演説をするつもりだった。
会議室にボロボロの服を着たネコミミチルドレンを呼んで同情を誘い。心優しき、そして強固な意志を持ったエーリカを見せようとしていた。
調べれば直ぐ様バレる小細工だけど、例えバレても問題無いやと準備していた。
ネキミミチルドレンが直訴したから奴隷禁止になったとあらば、多くの存在から恨まれると予想されたので、ミケさんの養子(義兄弟?)にすることによって安全を確保した小細工だった。
まあ、結局は不発に終わったけどね。
とにもかくにも今は、
「心配ご無用ですよシュルツさん。単純に策を弄するまでもなくエーリ・・・魔帝閣下様が大公さん方を論破なさっただけです。」
嘘をつく。
『えっ?』
エーリカの疑問を無視して嘘をつく。
「いやー、流石はエーリ・魔帝閣下様です。数多の不満反対猛反発な意見を華麗に優雅に美しく論破していきましたよ。いやー是非ともシュルツさん達にあの勇姿を見せてあげたかったですよ。凄かったな~、格好良かったな~。あれは恐らく歴史に残りますね。伝説と言って過言ではない論戦でしたよ。」
『イッ、イッヒ!?』
意味の無い嘘。
エーリカの驚きをよそに
「おおぉ、そいつぁーすげーな、きひひひ。」
「流石でございますエーリカ様。」
「「えっと、え〜〜っと。パチパチパチパチ」」
騙されて感心する二人に拍手し始めた二人。
『なっ!、なんでそんなこと言うんですかイッヒ!』
『いや、つい。』
『つい!?』
いやホント。なんで嘘ついたのかね自分?。
『てて訂正して下さいイッヒ!』
そうは言いますがエーリカさん。
『今更訂正してアインスちゃんにツヴァイ君を落胆させるのはちょっと・・・。』
見て下さいよと、視線でエーリカを促す。
白黒のネコミミとしっぽをピコピコさせながら尊敬の眼差しで瞳をキラキラさせてエーリカを見つめるいるじゃないですかと、伝える。
『うっ!。』
「「す、す、すごいです魔帝様!!」」
わぉ。子供の純粋さって恐ろしい、ぐらいな精神攻撃だね。
まあ、自分が普通に嘘ついた結果なんだけどね。
「と、とうぜんなりけりよ!!。我が本気を出せば奴隷禁止なんて朝飯前ですことよ、うわっはっはっはっー。」
開き直りましたかエーリカさん。つーか何キャラだよそれ。似合わねーー。
とかまあ、
まあ、
まあ、いいや。
やんや、やんやと拍手に謝辞に強がりで盛り上がってきた四人から視線をテーブルに移す。
そこにはシュルツのにーちゃんが置いた二通の手紙だけが重厚なテーブルにポツリと存在。
その小細工を手に取りヒラヒラと頭上に掲げて考えてみる。
一体全体何故にドーラ公爵達は反対意見から直ぐ様切り替えのか。
誰かの思惑があったのか?
誰が?、どうして?、どうやって?。
まさかエーリカの黒球魔法やらに恐怖して逆らうのを止めたのか。
本当に?、違うだろ?、根拠は?。
威光のお陰?、お手並み拝見?、利益?、恐怖?。
考える、考える、考える。
だけれど答えは出ない。
答えが出ない気晴らしに
ビリビリと、
バラバラと、
二通の小細工を細かくちぎってみた。
つたない字で書かれた文字ごと自分のもやもやがすっきり砕けるようにと
ちぎってみた。
勿論
気が晴れたりなんかしなかったけれど。
テーブルの上にゴミが出来ただけだったけれど。
無駄になったモノをどうしようが、結局、無駄なだけだから。
こんなこといくら考えても日本には帰れないんだから。
ハハッ。
もう、いいや。
まっ、なるようにしかならないさ。
考えて悩むのはきっと今は無意味だから。
なら、
少しだけ楽しもうか。
異世界の魔帝とメイドと元侵入者とネコミミっ子達との会話をさ。
「「「・・・・・・。」」」
ん?、エーリカもミケさんもシュルツのにーちゃんもネコミミチルドレンも自分を見つめてどうしたんですか?。
黙って自分を見てるとか恐いんですけど。
「「あのっ、そのっ!」」
「イッヒが黙って紙をちぎっている姿がね・・・・。」
「正直に申し上げますと。」
「きひひ、不気味だぜ。」
「・・・。」
嘘?
ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。
更新、遅れに遅れました。
スランプと言いますか、モチベーションが上がらす執筆が中々うまくいかなくて。
まあ、そんな言い訳は置いておきまして。
会議です。小細工です。不発です。
前話で散々伏線をはっておきながら不発です。ごめんなさい。
この最悪なる世界らしい物語を考えた結果こうなりました。
そうきたか〜!、もしくは、イッヒらしい!、と、思えて頂けたら幸いです。
一応まだ続きます。
そろそろクライマックスに入ります。
無理かもしれません。
ではまた。