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第二十二幕 初壱等賞

「・・・何を頭に被ってんの?、濡恵ぬえ

「おう、お前様か。これはネコミミというものじゃ。」

「いや、犬とか猫とか兎とかはどうでもいいけど、そんなの頭に付けてどうしたいんだ?。後、お前様と呼ぶな。」

「かっかっか。ちょっと電波を受信しての。時代はネコミミじゃよお前様。」

「電波っ!?。お前サイボーグかなにかなのか!?。それとお前様と呼ぶんじゃねー。」

「むむ。来たぞ来たぞっ!ビビビッと来たの!」

「無視っ!?」

「ピコーン!。次はメイドじゃ!。時代はメイド服じゃ!。」

「ねーーよ!。」










■■■




何やら兄貴が不憫なことになってる気がするけど、気のせいだよな。

さて、現在自分はそれなりに豪華な部屋にいます。


経緯を整理すると、

あの後、エーリカに言うだけ言って馬車を降りた後、入れ違いで馬車に乗り込んだミケさんが物凄い勢いで馬車から飛び出してきて、「エーリカ様を泣かせる輩は万死に値します。」と、飛び膝蹴りからの流れるようなコンボという鉄拳制裁を頂き。

近くにいたシュルツのにーちゃんにきひひひと、介抱されつつ歩いて行軍してとある街に到着しました。

流石にエーリカとミケさんが乗っている馬車に再び乗り込む勇気は無かったね。

ミケさんマジで恐かったから。

まだ肋骨が軋むように痛い。

まあ、いいや。


馬車の旅(一部徒歩)もようやく一段落し、それなりに栄えた街のそれなりに立派な館(おそらく領主の住居とかだと思う)のそれなのに豪華な部屋にやってきた、というわけです。


落ちつきしきれない豪華な部屋で黒球発狂話し以来に対面したエーリカがどうにもぎこちなかったけど、自分が完全に何事も無かったかのように振る舞ったら

「・・・その性格が羨ましいです。」

と、呟いた後に今まで通りに接してきました。

でもねエーリカさん。この性格も結構難儀なんですよ?


とかまあ、無駄な思考をしつつダラダラと過ごして五日経ちました。

言葉通りのダラダラな五日間だったね。

襲撃されるでもなく、暗殺されそうになるわけでもなく、突然現れた反乱軍の大軍に包囲されることもなく、政務があるわけでもなく、雑務は合流したカイテル伯爵が全部処理してくれるという何事も無さっぷり。

まさに人生の無駄使い。

そんな非生産的時間の今終わりを告げました。

というか告げられました。


「グナイゼナウ大公様ただ今到着いたしました。」


伝令の魔族による報告によってね。

向かい合いながらツインテールとポニーテールのどちらがミケさんに似合うのかと議論していた自分とエーリカさんが同時に伝令に振り向く。

因みに自分はポニーテールだと思う。  

まあ、そんなことは置いといて。

それじゃあ会いに行きますかとエーリカに念話をしようとした瞬間


「只今戻りましたぞ閣下っ!!」


ズダンッと扉を開けて筋肉馬鹿大公登場

ビリビリと鼓膜が悲鳴を上げる程の大声と、天井から埃が舞い落ちる程の衝撃で開けられた扉にビビる自分とエーリカ。

何故静かに入室できないんだろうかこのおっさんは?。少しは慎みとか手加減というものを覚えて欲しい。


「おおお帰りなさいグナイゼナウ大公。」

そしてあんたは落ち着け。

というか、伝令さん意味無くない?。扉の横で所在なさげに立ってるんだけど。

「・・・失礼いたしました。」

あっ、耐え切れずに退室していった。

「失礼いたしますわ閣下。」

んで、入れ違いにドーラ公爵が登場。

相も変わらず妖艶な微笑みを顔面に張り付けてやってきた。

「ふふ、まずはご苦労様グナイゼナウ大公殿。早速だけれども首尾の方はどうなのかしら?」

「おお、ドーラ公爵か。ちょうどよい。今から閣下に説明するところだ。」

「うふふふ、それはよかった。ではお願いいたしますわ。」

などと返り血コンビが和やかに談笑し始めたところで、

コンコン。「失礼いたしますエーリカ様。カイテル伯爵様がお越しになられております。」

ノック音と静謐な美声と共に扉が開きダンディーな人狼男(人間姿)が入室。

だが重要なのはダンディーなんかじゃない!!

そのダンディーの斜め後ろに立っているメイド!


先ほどの静謐な美声の発生源。

福音の如きノック音の神楽器。

グナイゼナウ大公による荒んだ部屋の空気を、まるで屋久島のような神秘的で清純で神々しいものへと確変させる美しいネコミミ。

ドーラ公爵の放つ妖しげなオーラを、まるで地中海の透き通った爽やかな海のような心地良いものへと改革させる尻尾。

そうっ!、

それは神が造りし神を超える存在!

そうっ!、

それはヒトとネコを掛け合わせた禁断の果実!

そうっ!、

我らが楽園の女神ーミケ・シュレディンガー様のお姿がそこにあった。








はっ!

なんか飛んでた!

精神的にダメな方向に飛んでた!

いかんいかん、現実に戻ろう。


「おお、カイテル伯爵。ちょうどよかったわい、呼ぶ手間が省けたといもうのよ。」

「いやなに、グナイゼナウ大公殿が戻られたと聞きましてな、おそらく閣下の元に向かっているだろうと思い、いち早く報告を伺いたくて来たまでのことです。」

「はっはっはっ。流石はカイテル伯爵ですな。ワシの行動などお見通しですか、はっはっはっ。」

「ふふふ、グナイゼナウ大公殿の場合は行動が分かり易すぎるだけですわ。」

「むっ!。それはワシを馬鹿にいておるのか?」

「そんなことはありませんわ、ふふ。」


あ~~、現実に戻ればなんか三人で盛り上がってるし。

仲が良い(?)のはいいけど、早く本題というか報告をしてくれないかなぁ。

『イイッヒ。どうすればいいでしょう?』

どうすればって、あんたがあの三人の会話を止めればいいだけでしょうが。

『常道としては、わざとらしい咳でもして三人の注意をエーリカさんい向けさせるのが一番てっとり早いですね。』

はっはっはっ、うふふふ、うむうむ、と会話する筋肉馬鹿と妖艶吸血鬼と堅物人狼を眺めながらエーリカに念話を送る。

『わざとらしい咳とは、どんなものですか?』

いや、聞かなくても分かるだろ?

『ゴホン!とかオッホン!とかでいいと思いますよ?』

『わわかりました。やってみます。』

なんでそんな小さいことも自分に相談しないとできないんだろうかこの馬鹿帝は。


「ハックションッ!!」


・・・それはクシャミだ。




■■■




まあ一応、エーリカのわざとらしいクシャミによって会話をするのを止めた三人。奇襲された時のエーリカの無双っぷりを聞いていたのか知らないが冷や汗を流しながらそれぞれの立ち位置に移っていった。おおまかに説明すると、部屋の中心にグナイゼナウ大公が立ち、その右側の壁にドーラ公爵とカイテル伯爵が並んで立ち、グナイゼナウ大公の正面にそれなりデカイテーブルをはさんでエーリカが座り、エーリカの右隣に自分、左隣にミケさんという感じだ。

しかし最初の頃はエーリカなんかみんな無視してるような感じだったのに、今ではクシャミをしただけで歴戦の将軍でさえ冷や汗を流させる程になるとはね。いいことなのか悪いことなのか自分には判断がつかないけれども、まあ、エーリカ本人が気がついてないからいいか。

と、もはや癖になった現実逃避交じりの思考をしていたところでようやくグナイゼナウ大公が報告し始めた。


「ゴホン。では報告いたします。奇襲に失敗した反乱軍は二手に逃走。我らはその一方をアラスの地にて捕捉、殲滅いたしました。その後すぐさまもう一方を追撃。逃走していた反乱軍はレイモンドの居城、ダンケルク城に籠城。我が軍はすぐさまダンケルク城を攻撃いたしました。激しい抵抗を予想しておりましたがどうやらネロガイウル男爵を失ったことによって士気が低下していたようでして、反乱軍の中に裏切りが発生、攻城戦の最中にレイモンドの一族を討ち取り、城の門を開け降伏してまいりました。我らはその降伏を受託しダンケルク城を接収。その際に少数の反乱軍がネロガイウル領に逃走いたしましたが、元から反乱に加担していなかったネロガイウル男爵の弟君であるサウル殿によって討伐されたようです。また、他の反乱に加担していた貴族共も降伏、または恭順の使者を我が軍に送ってきております。レイモンドの小僧は取り逃がしましたが、なーに、すぐに捕まることでしょう。」


うん、長い報告ですけれども、つまりは?


「我が軍の勝利です閣下っ!!」


・・・なんか軽いな。

いやまあ、もう一回あの戦場に行ってみろと言われたら全力で拒否するし、反乱軍が終焉する様子を見たいかと聞かれてもNOと答えるけどさぁ。

けどさぁー。

なんかこう、拍子抜けというか、味気ないというか、なんというか。

『随分あっさり終わっちゃいましたね。』

としか言いようがないね。

なんだろう、自分の回りだと物事が簡単に進んでしまうのかね?。ロッソ伯爵の時も他人任せで終わったし、今回も結局は自分もエーリカさんも何もしてないからね。

・・・・・・

まっ、いっか。

よくよく考えてみれば戦争に勝利したってことはこれ以上戦場に行くことが無いということだし、そうなれば精神的トラウマも肉体的命の危険も今後一切無いってことだもんな。

いや、一切無いってのは楽観的過ぎるから、比較的少なくなるってところかね。

まっ、とにかく。

『何か反応したらどうですかエーリカさん?』

さっきから固まったままなんですけどこの金髪黒衣。グナイゼナウ大公の勝利宣言の直後からちょっとおもしろい表情のまま固着してるんだけど。自分の念話にもまったくの無反応だしね。

「・・・・」

なんでフリーズしちゃってるわけ?

「「「?」」」

ほら、仲良し三人組も首を傾げているじゃん。

逆光になってるおかげで三人組の方からエーリカのおもしろ表情が見えないのが唯一の救いかね。

それでもやっぱり不審だ。

喜ぶなり安心するなりのアクションをしてくれ。

『エーリカさんエーリカさん』

とりあえず念話で話し掛けてみる。

「・・・・」

無反応

「・・・エーリカ様?」

ミケさんが小声で話し掛けてみる。

「・・・・」

絶賛石化中

「「「・・・閣下?」」」

筋肉馬鹿、吸血鬼、人狼の三人がやや控え目に尋ねる。

「・・・・」

そういえばこんな風に銅像になりきる大道芸人いたなあ。

とか思いだしてる場合じゃないね。

さて、どうしよう。また念話で意味不明なことでも言って笑わせようか、隠れて背中を蹴ってみるか、自分もクシャミをしてみるか、念話で大声でも出してみるか、それとも

「ハッ!?」

あっ、復活した。

しょうがないから後頭部を狙っていた拳をひっこめる。

そんな自分の行動に気付かないままエーリカがどこか引きつった声で筋肉馬鹿に尋ねる。

「・・・グ、グナイゼナウ大公・・・そ、その話しは間違いないですか?」

「はっ!、間違いございませぬ。」

「・・・本当ですか?」

「我が魂に誓って嘘は申してございませぬ。」

「・・・絶対にですか?」

「ワシの愛娘がかわいいのと同等に絶対でございます。」

おかしくないか最後?

「・・・わ、わかりました。」

スルーかよ。

「・・・ほ、報告御苦労ですグナイゼナウ大公。下がって休息を取って下さい。ドーラ公爵とカイテル伯爵の両名はバ、バルケン場に戻る準備を始めて下さい。」

おお、復活したと思ったら随分と的確に指示を出すじゃないか。ちょっと声に抑揚が一切排除されてる感じで怪しいけれど安心だね。

安心していいだよね?

なんて軽く不安になってる自分なんて置いていくように

「はっ!、それでは失礼いたします。」

「ではわらわもこれにて。」

「失礼いたしました。」

と、仲良し三人組が退室。

バタン。

閉じられる扉、それなりに豪華な部屋に取り残される自分とエーリカとミケさん。

うん。

どうしてだか部屋の空気が重い。

自分もミケさんもエーリカの斜め後ろに立ったまま動くことが出来ない。いや、別に金縛りにあってるわけじゃないけれども、なんかこう喋ったり動いたりしずらい沈黙が部屋に溢れているんだなこれが。

だってまたエーリカが状態異常・沈黙と石化を発動しちゃったんだもん。

ひたすらに静寂で

いたずらに無音で

痛いほどに静粛で

苦しい程に無風な

そんな空間となっとなります。


どうしようか?


そう思いミケさんを見たら、いつの間にか紅茶の準備を始めてました。

なんてマイペース。

ん?

この場合はなんて真面目な勤務態度となるのかな?

どうだろう?

どうでもいいか。

それじゃあ自分はどうしよう?。この生きる石像をどうしよう?。


・・・・・・


チラリと視線を生きる石像からミケさんに移す。

ミケさんはちょうどこちらに背を向けて紅茶の葉を急須に入れている。

再度視線を生きる石像に移す。

それなり立派な椅子に座ったエーリカの金髪の後頭部がある。


・・・・



ベシッ!!


「ひょわっ!?」

緊急処置として金髪のてっぺんを叩いてみた。

奇妙な悲鳴で石化が解けた。


やったね。


「ひょっ、ひょっ、ひょっ、ひょっ、ひょひょっ。」

だけど壊れたみたいだ。

今度はカタカタと小刻みに震えながら不思議な擬音を口にしだしたね。

「エっ、エーリカ様!?」

あっ、ミケさんがこっちを振り向いてビックリしてる。

あの冷静なミケさんがビックリするとはね、まあ、自分もビックリしてるけどね。

テレビの電源を入れたら予想以上の大音量が出た感じです。

と、自分とミケさんが固まった瞬間、ぐるりと椅子が回転してエーリカが自分と向かい合った、と同時に突然エーリカが椅子から発射されたとしか言い様がない勢いで飛び付いてきた。

‐ミサイル発射!!‐的なノリで、


ズドン。

「ごふっ!」

バタン。

「ぐふっ!」

ガンッ!

「げっ!」


当然身構えていなかった自分は打ち出されたエーリカを支えきれずに後向きに転倒、更に後頭部をしたたか打ち付けれる結果となりました。

なんというコンボ。

痛いプラス苦しい。


「イイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイッヒヒヒヒヒヒカカカカカカカカカカチチチチカカカカカカカカカカチチチチチチチチイッヒヒヒヒヒヒ。」

しかし痛みに耐える間もなく、自分に馬乗り、いわゆるマウンドポジションを取ったエーリカはやや短くなった金髪を荒く乱しながらもはや言葉と呼べない叫びを上げいる。

しかも自分の胸ぐらを両手で掴んで上下に激しく揺さぶる追加アクション付きで

こうブンブンブンブンと。

  

「イイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ」

うるさいです、まず落ち着いて下さい、ほら深呼吸して。と、言いたいが口から出るのは

「がっ!、ごっ?、ぎっ!ぐっ!、ぎょっ?、っ!」

だったりする。

更に、エーリカに揺さぶられる度に後頭部を床にぶつけている状況では念話も上手く使えない。

いくらトンガリ帽子兜(今はトンガってた帽子兜)を装備しているとはいえこれはキツい。

呼吸が出来ないし脳髄がすさまじくシェイクシェイク。

「イイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ。」

ブンブンブンブンブンブン

ガンガンガンガンガンガン

「がっ!ごっ!ぎっ!ぐっ!」


あ〜〜〜〜エーリカの後頭部を叩いた仕返しがこれ程とは、

これからは女性に暴力を振るうのは絶対に止めよう。

生きてたら


ね。


あ〜〜〜〜〜そろそろ意識がきれいな花畑



「エっ、エーリカ様!?エーリカ様っ!?」


そんな昇天寸前の自分を助けてくれたのは我らが天使ミケさん。


ありがとうございます。


なんてお礼を言いたいが、出てくるのは、

「がはっ、ありが、ひゅー、とうご、はーはーはーす。」

まっ、酸欠なんだから当然だよな。

んでもって、ミケさん決死の静止によって正気に戻る愛すべき馬鹿一名。

「・・・あれ?、私は一体何を?」

傷害の現行犯だよ。

「落ち着いかれましたでしょうかエーリカ様。」

と、優しく手を差し伸べて自分の腹の上からエーリカを立ち上がらせるミケさん。

ついでに自分にも手を差し伸べて頂けると助かるのですが。

「あ、ありがとうミケ。」

「いえ、エーリカ様の為っございましたら。」

二人して無視かよ。

しょうがないから仰向けに倒れたまま話すことにしよう。

「落ち着いたところでエーリカさ、魔帝閣下様。一体さっきはどうなされたんですか?」

是非とも自分を攻撃した理由が聞きたい。

「え?、あ!、え?、え?えーーーー。か、勝ったんですよねイッヒ?」

何を今さら。

「グナイゼナウ大公さんが嘘をついていなければ勝ちました。」

「ミケ?」

「はい、エーリカ様の勝利でございます。」

「・・・」

「「?」」

自分は仰向けの状態から見上げて、ミケさんは横から黙ってしまった情緒不安定なエーリカを見る。

すると突然。

「かっ、うぇっ、勝ったんでずね。ひっく、勝った、ひっく、私でもがでだんでずね。ひっく。」

ボロボロとその両目の碧眼から大粒の液体を溢し始めるエーリカ。

まあ、つまりは泣きはじめた。

ひっくひっくとしゃくりを上げながら勝てた勝てたと泣き言う姿はまるで初めて一等賞を取った子供が嬉し泣きするよう。

そしてようなく納得

ああ、そうか。

嬉しかったのか。

自信が無くて気も弱くて小心だったエーリカには‐勝利‐というものが嬉し過ぎて信じられなかったのか。

だからあれほどグナイゼナウ大公にしつこく確認して、何度も頭で勝ったという事実を受けとめようとして沈黙して、嬉しさの余り自分に飛び付いて、だけどどう表現したらいいのかわからないから叫んで、そしてようやく許容できたから


泣いているんだ。


頑張っても報われなかったエーリカにとって、この勝利はただ反乱を鎮圧しただけじゃないんだ。

ようやく、ようやく認めてもらえる事柄

つまりは、初めて取った一等賞。


そういうことか。


と、一人納得している視界では、エーリカがミケさんの胸に顔をうずめて泣いている光景。

「ひっく、えぐ、うぇ、えっぐ。」

「・・・・・。」


眼福眼福


じゃ、なくて。

流石にこの空気をぶち壊す勇気が無い自分はとりあえず仰向けに寝たままにしよう。

立ち上がってあの二人の間に入る根性はありません。

そう思い、泣いているエーリカをミケさんが両腕で包み込む様子から視線をずらす。


それじゃあエーリカさん。思う存分ミケさんの胸で泣いて下さい。自分は空気になってますからさ。







暇になったから見上げた天井に赤い眼球が二つ。

あー、居ないと思ったら出るタイミングを逃してたのかシュルツのにーちゃん。 

「うく、ひっく、ミ、ミゲ〜、やっだ、やっだよ〜。」

「エーリカ様、いつも、いつまでもお側におります。」

「ミゲ〜〜〜。」


うん、自分もいずらい。


「きひひひ。」

降りてこいや。

更新遅れに遅れました。申し訳ありませんでした。

一回書いたものが消失するというアクシデントにより創作意欲がゼロになっていました。随分弱い精神構造みたいです自分は。

それはともかく。

反乱が終結です。主人公のいないところで最後の戦いが終わってます。グナイゼナウ大公の活躍なんてほとんど触れません。そしてエーリカが幼児退行。ヒロインが泣いているのに主人公は空気。恋愛?純愛?何それおいしいの?な主人公です。

ついでにきひひなにーちゃん出番無し。

すいません、存在をすっかり忘れてました。

まあ、そんなこんなで続きます。

主人公に春はくるのか?

こないだろうなー。

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