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第二十一幕 混藍会輪

「のう、お前様。」

「なんだよ濡恵ぬえ。それと”お前様“を止めろ。」

「行方不明になった弟を心配せんのか?」

「心配はしているぞ?。ただ俺がジタバタしても何にも解決しないからな。まあそれに、***なら、なんだかんだで大丈夫だろーよ。」

「心配はしているが、信用もしているというわけか。かっかっか。流石はお前様じゃの。げに美しきは兄弟愛なりけりじゃな。」

「そんな綺麗なもんじゃねーよ。それと”お前様“を止めろ。」

「げに美しきは禁断の兄弟愛なりけりじゃな。」

「たった二文字入っただけで本当に綺麗じゃ無くなった!!。」

「大丈夫じゃ。背景には可憐な薔薇が咲き乱れておる。」

「だけど腐ってるからねっ!?。」

「今晩のオカズは決まりじゃな。」

「本気で止めろぉぉっ!」










■ ■ ■







ガラッガラッと馬車が進む。

エーリカが正気に戻り、自分がミケさんから世界を狙える回し蹴りを食らってから数分後にグナイゼナウ大公やドーラ公爵やらが合流。二人だけ全身真っ赤で凄く笑顔だったのは気にしたくない。

それはともかく。返り血コンビの話によると、やっぱり前後部隊それぞれに奇襲をかけられたそうだ。しかも反乱軍は前後の奇襲部隊に八割以上の兵力を投入し、グナイゼナウ大公とドーラ公爵をくぎ付けにしたそうだ。まあ、そのおかげでエーリカに対する奇襲部隊の数は少なくてすんだんだけどね。エーリカが舐められていたのか、ネロガイウル男爵に自信があったのかは定かではないけれど、反乱軍としては、前後同時奇襲の挟み撃ちの上、総代将に対しての電光石火の奇襲という完璧な二段構えの作戦だったみたいだ。

まあ結局は、暴走エーリカによって切り札の本陣奇襲部隊を壊滅させられたんだけどね。

本来だったら例え本陣奇襲部隊が失敗しても、前後奇襲部隊でそのまま挟み撃ち作戦で押し切ってしまうことも出来たはず。だけれども、ネロガイウル男爵が討ち死にしたことによって反乱軍の精神的支柱が瓦解、元兵務員トップの看板は健在ならば士気向上に有効だが、失ったことによるショックも絶大だったらしい。

おかげで、前後奇襲部隊もネロガイウル男爵討ち死にの報を聞いて散を乱して逃走したそうな。


とどのつまり、ミイラ取りがミイラになった。そんな結論。


現在は、グナイゼナウ大公が動ける兵士を引き連れて反乱軍を追撃中。自分達は戦場に残って軽く戦後処理をした後、近くの町に移動中。


んで、馬車の中

最初に乗っていたのは破壊されたので、予備の若干小さめの馬車である。

ぶっちゃけ装飾過多だった前の馬車より、安っぽいけどシンプルな今の馬車の方が落ち着く。

やっぱり自分は日本人だと実感。

わびさびの心は大切だね。

さて、グダグダと話しても何も発展しないからそろそろ本題に入ろう。

「それで、何も憶えていないんですか?」

エーリカという殺人未遂犯に聞いてみる。

「え〜〜っと、おぼろげにですけど、どよーーんとなって、ぐ〜るぐ〜るなって、ばーーんとなって、ぼわわぼわわなって、そして気が付いたらイッヒが目の前で倒れていたんです。」


・・・・・・


そうだ、エーリカを殴ろう。

「イ、イッヒ!?そ、その拳はなんですか!?。な、なんで何も喋らないんですか!?。恐いです、恐いですよイッヒ!?。」

ぼわわぼわわ、で、殺されかけてたまるか。つーか、殺された敵兵もある意味浮かばれないな。


南無阿弥陀仏お陀仏


まあ、いいや。

怒りと拳を引っ込めて再度、殺人未遂犯の馬鹿帝に詰問。

「じゃあ、黒い球体を手の平から出す魔法について心当たりはありますか?。」

「黒い球体、ですか?」

「ええ、黒くて暗くて完全な球体の、触れたもの全てを‐えぐり取る‐、触れるもの全てを無に還す魔法です。」

思い出すのはあの惨劇

打ち出される黒球

えぐり取られる敵兵

響き渡る悲鳴

真っ赤に染まる大地








うぉえっ。

思い出したら気持ち悪くなってきた。ヤバイヤバイ、流石に馬車の中では吐けない。

急いで他の事を考えないと。

え〜〜っと、和むこと癒されること・・・、


癒→猫→ネコミミ→ミケさん→メイド→ご主人様→エーリカ→発狂→黒球→惨劇→血→死





ガバッと左手で口を塞ぎ顔を首の骨が鳴る勢いで上に向ける。

胃から食道をたどり込み上げてくる熱い嘔吐感を無理矢理押さえこむ。

思考はひたすらに無に虚無に。

ギリギリと眼球を鳴らしながら荒い呼吸を繰り返す。


今、すげー馬鹿なことやったよね自分?

自分で自分を苦しめた。


「だ、大丈夫ですかイッヒ?。」

心配してくるエーリカに空いた右手をひらひらとさせて大丈夫とジェスチャーで伝える。

まあ、喋れてない時点で若干大丈夫では無いんだけどね。

それはともかく、

冷や汗と嫌な脂汗の新陳代謝効果によって、嘔吐感と嫌悪感の溜飲を無理矢理下げることに成功。

顔をエーリカに向け直し、口元から左手をはずす。

ふーー。さて、何を話していたっけか?

「本当に大丈夫ですかイッヒ?。具合が悪いなら馬車を一回止めますけど?」

「いや、もう大丈夫です。ちょっと性質の悪い自己嫌悪にはまっただけですから。・・・え〜〜っと、何を話してましたっけ?」

「黒い球体ですよイッヒ。」

「ああ、そうそう。球体、黒い球体です。エーリカさん、何か心当たりはありませんか?。」




「コレのことですか?」

と、何気なく差し出されたエーリカの右手に小さな黒球登場。










おぉぅ。

ビックリした。

えっ、つーかなに?。普通に出せるの!?。

いや、その前に

「危ない危ない!早くしまって下さいっ!!。何この密閉空間で危険度最大の魔法を発動しちゃってんですか!?」

肉体消失的にも自分のトラウマ的にも危ない!。

「大丈夫ですよー。」

と。のほほんと、能天気に、自分の心情など一切合切無視して言うエーリカ。

ソフトボール大の黒球を手の平の上に浮かべながら不思議そうにしている。

が、自分はもう狭い馬車の中で精一杯エーリカから、正確にいうならば小さな黒球から距離を取ろうと壁にぴったりとくっついている。しかも無意識の内に。

やばい、本格的にトラウマ化してるよ。

「そ、そこまで驚くことないじゃないですか。」

いや、若干苦笑気味に言われましても。

「その黒球に殺されかけた身としては、命の危険を感じずにはいられないんですけど・・・。」

まるで砲丸投げの玉。まあつまりは砲丸なんだけど、それをガン見しながら本音を言ってみる。

「殺されかけたとはいったいなんのことですかイッヒ?。」

そういや憶えてないんでしたっけ。

「それにー、この魔法は特に意味がある魔法じゃないんですよ?。ただ黒い球体を具現化させるだけの魔法なんですから。」

そう言い、手の平の黒球を左手で撫でるエーリカ。

もちろん、触れている左手も指も‐えぐり取られる‐ことはない。

「でも、私みたいな魔帝直系の血族しか使えないらしいです。」

いや、魔帝の血族だけって怪しい空気プンプンじゃん。思わず触ろうとした右手を引っ込めてしまいましたよエーリカさん。

「・・・ちなみにエーリカさん、その黒い球体を誰か、いや、壁とか机とかでもいいんですけど、とにかく自分以外の何かにぶつけたことはありますか?」

ちょっとした疑問

「そういえば・・・ないですねー。小さいころに父上からこの魔法の使い方を教えてもらった時に、決して他人に向けて使ってはいけないと言われたので、ぶつけるどころか見せたことも無いですよ。」

ちょっとした確信

「・・・では、ちょとその黒球を床に軽く投げつけてもらっていいですか?」

「?、どうしてですイッヒ?」

「実験です。」

「?・・・いいですけど、えいっ。」

気の抜けたエーリカの掛け声と共に馬車の床に落とされるソフトボールサイズの黒球。

狭い馬車の中で、男女が床に落下する物体を凝視するという不思議空間が一瞬形成された後、音もたてずに黒球は馬車の床に吸い込まれていった。

同じサイズの穴を床に空けて。

しっかりと地面が見える綺麗な円形の穴を。


「・・・・・」


「・・・・・」




ガラッガラッと馬車が進む。

馬車の中、無言で床に空いた穴を凝視する男女。互いに一切なにも喋らずひたすら穴から見える地面を見つめる金髪で黒い鎧ドレス姿の女性と、先端が欠けたトンガリ帽子兜を被った死んだ目付きの青年。


というか、自分とエーリカだった。

「えええええええええぇぇぇぇっっ!!!!!!」

「おおおおおおぉぉぉぉぉぉぉっっ!!!!!!」

予想外の結果に驚き叫ぶエーリカと、トラウマがフラッシュバックして叫ぶ自分。

「ゆ、ゆ、床にににあああ穴がが空きままししたたよ?。イイッヒ、なな、何かしましたたかか!?」

「やばっ、思いだしちまう、血?、腕?、黒球?、おわわわ、こっちくるな、くるなっ、うぉえ!!」

「私っ!?、私のせいですかっ!?。ちちち違います。むむ無実ですっ。馬車なんか壊してないよミケっ!。」

「えぐられるのはいやだーっ!!。ちょっ、右手をこっちむけるんじゃねー!!」

「そそうだっ!ここうやってこのクロタマちゃんで穴をふ塞げばばきゃーー!」

「また出たぁ!?。エーリカさんしまってしまってぇー!ぎゃー、扉に穴がぁー」





■■■







大変お騒がせいたしました。

もう大丈夫ですよ?

二人共落ち着きました。


というわけで、ギャーギャードタバタ騒いだ後、何事かと不審に思い馬車を止めた兵士達とミケさんの努力によって平静を取り戻した自分とエーリカさんは、再び穴が空いた馬車での移動を再開している最中だったりします。


空いた穴から流れてくる風が気持ちいいやー。


ではなく。


わかったことは、エーリカが自覚していなかっただけで、この愛すべき馬鹿帝は昔からあの黒球を使えたということ。

どれだけ鈍感なんだよと、言いたい。

つーか、叫んだ。

その辺りの騒ぎは割愛して。



「まあ、今まで使ってなかったから牛頭の男爵やら敵兵さんも油断して襲撃したんでしょうね。そうじゃなかったらなんらかの対策をしてるでしょうしね。終わり良ければ全て良しってやつです。あっ、でも自分の前では極力使わないでくださいね。命がいくつあっても足りないですから。」

「わ、わかりましたイッヒ。」

うん、いい返事だね。

返事だけはいい。


じゃあ議題を変更しようか。

どうしようもないほど馬鹿らしくなってきたから話題を変えよう。


「それではエーリカさん、担当直入に聞きますけど。第二の人格とかはないですよね?」

思い浮かべるのは黒球を放っていた時のエーリカさん。

不気味な程清々しい笑い声を上げて踊っている姿。

狂った叫び声。


それが、今目の前にいる存在と同一だとはどうしても思えない。

だけど、

「ありません。」

おもいっきり否定されました。

一蹴と表現していいほどはっきりと。

まあ、考えてみればそうそう都合よき二重人格なんて存在がいるわけがないし、あの時のエーリカは発狂していたと思う方が納得できる。

ただ、トランス状態の時の記憶が無いというのはマズい。むしろ危ない。

あの時。

自分を殺しかけた時

エーリカはミケさんに呼び掛けられて振り返った。

振り返えりながら殺害しようと黒球を発射したのだ。

小さい頃からの幼なじみであり、もっともエーリカに近くで親身になっていたミケさんに。

それはつまり、発狂した状態では味方ですら攻撃対象にしているということ。

それはつまり、相手を判別出来なくなっているということ。


その事実が知れ渡ったら、今度こそエーリカの味方がいなくなる。

誰だって背中から刺されたくはない、身内に爆弾は抱え込みたくはない、それが己の主だというなら尚更だ。

だから自分が今しなくてはいけないことは

「いいですかエーリカさん、誤魔化さずに言いましょう。



あなたは狂ってます。」




エーリカに発狂したことを自覚してもらうこと。

いや、覚悟してもらうこと。


「えっ?」

「正確に言えば、狂った、ですね。エーリカさんの記憶が曖昧なっているのは、その時エーリカさんが発狂していたからですよ。いやはやよくもまあ、あの状態から正気に戻ったものですね。」

ハハハと、軽い調子で話す。少しでもエーリカがリラックスして聞けるように柔らかく話す。

ただしあくまで真剣に

「エーリカさんだって解るでしょう?。記憶が飛んでるんですよ?。おかしいと思うでしょう?。ましてやあの時は戦場だったんです、寝てた、じゃあ済まないことは理解できるでしょう?。本当は自覚してるんじゃないですか?、己の異常性に。記憶が無い間に何をしていたのかを。」


エーリカだって解っているはず。それはほぼ確信していること。記憶が抜け落ちていることを気にしない人なんているはずが無いから。そこまでエーリカが愚かではないことは解っているから。

ただ、エーリカは認めたくないんだろう。魔帝なんていう肩書きを持っているくせに臆病なエーリカは許容できないんだろう。

己が多くの命を奪ったという事実に。

自分を殺しかけたという現実を。

ミケさんに害意を持ったということを。

それを逃げと受けとるか、仕方ないことと受けとるかは、自分じゃない他の第三者に任せるとして、今必要なのはエーリカが現実を認めて、なおかつ力にすることだ。

だから自分は続けて言う、

あくまで軽い調子で言う。

「エーリカさん。大事なのはエーリカさんが狂ったことじゃあないんですよ?。大事なのは狂ったエーリカさんは強かったということなんです。重要なのは狂ったエーリカさんが恐怖を与える存在だったということなんです。わかりますよね?」


「・・・・・」


「解らなくても、解りたくなくてもいいから聞いてくださいね。いいですか、狂ったということはエーリカさんにとって致命的かもしれませんけど、狂った時に見せた恐怖は魔帝として決定的だったんです。

単純な暴力

これほど簡単な統率手段はありませからね。 

ネロガイウル男爵を討ち取ったという結果は、魔帝閣下は強いという結論にたどり着くんです。

そして誰もエーリカさんが狂っていたとは知らない。

本気を出した、もしくはぶちギレたと思うくらいですよ。」


安心して下さいと軽い調子で言う。

反乱が起きた直後の会議で、立派な魔帝を目指して行動し始めたスタート地点で、歪な人形劇を披露した場所で、自分はエーリカがまるで今まで猫かぶり、愚か者の演技をしていたように誘導した。それが今回は魔法の実力を、強いということを今まで隠していたと、極自然に兵士や幹部貴族に認知されているらしい。

まあ、ミケさんからの情報なんだけどね。

それはともかく。

勝手に勘違いしてくれているなら、その勘違いを利用しない手はないでしょう。

だからさあ、


「もう一度言います。エーリカさん、


貴方は狂った。


狂って発狂して暴走して虐殺して加虐して狂喜して哄笑して


今に至るんです。

認めて下さい。

諦めて下さい。

どれだけ逃避しようが事実は無くならないんです。

だからエーリカさん

覚悟して下さい

許容して下さい。

幸い狂ったことに気付いているのは自分とミケさんぐらいです。

なら黙っていればいい。公表しろとは言いません。黙って誤魔化していればいいんです。

狂ったという事実だけを胸に秘めていけばいいんです。


なぜならエーリカさんは強いからです。

嘘偽り無く強いんです。

まぎれもなく強いです。」

パンッと両手を叩いて言葉を区切る。

泣きそうな、苦しそうな、それでいて驚いているような不思議な表情のエーリカは何も言わない。

きっと混乱してるんだろう。狂ってると言われたと思ったら、続けて貴方は強いなんて言われたらそりゃあ混乱するさ。

なら、混乱したまま聞いてもらうとしますか。


「エーリカさん。

いいですかエーリカさん。


自信を持って下さい。

エーリカさんが望んでいた立派な魔帝に確実に近づいいています。


胸を張って下さい。

狂ったことなど気に病む必要なんてないんです。理解した上で無視すればいいんです。


笑って下さい。

そっちの方が似合ってます。」


ひたすらな軽い調子で言った言葉を終える。

戯れ言を終了する。


いつの間にか顔を伏せてしまっているエーリカ。これじゃあどんな表情をしているのか解らない。

だから自分は馬車の窓から外を眺めることにした。

流れる景色と青い空で沈黙に耐えることにした。


ガラッガラッと馬車が進む音だけが二人の間に響いていた。

と、

「・・・イッヒは、何も思ってないですか?。」

そう、顔を伏せたままエーリカが呟くように震えた声で言ってきた。

「思うって、誰に対して、何をですか?」

未だに軽い調子で聞く自分

「私にです。ひどく朧気ですけれでも、あの時私が何をしたのかは薄々気付いてます。だからこそ聞きたいのです。イッヒは私のことを゛恐い゛や、゛憎い゛と思わないのですか?」

伏せたままだから表情は読めない。想像もつかない。

だけれどもエーリカが思っていることは解った。


‐恐い‐


と、


‐憎い‐


ね。


薄々気付いての‐薄々‐がどれ程の状況把握なのかは解らないけれど、黒球のことを知らなかったのを考えるとホントに薄々だったんだろうけど、それでもエーリカの心に重い影を与えるには十分だったみたいだ。


裏切られ、反乱され、信じる心を失いかけ、信じた心を傷つけられたエーリカにとって、

己を信じてくれている存在を、イッヒという人間を殺しかけたという事実は、本当に暗い影を与えたみたいだ。

それはもう、

覚えていないフリをするくらいに。

とぼけて無かったことにしようとするくらいに。


だけど、だけどさぁ。


「全然、これっぽっちも、微塵も、何も思ってませんよ。」


「・・・え?」


「恐い?、ええまあ、確かにあの黒球は恐怖の対象になりましたけれど、あくまで‐黒球‐です。エーリカさんじゃぁない。

憎い?。どうしてですか?。確かに危うく殺されるところでしたけれど、


殺されてはいません。


生きてます。ピンピンしてます。大事な人を傷つけられたわけでもないのにどうして憎めるんですか?」


ようやく上げたエーリカの顔には驚きの表情。

うっすらと目の縁に涙が見える。

オイオイ違うでしょうエーリカさん。貴方は馬鹿みたいに笑うのが仕事でしょう?。

ほら、笑って。

「エーリカさん。エーリカさんがもし、もしも自分やミケさんを傷つけようとしたことを気にしているなら間違いです。自分は何も思ってませんし、ミケさんだって恐いや憎いなんて思ってませんよ。むしろ心配してるくらいです。だからエーリカさん。

狂ったことなんか忘れて下さい。

自分達のことなんか気にしないで下さい。


そして笑って下さい。」


ペモッピペモッピピプバププ、ぺーぺーぺぺぺーぺーぺぺチョモランマ。

そんなエーリカの笑いそうな言葉を言って喋るのを終了する。


驚きの、いや、困惑した表情が貼りついたエーリカ

さて、自分の顔にはどんな表情な貼りついているだろうか?

軽い調子で喋っていたから軽い笑顔でも貼りついているんだろうか。

ハハ、自分の表情なんかどうでもいいね。まあ、いいね。

さあ、話しの主役はエーリカさんだ。愛すべき馬鹿帝閣下だ。どんな言葉と気持ちを返してくれるのかな?


「・・・イ」ガタン!

と、エーリカの言葉と自分の気持ちを遮るように馬車が音をたてて止まる。


あ〜あ、せっかくエーリカが何か言いそうだったのに。

あ、でもちょうどいいか。焦る必要はないしね。この会話の結論はいつか、いつの日にか聞くとしよう。


そう思い自分は席を立つ。

馬車の外から聞こえる休憩という号令を聞きながら扉を開けて馬車から降りる。

振り返ってエーリカの顔は見ない。

振り返ってエーリカの話は聞かない。


だってほら、考える時間は必要だと思うし、


泣いている女性と二人っきりは耐えられないからね。


ハハ、ではエーリカさん。

「ゆっくり考えて下さいね。」


バタンと、扉を閉める。


まあ、いいや。

そう、まあいいや。

しんみりしたのはこれでお仕舞いだ。休憩が終わったら他愛もない話でもしよう。


そう考えて、ようやく自分は馬車を振り返った。












あっ、ミケさんが馬車に乗り込んでる。自分が降りてエーリカを一人にした意味なくなったよ。



まっ、いっか。

あっせーの、

申し訳ございませんでしたっ!。

更新遅れました。すいませんでした。

内容グダグタです。すいませんでした。

話は進みません。すいませんでした。

意味が解りません。すいませんでした。


とりあえずもう一度、すいませんでした。

とまあ、いっぱい謝っておけば大丈夫かな?。すいません。

一応は、主人公がエーリカを立ち向かわせようとする話です。明確な敵ではなくエーリカ自身という心がテーマでした。多分伝わってないでしょうけれども、すいませんでした。

それにしてもエーリカ、あれだけ暴れておきながら無かったことにしようとするとか、ヒロインにあるまじき精神ですね。

もうミケさんでヒロインいいかなぁ?

まあ、いいや。

そんなこんなで続きます。

続けたいです。

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